暑さに「弱い人」「強い人」の差はどうやって生まれる?
暑くなると、体調を崩したり、倦怠感を覚えたりする人がいる一方、全く大丈夫な人もいます。この差はどこから生まれるのでしょうか。
梅雨は「梅雨寒」と呼ばれる気温の上がらない日もありますが、晴れ間が広がると、真夏のように暑くなる日もあります。急に暑くなったことで体調を崩したり、倦怠(けんたい)感を覚えたりする人がいる一方で、こうした暑さでも全く大丈夫な人もいます。「暑さに弱い人」「暑さに強い人」の差は、何が原因で生まれるのでしょうか。内科医の市原由美江さんに聞きました。
男性の方が暑さに弱い傾向
Q.暑さに弱い人と強い人の差は、何が原因で生まれるのでしょうか。生まれつきの体質や遺伝が関係するのですか。
市原さん「もちろん、遺伝的な要素もありますが、基本的には筋肉や体脂肪、皮膚上の汗を分泌する汗腺が多いか少ないかが、暑さに弱い人と強い人の差になります。そのため、暑さに弱いか強いかは、周囲の環境によって変わる可能性があります。
例えば、暑い地方に住んでいる人は、熱を生み出しにくくするために基礎代謝が低かったり、汗をかいて熱を放出するための汗腺が多かったりと、その地域に体が適応しています。つまり、暑い環境に不慣れな人でも、徐々に慣れると考えられます」
Q.暑さに弱い人と強い人について、男女差や年齢差はありますか。
市原さん「性別では、男性の方が女性よりも暑さに弱い傾向があります。男性の方が筋肉量が多く、基礎代謝が上がって体温も上がりやすいからです。また、男女とも体脂肪が多いと、熱を体外に放出しにくいため暑さを感じやすく、肥満傾向のある人は暑さに弱いといえます。年代別では、高齢者は体温調節機能が低下し、汗をかきにくくなって熱の放出が少ないため、暑さに弱くなります」
Q.「水をこまめに飲む人は暑さに負けず、逆に水をまとめて飲む人は暑さに負けやすい」と聞いたことがあります。
市原さん「事実ではありません。こまめに水分補給をしている人について、『熱中症になりにくい』イコール『暑さに強い』というイメージを持つ人がいるのかもしれませんが、関係ありません。ただ、暑さに強いかは別として、こまめに水を飲む人が暑さによる熱中症になりにくいのは事実です」
Q.皮膚にある汗を分泌する「汗腺」が発達しているかどうかも、暑さに強いかどうかに関係するようですね。よく「汗腺を鍛えよう」と聞きますが、どうやって鍛えるのでしょうか。
市原さん「汗が皮膚から蒸発するときに熱が奪われることで、体温が調整されています。汗腺の機能が発達していれば、効率よく汗をかいて体温調整がうまくできることになります。定期的な有酸素運動や半身浴で適度に汗をかくといいでしょう」
Q.暑さに弱い人が暑さに強くなるには、どのようにすればよいですか。
市原さん「まず、肥満の人は内臓脂肪を減らしましょう。先述のように適度な運動などで汗をかくことも大切です。熱中症には十分注意する必要がありますが、冷房などで過度に体を冷やさず、汗をかくことで汗腺の機能を保ちましょう」
(オトナンサー編集部)
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