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7月期に「偽装不倫」 東村アキコ作品が次々と“連ドラ化”される理由

東村アキコさんのコミック「偽装不倫」が7月期、日本テレビ系連続ドラマとして実写化されます。東村さんの作品は過去に何度も連ドラ化されていますが、その理由は何でしょうか。

杏さん(2019年4月、時事通信フォト)
杏さん(2019年4月、時事通信フォト)

 漫画家・東村アキコさんのコミック「偽装不倫」が、7月期の日本テレビ系連続ドラマとして実写化されます。同ドラマは、女優の杏さん演じる32歳独身の“おひとり様女子”濱鐘子(はま・しょうこ)が、年下のイケメンに「既婚者」とうそをついたことから始まるラブストーリーです。

 東村さんといえば、さまざまな漫画賞を受賞する人気漫画家で、その作品はこれまで、「主に泣いてます」(2012年、フジテレビ系)、「東京タラレバ娘」(2017年、日本テレビ系)、「海月姫」(2018年、フジテレビ系)が連ドラ化されています。その理由について、テレビ解説者でコラムニストの木村隆志さんは「東村さんの漫画は業界内で定評がある」と指摘します。

現代社会で女性が抱える問題切り取る

「東村さん原作のドラマは全て女性主人公で、女性視聴者をベースに共感を得られやすい作品になっています。“モテすぎる女性”や“オタクの館”などのファンタジーな設定や、脚本家、ネイルサロン経営者、モデルといった、夢を見させてくれるような職業など、女性視聴者に喜ばれやすい。半面、女性が現代社会で感じている問題の本質を切り取るリアルさもあり、ドラマにとって重要な社会性が含まれているので、極端な設定でも視聴者は違和感を覚えずに共感できるのです」(木村さん)

「主に泣いてます」は美し過ぎるが故に幸せになれない女性、「東京タラレバ娘」は女子会を開いては日頃の鬱憤(うっぷん)を晴らすアラサー女子、「海月姫」は男性に耐性のない奥手なオタク女子…と総じて現代社会で生きづらさを抱える女性が描かれています。「偽装不倫」も婚活失敗中の派遣社員が主人公です。

「漫画もドラマも物語を作る際は、登場人物の出自や性格、過去の設定に頼ってしまいがちですが、東村さんはそうではありません。設定に頼らず、セリフによって“普通に生きていても生きづらい社会と、そこに生きる女性たちの感情”を表現しています。いわば、女性の日常や感情の本質を見せるための作品なので、極端に言えば、設定は何でもいいのです」

「『もし、あの時結婚していたら』などのセリフにメッセージ性があり、女性の気持ちを代弁しています。仕事中や恋人といる時、居酒屋で女子会をする時など、普段胸の内に収めている感情が、きちんとセリフに落とし込まれているので、分かりやすく、視聴者に刺さりやすい。そして、明るい世界観をベースにしつつ、『世の中こんなもんだよ』という脱力した目線の展開で笑わせてくれるのです」

 鋭い観察眼と巧みなセリフで、共感性の高い作品を次々と生み出す東村さん。「偽装不倫」も女性が楽しめる連ドラになることが予想されると、木村さんは指摘します。

「『偽装不倫』は、婚活がうまくいかない女性の話です。『年下の男性との恋愛』『独身として生きていくこと』などの葛藤が描かれる普遍的な内容なので、アラサー以上の女性に受け入れられやすいでしょう。10代や20代の方でも、楽しめると思います。一方で、男性にはピンと来ない部分もあるかもしれませんが、女性の気持ちを知りたい人は楽しめるでしょう」

(オトナンサー編集部)

木村隆志(きむら・たかし)

コラムニスト、テレビ解説者

雑誌やウェブに月間20本強のコラムを提供するほか、「週刊フジテレビ批評」などに出演し、各局のスタッフに情報提供も行っている。取材歴2000人超のタレント専門インタビュアーでもあり、新番組と連ドラはすべて視聴するなど1日のテレビ視聴は20時間超(同時含む)。著書に「トップ・インタビュアーの『聴き技』84」「話しかけなくていい!会話術」など。

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