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街で不審者を犯人扱いした結果が笑えないワケ、スラング「事案」広がりの背後で…

ネット上のスラング「事案」。最近は、男性が路上で女性に声をかけただけで事案とみなされる傾向にあるようですが、あまりにナーバスになり過ぎると、思わぬ“落とし穴”にハマる可能性があります。


「事案」に神経質になり過ぎるとさまざまな落とし穴が…

 インターネットをしていて「事案」というネットスラングを目にしたことはありませんか。

 オンライン百科事典「ニコニコ大百科」によると、事案は本来、警察などの行政機関が「事件ほどではない不審な出来事」を指す言葉として使っていましたが、近年では男性が路上で女性に「すみません」と声をかけただけで事案とみなされる傾向があるそう。

 しかし、こうした現状は「あまりにもナーバス過ぎる」と捉えられ、事案は皮肉を込めて使われる言葉になっているようです。ネット上には、「もはや、しゃべることも許されない!? 最近の声かけ事案がすご過ぎる件」などのコンテンツも散見されます。

 今回は、こうした“事案”に過剰に反応した人が陥るかもしれない、日常生活の思わぬ“落とし穴”について考えます。

不審者が犯人でなければ罪に問われることも

 「私が街を散歩していた時、事案に当てはまるような『不審者』を見つけました。その場の良心で警察に連絡し、やって来た警察官がその人物に声をかけたところその不審者は急に怒り出し、私を訴えると言い出しました」

 こういった場合、法的にはどのような展開が予想されるでしょうか。弁護士の牧野和夫さんは「『私』が刑事・民事上ともに責任を負う可能性があります」と話します。

 刑事上は、警察への連絡が良心に基づくものかどうかに関係なく、「人に刑事又は懲戒の処分を受けさせる目的で、虚偽の告訴、告発その他の申告をした者は、3月以上10年以下の懲役に処する」(刑法第172条)とする「虚偽告訴罪」にあたる可能性があります。

 虚偽告訴罪が定める「虚偽」は、客観的事実に反する申告を行うことを指すため、牧野さんは「その人物が実際に犯人でない場合は虚偽告訴罪の成立の可能性があるでしょう」と話します。

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牧野和夫(まきの・かずお)

弁護士(日・米ミシガン州)・弁理士

1981年早稲田大学法学部卒、1991年ジョージタウン大学ロースクール法学修士号、1992年米ミシガン州弁護士登録、2006年弁護士・弁理士登録。いすゞ自動車課長・審議役、アップルコンピュータ法務部長、Business Software Alliance(BSA)日本代表事務局長、内閣司法制度改革推進本部法曹養成検討会委員、国士舘大学法学部教授、尚美学園大学大学院客員教授、東京理科大学大学院客員教授を歴任し、現在に至る。専門は国際取引法、知的財産権、ライセンス契約、デジタルコンテンツ、インターネット法、企業法務、製造物責任、IT法務全般、個人情報保護法、法務・知財戦略、一般民事・刑事。