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トランプ氏勝利でマーケット変動激しく…投資家はどんなことに注意すべき?

米大統領選で共和党候補のドナルド・トランプ氏が勝利しました。これを受けて、日本のマーケットも大きく変動、しかし、長期的視野に立った冷静な目も求められます。今回はその一助になりうる話を専門家に聞きました。

トランプ氏勝利で米国、そして日本はどう変わるのか…

 米大統領選で共和党候補のドナルド・トランプ氏が勝利しました。

 マーケットでは、トランプ氏優勢、そして当選確実が報じられた9日以降、株価や為替が激しく変動。日経平均株価は9日終値で1万6251円54銭まで急落しましたが、10日午前に1万7178円87銭へと急反発し、結局1万7344円42銭で取引を終えました。

 東京外国為替市場で、ドル/円相場は9日午後3時時点、1ドル=101円70銭台で推移していましたが10日午前11時半に1ドル=105円10銭台、午後3時には1ドル=105円30銭台まで円安・ドル高が進んでいます。

 今回のような大きなイベントがあると、マーケットは当然、大きく変動することになりますが、一方では近視眼的でない、長期的視野に立った冷静な目も必要とされます。

 オトナンサー編集部では今回、そのための一助になろうとマネースクウェア・ジャパンの西田明弘チーフエコノミストに話を聞きました。

“大統領らしい”演説でドル高進行

 西田さんは、ドル/円下落から一転、大きく円安・ドル高が進んでいる現状について、「ドル/円はトランプ・リスクを織り込む形で、リスクオフから下落していましたが、相場急落の反動や材料出尽くし、日本当局からの口先介入がありいったん小反発しました。日本時間9日午後の勝利演説が国内外の協調や団結を訴える“大統領らしい”ものだったことで、リスクオフがやや後退しドル高に振れました」と説明します。

 また、トランプ氏が減税やインフラ投資による景気刺激を表明したことで米国株が大幅に反発、財政赤字懸念から米長期金利が上昇したこともドルの押し上げ要因になったといいます。10日の東京市場はその流れを受けたものでした。

 それでは、マーケットが急変した、今年6月の欧州連合(EU)離脱をめぐる英国民投票と今回では、何か違いがあるのでしょうか。

 西田さんは「リスクオン/リスクオフを決定するイベントの日時が事前にわかっており、かつリスクオンの結果になるとの予想が支配的な中で、リスクオフの結果に市場がやや過剰に反応したものの、市場が次第に落ち着きを取り戻したという点で両者は似た動きとなりました」と話します。

 ただし、西田さんによると、英国のEU離脱問題「Brexit」(ブレグジット)の日本経済への影響は限定的ですが、今回のトランプ氏勝利は米経済の方向性や通商・外交を通じて「日本経済に多大な影響を与える可能性があります」。

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西田明弘(にしだ・あきひろ)

株式会社マネースクウェア・ジャパン(M2J)市場調査部チーフエコノミスト

1984年日興リサーチセンター入社。米ブルッキングス研究所客員研究員などを経て、三菱UFJモルガン・スタンレー証券入社。チーフエコノミスト、シニア債券ストラテジストとして高い評価を得る。2012年9月マネースクウェア・ジャパン(M2J)入社。現在、M2Jのウェブサイトで「市場調査部レポート」「市場調査部エクスプレス」「今月の特集」など多数のレポートを配信するほか、テレビ・雑誌などさまざまなメディアに出演し活躍中。株式会社マネースクウェア・ジャパン(M2J)(http://www.m2j.co.jp)。

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