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患者が急増中? 頭痛で鎮痛薬を飲み続けると起こる「薬物乱用頭痛」とは

頭痛で鎮痛薬を飲み続けると、かえって痛みが慢性化する「薬物乱用頭痛」になる恐れがあり、その患者が増えているようです。

薬への頼りすぎによる薬物乱用頭痛とは?
薬への頼りすぎによる薬物乱用頭痛とは?

 頭痛の場合、市販の鎮痛薬を服用する人が多いのではないでしょうか。しかし、手軽に服用できるからといって鎮痛薬に頼り過ぎると、かえって痛みが慢性化する「薬物乱用頭痛」になる恐れがあるようです。日本では、日常的に頭痛に悩んでいる人が4人に1人とされ、決して人ごとではありません。この薬物乱用頭痛について、頭痛外来が専門の東京頭痛クリニック(東京都渋谷区)理事長・にわファミリークリニック(東京都調布市)院長の丹羽潔さんに聞きました。

患者は5年前の倍以上か

Q.「薬物乱用頭痛」とはどのような病気ですか。

丹羽さん「簡単にいうと、薬を飲むことで起きる頭痛です。片頭痛や、首凝り・肩凝りからくる緊張型頭痛が慢性化し、『その痛みが嫌だから』と、さらに鎮痛薬を飲むことで発症します」

Q.発症のメカニズムは。

丹羽さん「鎮痛薬そのものが効かなくなって発症するのではありません。脳には痛みのレベルをコントロールする機能がありますが、その機能がまひすることが原因です。

例えば、腕を緩くつねるとそれほど痛くありませんが、つねる力を強めていくと、痛みも強くなります。このように脳は、一定のレベルまでは痛みを強く感じないようにコントロールしています。しかし、鎮痛薬を継続的に飲んで痛みを抑えていると、痛みを感じる機能がまひし、ちょっとしたことで強い痛みを感じてしまい、また鎮痛薬を飲むという悪循環に陥ります。これが薬物乱用頭痛です」

Q.市販の鎮痛薬をどれくらい飲むと薬物乱用頭痛になりますか。

丹羽さん「月に10日以上、市販の鎮痛薬を飲み、それが3カ月を超えると薬物乱用頭痛だという国際基準があります。1日に鎮痛薬を2回飲んでも、4回飲んでも『1日』とカウントします」

Q.薬物乱用頭痛になる人は増えているのですか。

丹羽さん「統計的なものは日本にはありませんが、日常の診察を通じて感じる私の印象では、5年前と比べ確実に倍以上に増えていると感じます。男性と女性とを比べると、女性の方が圧倒的に多いです」

Q.増えている要因は。

丹羽さん「一概には言えませんが、まず市販の鎮痛薬の種類が非常に多いということがあります。また、鎮痛薬の情報がメディアから多数流れ、安易に鎮痛薬を購入してしまうことも原因だと思います。CMでも『頭痛に早く効くのは、新商品の○○』などと、多くの著名な芸能人が訴えかけています」

Q.頭痛になるのは女性が多いそうですが、どのような女性が発症するのですか。

丹羽さん「働く女性、特に30~40代の女性に多いです。これらの女性は、会社では仕事のストレス、結婚すれば家事や育児のストレスを抱え、それらの要因から頭痛になりやすく、おまけに会社と家庭の両方で時間を取られ、病院を受診する時間を作ることも難しいのが現状です。

一方で、ドラッグストアに行くと、市販の鎮痛薬を待つことなく簡単に買え、種類も山ほどあります。購入した薬が効かなくなっても別の薬を購入できますし、それで一瞬治ったように感じても、すぐに頭痛が起きれば、飲み方が悪いのか、数が足りないのかと勘違いしてしまい、どんどん薬に依存してしまいます」

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