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いつまでに行く? 神社とお寺どっち? 「初詣」の正しい目的と拝礼方法

「毎年、正月には必ず初詣に行く」という人も多いと思います。その由来や作法を専門家に聞きました。

毎年、多くの初詣客が訪れる東京・浅草寺
毎年、多くの初詣客が訪れる東京・浅草寺

 新しい年がやってきました。「毎年、正月には家族そろって初詣に行く」という人も多いのではないでしょうか。初詣は、年が明けてから初めて神社や寺に参拝することを指しますが、ネット上では「いつまでに行けば初詣?」「三が日を過ぎてからでもいいの?」「神社とお寺のどっちに行くべきか迷う」「正しい作法が分からない」など、その意味や方法に関する疑問の声が上がっています。

 初詣の正しい意味や目的、参拝方法について、和文化研究家で日本礼法教授の齊木由香さんに聞きました。

まずは氏神や菩提寺へ参拝

Q.そもそも「初詣」とは何でしょうか。

齊木さん「初詣とは、その年に初めて神社仏閣へ参り、新年の無病息災や平穏無事などを祈ることです。時計がまだなかった昔は、日が暮れる頃が一日の終わりで、日が暮れてからが一日の始まりとされていました。よって、現在の大みそかの夕方からがお正月だったのです。

その大みそかから元旦にかけて、家長(家を代表する者)がその土地の氏神様を祭った神社に泊まり込み、夜通し、その年の豊作や家内安全などを祈りました。これを『年籠り(としごもり)』といいます。そして、年神様がいる方向にある神社にお参りすることを『恵方参り』といいます。この『年籠り』『恵方参り』が、現在の初詣に由来するといわれています」

Q.初詣に訪れるのは神社/寺院のどちらがよいのでしょうか。

齊木さん「信仰上の理由がない限り、どちらへお参りに行ってもよいとされています。

一般的に、神社は『神様』、お寺は『仏様』がいらっしゃる場所とされています。日本で、神社やお寺が明確に区別されるようになったのは、明治時代の『神仏分離令』以降で比較的最近のことです。それまでは『神仏習合(しんぶつしゅうごう)』といい、多くの神や仏は区別なく信仰の対象とされていました」

Q.参拝する場所の選び方などはありますか。

齊木さん「まずは氏神(家の近くの神社)、または菩提寺(自分の家が檀家となっているお寺)に行くことをお勧めします。神社の信仰は、神社がある各地域を基盤としています。有名な神社仏閣や恵方参りをしたい場合は、氏神や菩提寺の後に行きましょう」

Q.初詣の参拝時の作法について、気をつけるべきことを教えてください。

齊木さん「参拝の際には、次の3点に注意するとよいでしょう」

【鳥居のくぐり方】

神社の鳥居には、一般社会と神域を区切る結界のような意味があるともいわれています。目上の方のお宅を訪問するような気持ちで、一礼してからくぐるのが丁寧なくぐり方とされています。また、参拝を終えて境内を出る際も、社殿の方に向き直って一礼するとよいでしょう。

【参道の歩き方】

神社では、参道の中央を「神様が通る道」(正中・せいちゅう)と捉えることがあります。そのため、参道の中央を避けて進むのは敬意の表れといえます。また、参道の中央を横切る際に、軽く頭を下げながら通り、中央で神前に向き直って一礼してから横切るという敬意の表し方もあります。また、参拝時もできるだけ中央を避けるとよいでしょう。

【さい銭について】

さい銭箱の前に立ったら会釈をし、神様に捧げる真心のしるしとして、さい銭箱におさい銭を入れます。金額は、自分の気持ちで決めてよいとされています。神社のさい銭は「神様へのお供え物」、お寺では「お布施」であり、欲や執着を捨てる施しの修行です。額が多いほどご利益があるということではなく、自分の気持ちに見合う額を納めましょう。

Q.初詣は元日、もしくは三が日に行くべきなのでしょうか。

齊木さん「『一年の計は元旦にあり』という言葉がありますが、初詣はいつまでに行けばよいという決まりはありません。『三が日(1月1~3日)に行くもの』という考えが浸透していますが、現在では年神様のいらっしゃる松の内(関東では1月7日まで、関西では同15日まで)に行くのが目安となっています。

新潟県や長野県では、大みそかの深夜から年明けにかけて、2つの年にまたぎ参拝することを『二年参り』といい、より功徳が積めるといわれています。地域やご家庭の考え方を目安とするのがよいでしょう」

Q.喪中の人は年賀状を出すべきでないと言われますが、初詣に行ってもよいのでしょうか。

齊木さん「『喪中』は亡くなった人をしのぶ期間を意味し、近年では1年間を喪中と考えるのが主流です。また、神社とお寺では死に対する考えが異なります。

神社では、死を『穢(けが)れ』とする考え方があり、神様は穢れを嫌うため、神聖な場所である鳥居をくぐることができません。従って、近親者にご不幸があった場合は、神社にまつわる慶事を避けなければならないとされています。ただし、忌明け(地域にもよるが、神道で五十日祭)後であれば、神社へ行かれてもよいでしょう。気になる場合は、三が日もしくは松の内が過ぎてからのお参りをお勧めします。

神社は地域に根付いた信仰であり、古くからの習わしや宗派によって考えが異なる場合があるので、まずは各神社に問い合わせてみましょう。

一方で、お寺では死を『穢れ』とは考えず、忌中や喪中といった考え方もしません。従って、どの期間に参拝しても問題ないとされています」

Q.その他、初詣に関する注意点はありますか。

齊木さん「服装は、その時々の心の表れともいわれます。今日でも、あらたまった場での服装には特に気を使うように、神社の神職は、神様に対する時は目上の人に接するように正装します。そのため、初詣で神社を参拝する際には、極力服装をただすよう心がけてはいかがでしょうか。

特に、社殿の中などの特別な場所で参拝する際、男性はスーツにネクタイ着用、女性も同等の服装を必要とされることもあります。こちらも、伊勢神宮など神社仏閣により厳格に決まりがあるところもあるので、事前の確認が必要です。

また、神社仏閣により拝礼方法が異なる場合があります。基本的には『二礼二拍手一礼』が一般的ですが、出雲大社のように『二拝四拍手一礼』のところもあります。必ず確認してから拝礼しましょう」

(オトナンサー編集部)

齊木由香(さいき・ゆか)

日本礼法教授、和文化研究家、着付師

旧酒蔵家出身で、幼少期から「新年のあいさつ」などの年間行事で和装を着用し、着物に親しむ。大妻女子大学で着物を生地から製作するなど、日本文化における衣食住について研究。2002年に芸能プロダクションによる約4000人のオーディションを勝ち抜き、テレビドラマやCM、映画などに多数出演。ドラマで和装を着用した経験を生かし“魅せる着物”を提案する。保有資格は「民族衣装文化普及協会認定着物着付師範」「日本礼法教授」「食生活アドバイザー」「秘書検定1級」「英語検定2級」など。オフィシャルブログ(http://ameblo.jp/yukasaiki)。

コメント

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1件のコメント

  1. ……う〜ん。「その土地の氏神様を祭った神社」とあるが、土地の神様は「産土神」で氏族の神様である「氏神様」とは別の概念ではないかな? それとも「(自分が住む)その土地の(自分の)氏神を祀った神社」という意味なのかな?