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キュンキュンダンスが話題! 日向坂46は“ハッピーオーラ”で独自の魅力を築けるか

けやき坂46から改名してデビューした日向坂46。坂道グループの先輩である、乃木坂46や欅坂46の財産を受け継ぎつつ、どんな独自の魅力を構築するのか、注目されています。

日向坂46(ソニー・ミュージックレコーズ提供)
日向坂46(ソニー・ミュージックレコーズ提供)

 2016年5月、欅坂46の姉妹グループ・けやき坂46(ひらがなけやき)として活動開始し、先日、改名してデビューした日向坂46。デビューシングル「キュン」の初週売り上げは、女性アーティスト歴代最高となる47.6万枚を記録し、“キュンキュンダンス”と呼ばれる振り付けは、動画共有アプリ「TikTok」を中心に若者の人気を集めています。

 そんな日向坂46について、著書に「『アイドル』の読み方 混乱する『語り』を問う」(青弓社)があり、「乃木坂46 Artworks だいたいぜんぶ展」の制作にも携わったライターの香月孝史さんが解説します。

先行2グループの財産を受け継ぐ

 日向坂46は乃木坂46、欅坂46に続く、坂道シリーズの3つ目のグループです。ここでは、坂道シリーズの来歴から、日向坂46の立ち位置を見てみたいと思います。日向坂46は、先行する2グループが積み重ねた財産を受け継ぎつつ、そこに独自のカラーを添えようとしているグループといえます。

 坂道シリーズの歴史は、「AKB48の公式ライバル」として生まれた乃木坂46が自らのカラーを模索するところから始まりました。初期のフレンチポップ志向や、後々までグループの特色になっていく演劇への傾斜などを経由し、やがて、グループの持ち味となる繊細なビジュアルデザインやモデル、芝居などの適性を生かして、各分野でポジションを得るメンバーを輩出したことが奏功し、時間をかけて円熟していきました。

 欅坂46は、乃木坂46のキャリアで培われたアートワークへの注力を受け継ぎつつ、乃木坂46結成時からあった演劇志向を楽曲パフォーマンス面へ昇華させたような趣きがあります。多人数グループであることを生かした、演劇的な群像表現とシリアスな世界観を旗印に、デビュー直後から独自の方向性を打ち出すことに成功しました。

 そして、日向坂46は当初、欅坂46直系の妹分的な存在として「けやき坂46」名義で活動していました。シングルデビューこそしていませんが、単独ライブやアルバムリリース、冠バラエティー番組「ひらがな推し」(テレビ東京系)などによって、欅坂46の下部組織としてではなく個別のグループとしてのカラーを育みました。

 今年3月、横浜アリーナで、日向坂46としてのデビューカウントダウンライブが行われました。2部構成で、前半は「けやき坂46」としてのラストライブ、後半は同じメンバーで「日向坂46」としての初ライブ。1つの催しで、けやき坂46の活動終了と、日向坂46の始まりを告げ、独立したグループとしてのスタートを切りました。

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香月孝史(かつき・たかし)

ライター

1980年生まれ。ポピュラー文化を中心にライティング・批評やインタビューを手がける。著書に「乃木坂46のドラマトゥルギー 演じる身体/フィクション/静かな成熟」「『アイドル』の読み方 混乱する『語り』を問う」(ともに青弓社)、共著に「社会学用語図鑑 人物と用語でたどる社会学の全体像」(プレジデント社)、執筆媒体に「RealSound」など。

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