自分の髪の毛を寄付する「ヘアドネーション」参加者が増加、どんな取り組み?
髪の毛の寄付「ヘアドネーション」の認知度が高まり、成人式や卒業式、七五三の後に参加する女性が増えています。

ここ数年、「ヘアドネーション」という活動に参加する人が増えているそうです。ヘアドネーションとは、“ヘア=髪の毛”と“ドネーション=寄付”を組み合わせた言葉で、自分の髪の毛を寄付する活動のことです。協力者から寄付された毛髪を使って医療用ウイッグ(かつら)を作り、必要とする人に無償で提供しているNPO法人を取材しました。
協力者の約3割が子どもたち
取材したのは、NPO法人「Japan Hair Donation & Charity」(JHD&C、大阪市北区)です。JHD&Cは、国際標準の12インチ(約31センチ)以上の毛髪を募り、寄付された毛髪のみを使って、JIS規格に準拠した医療用ウイッグを製造、小児がんなどの治療や脱毛症、生まれつき毛が少ない乏毛(ぼうもう)症などで髪に悩みのある18歳以下の子どもたちに、無償で提供しています。広報担当の今西由利子さんに聞きました。
Q.ヘアドネーションをする人は増えているのですか。
今西さん「JHD&Cに関していえば、近年特に増えています。2009年の活動開始当初は、月に1件程度だった髪の寄付が、週に1件、1日に1件と緩やかに増え、2011年の東日本大震災を契機に急増しました。2016年の熊本地震、鳥取県中部地震後は、著名人の寄付がSNSで拡散されるなどして髪の寄付やウイッグの申請が急増しました。
大災害でのボランティア活動を見聞きして、各個人が『自分にも何かできることはないだろうか』と模索した結果、ハードルの低いボランティアとしてヘアドネーションが認知されたのではないかと思います。また、SNSでヘアドネーションの取り組みが拡散し、認知が広がったことも要因ではないかと考えています」
Q.どのような人が参加していますか。
今西さん「ヘアドネーションを行うのは、ほとんどが女性です。最近では、10代や10歳未満の子どもたちからの寄付も増えました。現在では、ヘアドネーション総数の約3割が子どもたちからの寄付で、夏休み期間中は4割を超えることもあります」
Q.成人式を迎える女性は、式前に髪を伸ばし、式後にカットする人が多いそうです。成人式後は、ヘアドネーションを行う人が増えるのでしょうか。
今西さん「成人式や卒業式、七五三の後など、多くの人が髪をバッサリ切ってスタイルチェンジするときに、特に多くお寄せいただきます。結婚式など人生の節目にヘアドネーションされる方も多くいらっしゃいます」
Q.髪に悩みを持つ18歳以下の子どもに、どのような手助けができますか。
今西さん「髪に悩みを持つ18歳以下の子どもたちは、見た目が同世代と違うため、学校などでとても目立ってしまいます。髪の問題に加え、精神的にも大きなストレスを抱えます。また、治療費などを通じて家計に負担をかけていることで親を気遣い、ウイッグが欲しくても自分から言い出せずに遠慮してしまう子どもも大勢います。
そうした子どもたちにウイッグを無償で提供することは、人目を気にせず前向きな日常生活を送る手助けになると考えています」
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