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私たちが「宇都宮連続爆発事件」の犯人に請求できる賠償金は少なすぎる?

宇都宮で元自衛官の男性が起こした連続爆発事件。住宅の壁を焼き、複数の車を炎上させ、3人に重軽傷を負わせて男は自殺したと見られていますが、こうした事件における「家の修繕」「けがの治療」の補償はどのようなものでしょうか。

事件や事故における財産の補償はどのようになされるのか…

 宇都宮市で今月、元自衛官の72歳男性が起こした連続爆発事件――。自宅の隣家の壁を焼き、複数の車を炎上させ、さらに3人に重軽傷を負わせるという、むごたらしい傷跡を周囲に残して男は自殺したと見られています。

 報道では、男が圧力鍋を使って爆発物の殺傷能力を高めた可能性が伝えられています。こうした事件が起きるたびに、社会には大きな衝撃が走りますが、一方で普段、顧みられることはないのが、今後行われるであろう「家の修繕」「車の修理・買い替え」「けがの治療」にかかる費用の話でしょう。

 今回は、こうした事件や事故の背後にある“お金”に焦点を当てます。

失火法は「故意の火災」をどのように定めているのか

 日本は狭いエリアに民家が密集していることが多く、火災が発生すると被害がどこまで広がるかを予測することが困難です。

 こうした事情から、個人の賠償責任の範囲を定める「失火法」が定められており、賠償責任の範囲は原則、自己所有の土地や建物に限られ、たとえ自宅から発生した火災で近隣に被害を与えても、賠償責任を免れることになります。

 しかし、同法には「故意、または重度の過失による火災には適用されない」という例外があり、今回の事件は「故意の火災」にあたるため、賠償責任が認められる可能性が高いと見られます。

 ただし問題なのは、事件を起こした本人が死亡していること。このような場合、その賠償責任は相続により妻や子などの家族に移されることになります。

 相続というと家やお金など「プラス」のイメージがありますが、借金や今回の賠償責任のような「マイナス」についても同時に引き継がなければなりません。つまりは家や車の修理費、負傷者の治療費は事件を起こした本人の家族が持つことになるのです。

 しかし、家族側にもいくつかの選択肢があります。その一つが相続放棄です。こうした大事件の場合、死亡した犯人の家族は相続放棄を行うことが多く、今回も「自宅は競売にかけられていて、金銭的に困窮していた」などの報道もあることから、相続放棄を行う可能性が高いのではないでしょうか。

 つまり「賠償責任は誰にもない」ということになります。

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加藤圭祐(かとう・けいすけ)

株式会社あおばコンサルティング代表取締役

外資系大手のプルデンシャル生命保険で11年間コンサルティング業務に従事。個人顧客700人、法人顧客30社を開拓。2015年4月に株式会社あおばコンサルティングを設立。インターネット上で保険情報サイト「みかづきナビ(http://www.mikazuki-navi.jp)」と、ライフプランニングやお金に関わるコラム「みかづきナビメディア(http://www.mikazuki-navi.jp/blog)」を運営。日々お客様のライフプランニングや執筆・講演活動などを精力的に行う。