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見学じゃないの? 女子は「生理中も水泳参加」の中学校に賛否両論、医学的には?

「生理中も、基本的に水泳の授業に参加すること」という、ある中学校の方針がネット上で話題になりました。医師の見解とは――。

プールでの授業、生理中でも大丈夫?
プールでの授業、生理中でも大丈夫?

「生理(月経)中も、基本的に水泳の授業に参加すること」。ある中学校の体育授業に関する“方針”が先日、ネット上で話題になりました。小中学校の夏場の体育はプールで行われることが多いものですが、女子の場合、生理の時期にプールでの授業に参加するかどうかは、学校(自治体)によって方針が異なるようです。

 ネット上では「娘の学校では見学するように決まっています」「生理中に体冷やしたら絶対ダメでしょ」「生理時は見学だったけど、代わりにプールサイドで筋トレさせられてた」「生理中でもプール参加が当たり前でした」「生理はズル休みじゃないのに」など、さまざまな体験談やコメントが寄せられています。

 生理中にプールの授業に参加することは問題ないのでしょうか。産婦人科医の尾西芳子さんに聞きました。

生理中は外から雑菌が入りやすい状態

Q.まず、生理(月経)の仕組みについて教えてください。

尾西さん「子宮の中の膜(子宮内膜)は、排卵後に出てくるホルモンの働きで分厚くなり、妊娠に適した状態になるのですが、妊娠しなかった場合は不要になるため、体の外に排出されます。これが生理(月経)です。つまり、生理は、妊娠した際に受精卵のベッドとなる子宮内膜が要らなくなったために出てくるものです」

Q.小中学生の生理について、成人女性との違いはありますか。

尾西さん「実は、生理のペースを決めているのは『排卵』です。先述のように、生理は排卵後に出てくるホルモンに支配されています。排卵は1カ月に1回あり、その2週間後にセットとなって生理がやってきます。

しかし、小中学生の時期はまだ、体が本格的に子どもを作ろうというモードになっていないので、月によって排卵のある月もあればない月もあります。そうすると、2週間後にセットでやってくるはずの生理もいつ起こってよいか分からず、2~3週間で生理になったり、3カ月空いてしまったりと不規則になります。また、排卵のないときの生理は経血の量が少ないなど、月によって経血の量が異なることもあります。

また、この時期は子宮の入り口がまだ狭く、生理の血が排出されにくいことや、子宮の内膜で作られる子宮を収縮させる物質に反応しやすいことで生理痛がきつくなりやすい(機能性月経困難症)などの特徴があります」

Q.女子児童・生徒が、生理中にプールの授業に参加させられるケースが少なくないようです。問題はないのでしょうか。

尾西さん「生理中にプールに入ることは、本人・周囲の人の双方に悪影響が出るため、避けましょう。

生理中は、子宮の入り口がやや開いた状態になっているため外からの雑菌が入りやすいです。万が一、子宮に入ってしまうと感染症を起こし、入院治療が必要になる場合もあります。
特に、プールの水は塩素消毒しているとはいえ、多くの人が入るので清潔ではありません。

また、血液には栄養が豊富に含まれるため、万が一、生理の血がプールに入ってしまった場合は雑菌の餌となってしまいます。周囲の人が泳ぐときに、雑菌の繁殖した水を飲み込んでしまう可能性もあります」

Q.水泳を見学する代わりに、筋トレをさせられるケースもあるようです。

尾西さん「生理中は血液が出るため、貧血になりやすいです。また先述のように、10代の時期は、病気ではなくても月経痛がひどい『機能性月経困難症』のケースがあり、筋トレをするのも厳しい状態の女子も多いので、激しい運動はお勧めできません」

Q.やむを得ず、生理中にプールに入る場合の対処法はありますか。

尾西さん「基本的に生理中のプールはNGですが、どうしても入らなければならない場合、入る直前にタンポンを入れ、外からプールの水が入らないように、また生理の血がプールに流れ出ないようにすることが大切です。プールを出たらすぐにタンポンを抜き、その後はタンポンを入れずに、経血を外に出すようにしましょう」

Q.もし、生理中にプールに入らざるを得ない場合、生徒の心身のために親や周囲の大人、生徒本人が気を付けるべきことは何でしょうか。

尾西さん「まずは周りの大人も『生理中にプールに入ることには、さまざまなリスクがある』ことを理解し、無理強いするのは避けた方がよいでしょう。貧血や冷えなど、本人の体調の問題だけでなく、他の生徒にも衛生上の問題があるので、誰にとっても良いことはありません」

Q.「生理中でもプール参加を強制」「見学の場合も筋トレ」をさせる学校が少なくないようです。

尾西さん「実際にこのようなことが原因で、生理が苦痛になったり、学校を休んでしまったりする女子も多くいます。生理は、将来にわたって『体のバロメーター』なので、苦痛になってしまうのは産婦人科医としては残念です。

また、先述の通り、生理中は貧血などの問題があるので、見学の場合も筋トレのような負荷の重い運動は避けた方がよいでしょう。プールサイドから声援を送ったり、プールサイドの簡単な掃除を行ったりするなど、他の生徒と一緒に参加している実感を得られるような見学の仕方がよいのではないでしょうか。

毎回のプールの授業では少し難しいかもしれませんが、プール遠足や、旅行でプールに入る予定がある場合などは、薬で生理をずらすことができます。最近では、生理を3~4カ月に1回にコントロールする薬もあるので、毎回の生理痛がつらい場合などはこうした方法を試してみるのも一つの選択肢です」

(オトナンサー編集部)

尾西芳子(おにし・よしこ)

産婦人科医(日本産科婦人科学会会員、日本女性医学学会会員、日本産婦人科乳腺学会会員)

2005年神戸大学国際文化学部卒業、山口大学医学部学士編入学。2009年山口大学医学部卒業。東京慈恵会医科大学附属病院研修医、日本赤十字社医療センター産婦人科、済生会中津病院産婦人科などを経て、現在は高輪台レディースクリニック副医院長。「どんな小さな不調でも相談に来てほしい」と、女性のすべての悩みに答えられるかかりつけ医を目指している。産科・婦人科医の立場から、働く女性や管理職の男性に向けた企業研修を行っているほか、モデル経験があり、美と健康に関する知識も豊富。オフィシャルブログ(http://ameblo.jp/yoshiko-onishi/)。

コメント

1件のコメント

  1. 中学生の頃「生理のときは水着で見学しろ」と言い渡された。教師の言い分は「見学していると男子が『生理だ!生理だ!』とからかうから」だそうだ。恥ずかしくてジャージで行ったら、問答無用で「校庭10周してこい」といわれた。

    またある先生は「私は生理でもプールに入ります」と豪語していたが、その先生が水着を着ているのを一度しか見ていない。

    あのころ、誰かに相談できる人がいたら、何か変わっていただろうか。