不登校や会食恐怖症の原因にも…学校の過剰な「完食指導」がはらんでいる問題とは
最後まで、学校給食を食べるように指導される「完食指導」が過剰になり、体調を崩したり、不登校になったりする小中学生が増えているようです。

学校給食は、小中学生の楽しみの一つですが、中には「給食を残してはいけません」と先生に言われ、給食時間が終わった後も居残りさせられた経験を持つ人がいます。これを「完食指導」といい、指導が過剰になって体調を崩したり、不登校になったりする事例が増えています。さらに、それが原因で「会食恐怖症」という精神疾患になるケースもあるのです。
筆者も会食恐怖症を経験した一人です。克服しましたが、同じような悩みを持ち、苦しんでいる人を少しでも助けられればと、一般社団法人日本会食恐怖症克服支援協会を設立して、過剰な完食指導や会食恐怖症についての相談を受けています。完食指導の現状や問題点について、ご説明します。
完食できなければ、クラス全員の前で謝罪
近年、主に学校給食での「完食指導」が原因となり、さまざまなトラブルが引き起こされたという報道が増えています。「給食は残さず食べるものだ」という考え方は昔からありますが、一体なぜ、このようなトラブルが表面化してきているのでしょうか。
具体的な事例を挙げると、岐阜県の市立小学校で2017年9月、50代教諭が担任を受け持った1年生のクラスで給食を残さないように指導し、数カ月の間に4人の児童が嘔吐(おうと)。2018年6月には静岡県で、当時小学6年の児童が、担任から給食の牛乳を飲むよう強制されたことでPTSD(心的外傷後ストレス障害)を発症したとして、学校を管轄している町に対し、家族が250万円の慰謝料を求める訴えを起こしたという報道もありました。
岐阜県や静岡県の小学校の事例では、児童に大きな健康被害が発生し、マスコミを通じて報道されたことで、世の中に知られることとなりました。こうした事例だけではなく、筆者のところには、表沙汰になっていない相談も届きます。完食指導についての相談先がまだ全国には少なく、相談が増えていると感じています。
最近、一番印象的なものとしては、給食を食べない児童に対して、担任が「クラス全員の前で謝罪させることを強制している」というものがあり、それがきっかけで不登校になったという相談がありました。
「今はそういう指導は、ほとんどないのでは」と言われることも多いのですが、保育所や学校の給食における完食指導、部活動における食事量の強制などの問題は、実際にまだまだ多いのです。
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