「嵐」チケット転売にジャニーズ事務所抗議、ネット売買に法的問題はないのか
有名芸能事務所が、所属グループのツアーでチケットの不正売買が多数発覚したとして、正規販売以外の購入を控えるよう呼びかけました。今回は、入手困難なチケットなどを、インターネットのサイトなど正規以外のルートで売買する行為について考えます。

大手芸能事務所のジャニーズ事務所が先日、チケット売買サイトのチケットキャンプが「ジャニーズ応援キャンペーン」を行っていることに抗議しました。
同事務所は「当該サイトの運営会社はジャニーズ事務所ならびにジャニーズ関連会社とは一切関係がなく、当該サイトにおける『ジャニーズ』との名称の記載は無断で行われている」との見解を発表。
また人気グループ・嵐のドームツアーにおいてチケットの不正売買が多数発覚し、無効な転売チケットの中に、チケットキャンプで転売対象になったものが多数含まれていたとして、正規販売以外の購入を控えるよう呼びかけました。
オトナンサー編集部では今回、こうした人気チケットを正規以外のルートで販売したり、購入したりする行為について、法的側面から考えます。
「ジャニーズ」使用は商標権侵害の可能性
まず今回のケースでは、「ジャニーズ」という名称の使用が一つの争点になっています。「ジャニーズ」のような名称を勝手に使用できるのでしょうか。
アディーレ法律事務所の吉岡一誠弁護士によると、ジャニーズ事務所は「ジャニーズ」という商標を登録しています。そもそも商標は「自身の商品又は役務(サービス)と他人の商品又は役務を区別するために、自身の商品又は役務に使用する名称や標章(マーク)」を指し、商標登録者には、自己の商標を使用しないよう求める権利(商標権)があるとされます。
チケットキャンプは、チケットの転売に関して、ホームページで「ジャニーズ」の名称を使用して宣伝していることから、消費者側が、ジャニーズ事務所が提供するサービスであると誤認する恐れがあるため、「商標権侵害の可能性があります」。つまりジャニーズ事務所の抗議は法的に認められうるそうです。
商標権侵害の例としては、類似するブランドロゴや名称を使用した商品を販売したり、類似する名称を屋号にして飲食店を営業したりする、などがあります。
前者については、洋菓子「白い恋人」の販売元が、「面白い恋人」という洋菓子を販売した吉本興業に販売差し止めと損害賠償を求めた事件が、後者については、カップうどん「どん兵衛」を販売する日清食品が、中国・東海地方でうどん店をチェーン展開していた「どん兵衛」に、名称の使用差し止めと損害賠償を求めた事件があるようです。
吉岡さんによると、商標権侵害を行った場合「10年以下の懲役もしくは1000万円以下の罰金又はその両方」(商標法78条)が、また、行為者だけでなく法人についても「3億円以下の罰金」(同82条)が科せられる可能性があります。
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