「平成」から学ぶブランディングのコツ ポイントは使用頻度と情報発信?
新しい元号が「令和」に決まり、いよいよ「平成」が終わろうとしています。最初は違和感があった「平成」が現在では、確固たるブランドを確立したと指摘する弁理士に、ブランディングのコツを聞きます。
新しい元号が「令和」に決まりました。今回は、あとひと月で幕を閉じる現元号「平成」からブランドづくりのコツを考察してみます。「新元号、令和に関しては早くもネット上でさまざまな反応が見られます」。このように解説するのは、山田龍也弁理士(クロスリンク特許事務所)です。
確固たるブランドを確立した「平成」
新聞各紙はすべて号外として扱いました。政府は円滑移行を促し、4月2日の閣議で、5月1日の新元号「令和」への改元に向け、公文書上の元号の取り扱い方針を確認しています。「申請書類に改元日以降の年を『平成』で書いた場合も有効とし、生活への影響を最小限にするよう努める」(共同通信)とあります。
「2019年4月1日、政府は『平成』に替わる新元号を『令和』と発表しました。正直、まだピンと来ません。違和感しか感じないと言ってもよいでしょう。思えば、現元号『平成』が発表された時もそうでした。『なんだか間が抜けた元号だな。“昭和”の方が断然カッコいい』。そんなふうに感じたことを記憶しています」(山田さん)
「しかし、『平成』も今年で31年目。さすがに30年以上もたつと、『平成』に対する違和感はすっかり拭い去られました。そして、いよいよこの時代も終わりとなると、『平成』に対する名残惜しさを感じたりもします。そのような意味で、『平成』は確固たるブランドを確立することができたと言えるでしょう」
最初は違和感しか感じなかった「平成」がなぜ、ブランドを確立することができたのか。その理由を探ることで、ブランドづくりのコツが見えてくると、山田さんは指摘します。
唯一無二の存在となるべき
「『平成』がブランドを確立することができた理由を探っていきましょう。理由の1つ目は、唯一無二の存在であったことです。唯一無二の存在になれば、似たような言葉の中で埋没し、存在感を失うことがないからです。元号には競合相手がいません。政府が元号を『平成』と決めたら、他の元号を勝手に使うことはできないからです」
「一方、ビジネスには必ず競合相手がいます。会社名や商品名に、独自性のないありきたりの言葉を使っていれば、唯一無二の存在になることはできません。あっという間に言葉の海の中に埋没し、存在感を失います。例えば、新元号が発表されると、必ずそれにあやかった名前を付けようとする人がいます。どう見てもレッドオーシャンです」
「なぜ、わざわざ皆が群がっているところにいくのか」「多数の人がその商標を使っているのだから、独自性を発揮できない」「仮に一時的な話題になったとしても、ブランドを作ることはできない」と、山田さんは解説します。
「新元号が『平成』に決まったときも、『平成』にあやかった商標が多数出願されました。このため、特許庁は『元号に関する商標』について、元号(現元号であるか否かを問わない)として認識されるにすぎない商標は識別力がない(自分の商品・役務と他人の商品・役務を区別するものにはならない)ため、商標登録を受けることはできません、と発表しています」
※「元号に関する商標の取扱いについて」(特許庁HP)
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