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少子化や住宅事情は関係なし? 都内メーカーの“小型”五月人形が好調、担当者に聞く

5月5日は「こどもの日」ですが、五月人形を飾る家庭が減少しています。そんな中、小型の五月人形が注目されています。

子どもの手のひらにも収まるサイズの五月人形(ふらここ提供)
子どもの手のひらにも収まるサイズの五月人形(ふらここ提供)

 5月5日は「こどもの日」です。この日は「端午の節句」にあたり、男の子の成長を祈り、五月人形を飾るのが風習となっています。ところが、最近は少子化が進んでいる上、住宅事情の関係で五月人形を飾らない家庭もあり、人形業界にとっては受難の時代かもしれません。そんな中、都内の人形メーカーが製造する小型の五月人形の売れ行きが好調です。

節句人形へのニーズの変化

 小型の五月人形を製造しているのは、五月人形、雛(ひな)人形などの製造・販売を手掛ける「ふらここ」(東京都中央区)です。2008年に創業し、同年秋から五月人形の販売を始めました。主な商品の価格帯は5万~13万円で、自社のオンラインショップなどで販売しています。販売担当者に聞きました。

Q.五月人形は毎年、何体製造するのでしょうか。また、製造工程は。

担当者「人形のほか、兜(かぶと)飾り、鎧(よろい)飾りも含めると、2017年度は1230セット、18年度は1515セット、19年度は2157セットを製造しました。

人形から衣装の布地、道具、飾り台まで、すべて自社で企画・デザインを行った上で販売しています。製造は、熟練した人形師に外注しており、最終仕上げ、検品をもう一度社内で行った後、お客さまへお届けしています。オリジナル性が高いことに加え、企画から販売まですべて手掛けることでお客さまの声を拾い上げやすくなり、ニーズに合った人形を製造できます」

Q.そもそも、なぜ小型の五月人形を製造したのでしょうか。

担当者「時代とともに節句人形へのニーズが変わったためです。一昔前は祖父母が孫のために節句人形を贈ることが多かったのですが、最近は若いお母さんが選ぶようになりました。

代表の原英洋は起業前、家業の人形店で働いていましたが、その際、『飾る場所がない』『飾り付けが大変』『しまうにも場所を取る』といった若いお母さんの声を20年近くにわたって耳にしてきました。コンパクトで飾り付けのしやすい人形が欲しいという思いを反映させるため、小型サイズの人形を製造しました。現代の住宅事情に合わせ、飾り台を含めても小さいサイズに設計し、飾り付けにも手間取りません。人形の高さは8~15センチ程度で、通常の五月人形の半分くらいです」

Q.製造時に工夫したこと、苦労したことは。

担当者「一般的な細面の上品なお顔ではなく、まんじゅう型の輪郭に垂れ目を付けたかわいらしい赤ちゃん顔にしました。これまでにない注文に、当初は人形師も戸惑っていましたが、試行錯誤を繰り返してくれました。彫りを深くしない赤ちゃん顔で目鼻をきちんと作るのは予想以上に難しく、人形師の高い技術が必要でした。

また、小さい人形に既成の生地では柄が大きすぎるため、色や柄を指定して当社独自の生地を織ってもらっています。赤や青のはっきりとした伝統的な柄ではなく、ピンクや淡い水色のパステル調が中心で、ウサギ柄や水玉模様、梅の刺しゅうなどでかわいらしさを演出しています。インテリアになじむよう、屏風(びょうぶ)はナチュラルな風合いにしました」

Q.発売直後の売れ行きは。

担当者「2008年度に販売した五月人形100セットはすべて完売しました。同じく、当社で製造している小型の雛人形の200セットと合わせ、4500万円の売り上げを達成しました」

Q.五月人形の販売のピークは。

担当者「3月が売り上げのピークです。例年、販売開始の11月1日から年末までは、1年間購入をお待ちいただいたお客さまからのご注文を多く頂きます。また、12月下旬ごろから、新しくふらここを知ってくださった人からのご注文が増えてきます」

Q.ふらここの五月人形について、どのような意見が寄せられていますか。

担当者「五月人形や兜飾りは男性向けに作られるものが多いのですが、実際に飾り付けをするお母さんからは、『こういうお人形を探していました』『やっとイメージに合ったものが見つかった』といったお言葉を頂きます」

 同社のオンラインショップを見ると、4月下旬時点で商品がほぼ完売していました。来年以降に購入を検討している人は、早めにチェックするとよさそうです。

(オトナンサー編集部)

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