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駅伝“四つんばいリレー”に賛否両論、実業団陸連の見解は? 宗茂氏「選手のためのルールを」

女子駅伝の大会で、選手が四つんばいになりながら、たすきをつないだことを巡って議論が起きています。

宗茂さんのツイッターより
宗茂さんのツイッターより

 10月21日に行われた女子駅伝の大会で、脚を負傷し、四つんばいになりながら、たすきをつないだ選手がいたことに賛否両論が出ています。SNS上では、「この選手すごい。ここまでして仲間にたすき渡す姿、諦めない気持ち」「泣ける」と称賛する声や、「早く棄権させるべきだった」「これは美談なのか」との意見も。

 駅伝やマラソンで活躍した宗茂さんは自身のツイッターで「選手のためのルールが必要」「駅伝は必要ですが、駅伝で潰(つぶ)れてはダメなんです」と選手を守るためのルール作りを訴えています。

「個人のレースなら止めた」

 大会は福岡県であった「プリンセス駅伝in宗像・福津」で、「全日本実業団対抗女子駅伝」の予選会を兼ねていました。6区間42.195キロのレースです。

 主催の日本実業団陸上競技連合によると、選手の負傷があったのは2区(3.6キロ)。岩谷産業(大阪市中央区)の飯田怜選手(19)が、第2中継所の手前約200メートルで立てなくなり、両手と両膝をついて前進しました。大会本部にいた岩谷産業の広瀬永和監督が棄権を申し出ましたが、飯田選手が「このまま行く」と主張し、競技は続行されました。

 飯田選手が前進を続けたため、広瀬監督は再度「即刻棄権を」と大会本部に申し出ました。しかし、飯田選手が、たすきをつなぐ強い意志を表明したことに加え、中継所まであと20メートルほどだったこともあり、審判員は「選手本人の意向を尊重し、そのまま見守った」とのことです。飯田選手は何とか中継所でたすきを渡し終えましたが、両膝からは血が流れ、右すねを骨折していたことがレース終了後に分かりました。全治3~4カ月とのことです。

 岩谷産業は22日、「誠に遺憾であり、こうした事態の再発がないよう大会運営の改善を願う次第です」とのコメントを発表。日本実業団陸上競技連合も「多くの皆さまにご心配をおかけいたしました。当連合といたしましては、今まで以上に選手の安全を第一に考えた大会運営を実施するとともに、レース中の大会本部と審判、チーム責任者との連絡方法などを検証し(中略)早急に改善策を講じる所存です」との会長コメントを発表しました。

 日本実業団陸上競技連合の鎌倉光男事務局長に聞きました。

Q.棄権についてのルールは。監督や選手本人の申し出以外では、棄権できないのでしょうか。

鎌倉さん「いいえ。基本的には、生命に危険があったり、走行が不能だったりすれば、審判長の判断で中止させるということが大前提です。今大会で脱水症状になった三井住友海上の選手については、審判長車がすぐ後ろにいて、生命の危険もあるという判断で、監督の意思を確認せずに止めました。

岩谷産業の場合は、判断が難しかったです。四つんばいになってはいるものの、本人の意志が強い。監督の意向があり、止めようとしましたが、続けようという本人の意向があった。本来ならば止めるべきであったかもしれませんが、『たすきをつなぐ』ということがあり、現場で、ちゅうちょしたのではないでしょうか。

大会が全国放送されていたこともあり、審判としてもプレッシャーがあったと思います」

Q.「プレッシャー」というのは、もし止めていても批判された可能性があるということでしょうか。

鎌倉さん「そうですね。マラソンのような個人のレースであれば、止めていたと思います」

Q.日本陸連の「駅伝競走規準」には、医師が「健康上不適当と判断した場合、競技を中止させる権限を持つ」とありますが、今回、医師は会場にいなかったのでしょうか。

鎌倉さん「医師が乗っている車は配置しましたが、現場には間に合いませんでした」

Q.駅伝競走規準には「正常な走行ができなくなった競技者を一時的に介護するために、競技者の体に触れるのは助力とはみなさない」との記述もあります。飯田選手の脚の状態を確かめた上で、競技を続行させることも可能だったわけですが、そうしなかったのはなぜですか。

鎌倉さん「現場の審判には、そこまでの医療の専門的知識がありませんでした。そういう人員を的確に配置できるかということも、今後検証していく必要があると思っています」

Q.プリンセス駅伝では、選手が棄権した場合、次の走者からはオープン参加となり、総合記録は認めないとあります。大会によっては、総合記録が残るようにした例もありますが、そうしていないのはなぜですか。

鎌倉さん「大会ごとで判断は違います。プリンセス駅伝の規模やコースの状況を考えると、次の走者が戻って走るというのは困難です。交通事情が許しません。道路使用許可の兼ね合いで、道路を長時間占有することができないのです」

Q.今回の事態を受けて、大会規程の見直しなどはありますか。

鎌倉さん「判断の手順の検証や、連絡を円滑にできるような手段の検討など、今の状況を再確認して、改善していこうと思っています」

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