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【マナーのプロが解説】新入社員のスーツはこう選ぶ!

就職活動を経て、この春から社会人となる人たちは、どのようなスーツを選ぶべきなのでしょうか。マナーのプロが解説します。

新入社員のスーツ選びの基本は?
新入社員のスーツ選びの基本は?

 就職活動を経て、晴れて社会人となる新入社員の皆さんは、ここからが本格的な大人の仲間入りと言ってもよいでしょう。大人であるからには、身だしなみは完璧でありたいもの。初対面の際に好印象を与えるためには、正しいスーツ選びが不可欠です。

 新入社員は、どのようなスーツを選ぶべきなのでしょうか。28万部超えのビジネスマナー本「お仕事のマナーとコツ」(学研プラス)をはじめ、国内外で85冊以上のマナー本を著者・監修者として手がけるほか、カラーコーディネートなどの服装マナーも取り入れた企業での人財育成も行う、マナーコンサルタントの西出ひろ子さんに聞きました。

「清潔感」「安心感」「誠実さ」が大切

 会社によっては、あなた以外にも数人~大人数の新入社員がいる場合があります。そんな中で少しでも目立とうとして、派手なスーツや特徴のある格好をしていると、どのように見られるでしょうか。先輩や上司から「まだ仕事も覚えていないのに、格好だけは気合十分だな」と思われてしまうかもしれません。

 新入社員に求められている身だしなみは「清潔感」「安心感」「誠実さ」の3点です。これらを、スーツや見た目でアピールしなければなりません。つまり、新入社員はまだ「スーツで個性を出す」段階ではないのです。

新入社員のスーツ選び【男性編】

 では、新入社員はどのようなスーツやアイテムを選べば、悪目立ちせず好印象を与えることができるのでしょうか。基本的には、色や柄、デザインなど、すべての点において「ベーシックなもの」を選ぶことを頭に入れておきましょう。

【スーツの色】

 黒や濃紺はオールシーズンに対応し、新入社員にお勧めのカラーです。しかし、黒は「冠婚葬祭に着用するもの」という意見も多いため、漆黒ではない、少し白みがかった黒を選ぶようにすると安心です。紺やグレー系を選ぶときは、濃紺やダークグレーなど、深く濃い色を選びましょう。落ち着いた印象となるため、相手に安心感を与えます。特に、濃紺は知的なイメージをプラスできる色なので、大事な仕事の場面でも活用できます。

 新人や若手のうちは、黒に近いスタンダードなダークカラーを選び、年数やキャリアを重ねるにつれて、季節に合わせた明るいグレー系のスーツなども着こなせるようになると理想的ですね。

【スーツの柄】

 入社1年目など若手の頃は、無地のスーツをお勧めします。無地のものは、柄物のシャツやネクタイとも合わせやすく、汎用(はんよう)性が高いです。また、無地だと個性を主張することなく、新人らしい初々しさや真面目さ、誠実な印象も与えることができます。

 無地以外を選ぶ場合は、鉛筆で引いたような細い線の「ペンシル・ストライプ」や、髪の毛のように細いラインの「ヘアライン・ストライプ」であればオーケーです。太いストライプは派手な印象となって目立つため、若手のビジネススーツには不向きといえます。また、業種や職種、会社によっては、格子柄やグレンチェックもよしとしている場合があります。職場の雰囲気、上司や先輩など会社の傾向を見て選んでいきましょう。

【スーツの形・デザイン】

 ベーシックなデザインは、シングルスーツの2つボタン型です。もちろん、3つボタン型を選んでもよいでしょう。気に入った形やデザインのものがあっても、自分に合っていなければスーツは格好良くありません。スリムなタイプはすっきりした印象を与えますが、動きにくいという点もあるため、機能性も確認する必要があります。体にフィットするものを選ぶために、次のポイントを意識しながら、必ず試着することをお勧めします。

・肩はジャストサイズか
・ジャケットの後ろ襟からシャツが約1センチ見えるか
・横から見たとき、肩から腰にかけてS字のラインがきれいに出ているか
・ジャケットの着丈はヒップを隠すぐらいか
・ジャケットの袖口から指1本分ほどのシャツの袖が見えるか
・パンツの裾は靴の甲に触れ、ややたるみが出ているか

【ワイシャツ】

 新入社員が持っておきたいワイシャツの定番カラーは、白です。無地の白をはじめ、薄いブルー系、白・ブルー系をベースにしたストライプなどは清潔感を与えられます。

 襟(カラー)の形は、標準的な「レギュラーカラー」と、襟が広めな「ワイドスプレッドカラー」が無難でしょう。ノーネクタイでも問題ない職場やクールビズの時期、カジュアルデーは「ボタンダウンカラー」の男性も多いですが、本来、ボタンダウンはカジュアルな部類に入るため、一般的な職場ではお勧めしません。

 ワイシャツでありがちなのが「気づかないうちに襟元や袖口が汚れていた」というケース。新入社員は特に清潔感を大切にしたいので、ワイシャツを毎日替えることはもちろんのこと、洗濯もきちんと行いましょう。忙しくて洗濯ができなくても替えのシャツを用意できるように、週の勤務日数+1枚はそろえておきたいものです。

【ネクタイ】

 ネクタイは個性を出せるアイテムですが、新入社員は派手なデザインにならないように注意しましょう。柄が大きくなると派手になったり、カジュアルな印象になったりするので、控えめな細かい柄を選ぶのがポイントです。無地のネクタイの他には、レジメンタルやドットが使いやすいでしょう。スーツやシャツとの相性や、自身にしっくりとくる違和感のない柄かどうか、また、自社のイメージに合っている柄かどうかなども考えて組み合わせてみてください。

【靴・靴下】

 スーツで仕事をする新入社員なら、靴は、つま先に飾りのないプレーントゥのひも付きの革靴を用意しましょう。かかとなどのすり減りを防ぐため、2足用意して交互に履き分けることができれば理想的です。この場合、2足目は、つま先に切り替えのあるストレートチップ(一文字飾り)などもよいですね。また、2足あると1足を修理に出していても安心です。

 色は黒を選びましょう。ダークブラウンであっても、新人や若手のうちはブラウン系は控えることをお勧めします。黒は安心感を与えますが、ブラウン系は軽い印象となってしまうためです。

 靴下は、着席時にパンツ(ズボン)が上がったときもすねが出ないような、長いタイプにしましょう。色は、スーツのパンツ(ズボン)と靴、ベルト、かばんの色と同系色にするのが基本なので、黒であれば心配はありません。スーツが濃紺であれば、靴下を濃紺にしてもよいでしょう。この場合は靴、ベルト、かばんは黒でまとめます。

新入社員のスーツ選び【女性編】

「仕事はスーツで」という環境の女性もいます。制服があれば、仕事中に何を着ればよいか迷うことがなく安心ですが、私服やスーツの場合は「どこまでのラインが許容範囲なのか」で悩む女性も多くいます。また、「新入社員のうちは、慣れるまでは就職活動中に着用していたスーツを着るのが無難」という人もいることでしょう。女性のビジネスシーンにおけるスーツの着こなしのポイントをご紹介します。

【『清楚(せいそ)であること』を意識する】

 おしゃれに敏感な女性や、ファッションが好きな女性は、職場でも流行を意識したいかもしれません。しかし、職場の服装にファッション性は必要ありません。大切なのは、清楚で上品、かつ機能的であること。特に新人の頃は、個人的な感覚は持ち込まないように気を付けましょう。

【スーツ】

 ボディーラインが強調されやすいタイトなジャケットは避けましょう。スカートは、短過ぎるものや深くスリットが入っているものはNG。座ったときでも、膝が隠れる程度の丈が理想的です。スカートがフォーマルですが、職場によってパンツスタイルも許容されていれば、仕事の場面によってパンツを選んでもよいでしょう。

【シャツ・トップス】

 シャツは、スーツとの相性が良い白や淡い色のものを用意しましょう。ジャケットでなくても、勤務中はカーディガンなどを羽織ってよい場合もあります。その際は、派手すぎない色を選び、職場にふさわしい華美な装飾がないデザインのものにします。

【ストッキング】

 基本的には、ナチュラルなベージュのストッキングを着用するのがビジネスシーンでのマナーとされていますが、基本的には職場や会社の方針に従いましょう。冬場はタイツを着用できる職場も多くあります。タイツを着用してもよい職場の場合、色は黒であれば問題ありません。濃紺やこげ茶、濃いグレーなど、ダークな色付きを選んでよいかどうかも、会社の規定に従います。赤や黄色などの原色はもちろんのこと、明るいグレーなどは仕事中は控えます。

【靴】

 仕事中のスーツ姿には、つま先もかかとも覆われているプレーンなパンプスが基本です。オープントゥやサンダル、ミュール、ブーツは避けましょう。ヒールは、低すぎず高すぎない3~5センチ程度のものを選ぶと、見た目にもすっきりしていて歩きやすく、機能的なのでお勧めです。

 色はスーツの色に合わせて、ブラックやネイビー、ベージュなど落ち着いた印象のものにします。大きな装飾などがない、シンプルなデザインのものを選ぶのがポイントです。

リクルートスーツOKの場合も

 選び方以外にも、スーツに関する注意点は多くあります。特に新入社員の方が迷いがちなポイントをご紹介します。

【何着あればいいの?】

 新入社員のうちは、スーツを何着も購入する余裕はありません。しかし、最低2着は用意しておきたいところです。同じスーツを連日にわたって着続けると、劣化が早くなってしまいます。「数日着た後は休ませて、もう一着の方を着る」を繰り返すとよいでしょう。

【リクルートスーツは着てもいいの?】

「就職活動中に着用していたスーツをきれいな状態で保管している」という人も多いことでしょう。就職先の身だしなみの規定に沿っているスーツであれば、着用しても問題ありません。新しく用意した2着+リクルートスーツがあれば安心ですね。

 ただし、近年はリクルートスーツにも変化がみられます。リクルートスーツといえば「黒いスーツ+白いシャツ」が定番でしたが、それにこだわることなく「普段の服装で面接に来てください」という企業も増えてきました。だからこそ、就職活動時に着用していた服装が、実際の就職先での身だしなみ規定に合っているかどうかの確認は大切です。

【値段はいくらぐらいのものがいいの?】

 スーツの値段は幅広く、10万円以上する高価なものもありますが、新入社員の頃はスーツに大金をかけるのは難しいものです。最初はブランドにこだわらず、量販店などで手頃に買えるものを探しましょう。

 最初は2万~3万円のものが相場のようです。業種や職種、立場などにもよりますが、キャリアを積んで余裕が出てきたら、お気に入りのブランドを見つけたり、オーダーメードでスーツを仕立てたりしてもよいですね。ただし、職場の周囲の人たちとの調和を乱すような高級品は控えましょう。

長く愛用するためのお手入れ方法

 新たなスーツやアイテムを買い足すまでは、用意した最低限のものを長くきれいに使い続けることが大切です。ここでは、ビジネスで使用するアイテムのお手入れ方法をご紹介します。

【スーツは毎日のケアが大切】

 先述の通り、基本的にスーツは連日の着用を避け、数日着たら休ませるようにしましょう。ジャケットは厚手のハンガーにかけ、型が崩れないようにします。パンツはジャケットとは別のハンガーで保管するとよいでしょう。逆さまにつるせるタイプのものがお勧めです。

 ジャケットもパンツも、洋服用のブラシで生地の流れに沿ってブラッシングすれば、ほこりや汚れを落とせます。シワが気になるときは、ハンガーにかけた状態でスチームアイロンを当てるときれいになります。

 飲食店に入ると、においなどが洋服に付着することもあります。汚れやシワだけではなく、においにも注意しましょう。必要に応じて洗濯やクリーニングをするなど、細部にまで気を配って管理をしましょう。

【ワイシャツは収納を丁寧に】

 ワイシャツをきれいに着るための重要なポイントは、収納を丁寧に行うこと。特に、シャツは襟周りや袖口にシワが寄らないようにしたいものです。ハンガーにかけておくのが理想的ですが、難しい場合は畳んで収納します。畳む際は、着たときにシワになったり、襟がつぶれたりしないよう配慮が必要です。1着ずつ収納したり、重なったりしないようにしましょう。

【靴は毎日交互に履く】

 靴は、なるべく連日同じものを履かずに、最低2足を交互に履くようにしましょう。帰宅後は簡単に汚れを落とし、シューキーパーをすぐに入れておくと、靴の湿気や臭いの除去や型崩れ防止になります。週末や余裕があるときに、クリームなどを使って靴のケアを行えば、長く愛用することができるでしょう。

新入社員らしいスーツ選びと着こなしを

「新入社員の皆さんは、おしゃれなものを選んだり、個性的な着こなしをしたりすることよりも、まずは『新入社員として安心できる人』と評価され、職場の人たちやお客さまに受け入れられ、かわいがられる“愛される見た目”であることを意識しましょう。

社会人としての日々と経験を重ねるにつれ、仕事を覚えたり、人間関係を構築したりすることなどに必死で、服装のことは少しずつ後回しになっていくかもしれません。しかし、最初にスーツを選んだときの気持ちを忘れずに、“初志貫徹”の精神で服装選びや日々のケアを行っていただきたいのです。ビジネスアイテムを大切にする気持ちは、きっと見た目にも表れて、あなたの評価とビジネスチャンスを広げていくはずです」(西出さん)

(オトナンサー編集部)

西出ひろ子(にしで・ひろこ)

マナーコンサルタント・美道家・ヒロコマナーグループ代表

大妻女子大学卒業後、国会議員などの秘書職を経てマナー講師として独立。31歳でマナーの本場英国へ単身渡英。同国でビジネスパートナーと起業し、お互いをプラスに導くヒロコ流マナー論を確立させる。帰国後、名だたる企業300社以上にマナー研修やおもてなし、営業接客マナー研修、マナーコンサルティングなどを行い、ほかに類を見ない唯一無二の指導と称賛される。その実績は、テレビや新聞、雑誌などで「マナー界のカリスマ」として多数紹介。「マナーの賢人」として「ソロモン流」(テレビ東京)などのドキュメンタリー番組でも報道された。NHK大河ドラマ「花燃ゆ」「龍馬伝」、映画「るろうに剣心 伝説の最期編」など、ドラマや映画、書籍でマナー指導・監修者としても活躍中。著書に、28万部突破の「お仕事のマナーとコツ」(学研プラス)「マンガでわかる! 社会人1年生のビジネスマナー」(ダイヤモンド社)「マナーコンサルタントがこっそり教える 実は恥ずかしい思い込みマナー」(PHP研究所)「運のいい人のマナー」(清流出版)など国内外で70冊以上。最新刊「10歳までに身につけたい 一生困らない子どものマナー」(青春出版社)が2018年5月19日に発売。ヒロコマナーグループ(http://www.hirokomanner-group.com)、プレミアムマナーサロン(http://www.erh27.com)。

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