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使い分けが必要? ビジネスシーンで“方言”は使ってもよいのか、マナー講師に聞く

職場で方言を使う人がいたら…

Q.もし、職場で方言を使っている人がいたら、周囲の人は指摘すべきでしょうか。

西出さん「方言を使う、使わないはその人の自由です。とはいえ、方言を使用することで、それが双方にとってマイナスに働いてしまってはもったいないと思います。そうならないためにも、指摘というよりは“伝えて差し上げる”とよいでしょう。その場合は相手を傷つけない言い方で伝えます。先述の通り、あまりにも意識しすぎて、コミュニケーションを取ることに恐怖を抱かせてしまっては本末転倒だからです。

伝え方としては、例えば『今の○○ってどういう意味なんですか』と伺います。その後に『そういう意味なんですね! 知らなかったです』『勉強になりました』などと、プラスの言葉を伝えます。そして、『方言は温かみを感じさせてくれてよいですね。だけど、意味が伝わらない人もいるから、特に社外の人の前では、使わない方がよいかもしれませんね』と伝えます。最後に『どうでしょうか』『いかがでしょうか』などと、相手の気持ちを伺うことが大切です。

このように、『質問・御礼・肯定・指摘・伺い』の5ステップの順で伝えると、一方的な指摘にはならないでしょう。最初の質問時に、『興味があるから聞いている』というプラスのニュアンスを込めながら尋ねるのがポイントです」

Q.一方、地方都市に首都圏出身者が移り住んだ場合(あるいは別の地方出身者がそれらの地方都市に移り住んだ場合)は、「郷に入っては郷に従え」となるのでしょうか。

西出さん「転勤などに伴い、東京から地方へ移り住むケースもあるでしょう。その場合、移り住んだ地域の方言を習得するメリットは大いにあります。また、移住先の地域の人々とのコミュニケーションが密になっていくにつれて『地域特有のイントネーションが無意識のうちに染みついている』『いつの間にか口調が似てくる』といった経験がある人も少なくないはずです。

例えば、日本を訪れる外国人観光客に道を教えたとき、『ありがとう』と日本語でお礼を言われると、たとえ片言でもうれしく感じるものです。方言も同様に、その地域の人からすれば、言い方に微妙な違いを感じることはあるかもしれませんが、他の地域から来た人が自分の地域の方言やイントネーションに少しずつなじんでいく様子に、好感を持つ人は多いでしょう」

Q.地方出身者と首都圏(標準語エリア)出身者の良好なビジネスコミュニケーションのために、双方が意識すべきことは何でしょうか。

西出さん「社会では、さまざまな考え方や受け取り方をする人がいます。そうした人のことも考えて言葉を選び、使用することは、ビジネスパーソンとしてのマナーの一つといえます。繰り返しになりますが、ビジネスシーンにおいては、最低限意味の通じる言葉を意識する必要があります。しかし、方言はコミュニケーションにおける一つの“表現”として、また、距離が近づく“きっかけ”として人間関係を友好に導く作用をすることもあります。

方言を使用する側・使用される側の双方が相手の立場に立ち、それを双方にとってプラスに変換する意識や心の深さを持っていれば、ビジネスシーンにおいて良好なコミュニケーションが構築できますね」

(オトナンサー編集部)

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西出ひろ子(にしで・ひろこ)

マナーコンサルタント、マナー評論家、ヒロコマナーグループ代表

大妻女子大学卒業後、国会議員などの秘書職を経てマナー講師として独立。31歳でマナーの本場英国へ単身渡英。オックスフォード大学大学院遺伝子学研究者のビジネスパートナーと起業し、お互いをプラスに導くヒロコ流マナー論を確立させる。帰国後、名だたる企業300社以上にマナー研修やおもてなし、営業接客マナー研修、マナーコンサルティングなどを行い、他に類を見ない唯一無二の指導と称賛される。その実績は、テレビや新聞、雑誌などで「マナー界のカリスマ」として多数紹介。「マナーの賢人」として「ソロモン流」(テレビ東京)などのドキュメンタリー番組でも報道された。NHK大河ドラマ「いだでん」「花燃ゆ」「龍馬伝」、映画「るろうに剣心 伝説の最期編」などドラマや映画、書籍でマナー指導・監修者としても活躍中。著書は、28万部突破の「お仕事のマナーとコツ」(学研プラス)「マンガでわかる! 社会人1年生のビジネスマナー」(ダイヤモンド社)「マナーコンサルタントがこっそり教える 実は恥ずかしい思い込みマナー」(PHP研究所)「運のいい人のマナー」(清流出版)など監修含め国内外で90冊以上。「10歳までに身につけたい 一生困らない子どものマナー」(青春出版社)など、子どものマナーからビジネスマナーやテーブルマナーなどマナーのすべてに精通。ヒロコマナーグループ(http://www.hirokomanner-group.com)、プレミアムマナーサロン(http://www.erh27.com)。

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