夫に「離婚」を切り出された44歳女性、探偵と調停委員を敵に回して娘を奪われた顛末
最初は耳を貸してくれた調停委員
亜理紗さんが、その甘い誘いが「助け船」なのか「泥船」なのか見分けることは不可能でした。不登校の娘を抱え、離婚調停のプレッシャーにさいなまれながら、夫の浮気の真偽を確かめなければならないので、もう頭も心もいっぱいいっぱいだったのです。
亜理紗さんは240万円はもちろんのこと、さらに60万円(1週間の追加分)を上乗せして、即金で300万円を振り込んでしまったのです。それは、本当は娘さんの大学資金としてためておいたお金なのに。
やはり、案の定でした。「三度目の正直」ではなく「二度あることは三度ある」だったのです。亜理紗さんはもう一度、探偵を信じてあげたのに、果報は寝てもやってきませんでした。さらに、1週間が経過しても音沙汰がなかったので探偵の事務所に電話をかけたところ、衝撃的なメッセージが流れてきたのです。
「お客様のおかけになった番号は現在、使われておりません」
亜理紗さんが探偵の事務所を訪ねると、すでに「もぬけの殻」。文句を言いたくても、「言う相手」さえ存在しないという悲惨な光景でした。亜理紗さんはやることなすこと、すべて裏目裏目に出たのです。結局、「浮気の証拠」という強力な武器を得られないまま離婚調停の当日を迎えました。
「調停員さんは海千山千のプロでしょう。アタシと同じような人を見てきているでしょ?! きっとアタシの気持ちを分かってくれるはず!」
亜理紗さんは、そんなふうに根拠のない期待を抱いていたのですが、渡りに船でした。調停委員は、亜理紗さんより一回り年上のオジサンとオバサンのペアだったそうですが、「大変だね」「かわいそうだね」「そうだよね」と亜理紗さんの嘆きに耳を貸してくれたのです。しかも、調停委員は夫のことを悪者扱いし、ボロクソにたたいてくれたのです。それもそのはず。若い女と一緒になるために妻子を「ポイ捨て」する、そんなクズの味方をするはずはないと最初は思っていたのです。
しかし、亜理紗さんがうっかりNGワードを口走ったせいで、今まで温和だった調停委員が一気に凍りつきました。亜理紗さんは今度は何をしでかしてしまったのでしょうか。
「ダンナと直接、話をさせてほしい」
亜理紗さんは、悪気もなく調停委員に頼んでみたのです。確かに、「夫本人の目を見てガツンと言ってやらないと気が済まない」という気持ちはよく分かります。調停の場合、同じ日時に妻だけでなく夫も裁判所に呼び出されており、同じ建物の別の部屋で待機しています。夫は目と鼻の先。直接会うことは可能といえば可能ですが、それとこれとは別問題です。
もし、調停委員の目を盗んで夫婦だけで勝手に話を進めたら、どうなるでしょうか。調停委員は夫婦間の会話を把握できないので困ってしまいます。さらに「自分たちは信用されていないのか」とがっくり肩を落とし、やる気を失うでしょう。つまり、絶対に言ってはいけない「禁句中の禁句」なのです。
調停委員「それはダメ」
亜理紗さん「なんで?」
調停委員「ダメなものはダメ」
亜理紗さん「じゃあ、こっちで勝手にやりますから!」
亜理紗さんは、またまたブチ切れてしまったのです。もちろん、「ダメな理由」を言わなかった調停委員にも多少の問題はありますが、目の前の相手を一刀両断してしまっては取り返しがつきません。
賽は投げられたは、引き返せない賭けが始まった様子です。
匙が投げたれたの間違いだと思われます。
オトナンサー編集部です。ご指摘ありがとうございます。 訂正いたしました。
えっ、代書屋さん、弁護士法違反じゃないの?
>「調停員さんは海千山千のプロでしょう。アタシと同じような人を見てきているでしょ?! きっとアタシの気持ちを分かってくれるはず!」
亜理紗さんは、そんなふうに根拠のない期待を抱いていたのですが、渡りに船でした。
→渡りに船とは、困っているときに、ちょうどよく助けになる人や環境に恵まれること。
…後の文章を読むと、この表現で良いのか…
何か違和感を覚えるのだが。