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災害が続き…被災者以外の「共感疲労」が話題に その症状やケアは? 精神科医に聞く

今年は、豪雨や地震、台風などの災害が多く、被災者ではない人の「共感疲労」が話題になっています。その症状やケアを精神科医に聞きました。

災害続きで「共感疲労」が話題に
災害続きで「共感疲労」が話題に

 SNS上で先日、「共感疲労」について話題になりました。相手の苦しみや痛みに共感・同情することで、当事者でなくとも、気づかないうちに精神的疲労を感じてしまうことがあります。特に、大きな災害や事故などが発生した時、メディアを通じて被災地の情報に触れているうちに、被災者でなくても心の疲労を感じる人は少なくないようです。

 今年は、豪雨や地震、台風などが立て続けに発生し、報道も多いことから、「どこかで災害が起こるたびにしんどい」「うまく言えないけど、気持ちが落ち込んでしまいます」「どうやって切り替えたらよいの」など、さまざまな声が上がっています。

 共感疲労の症状やケアについて、YSこころのクリニック院長で精神科医の宮島賢也さんに聞きました。

自分の中の“トラウマ”が反応する

Q.共感疲労とは何でしょうか。

宮島さん「事故や災害の被害者をはじめ、心を病んでいる方や看護・介護の必要な方などに寄り添い、お話を聞いたり援助したりする際に、自分自身も相手から影響を受け、心身共に疲れてしまうことを言います。

特に遺族支援など、グリーフ(喪失に関する思い)やトラウマを扱う対人援助の領域では、患者さんの気持ちを傾聴し、悲しみに寄り添う(共感する)心の支援が長期にわたったり、ご要望に応えようとする援助が許容範囲を超えたりすると、『燃え尽き(バーンアウト)』が起こりやすくなります。

一般的には、本人の認識の有無にかかわらず、ほとんどの人に大なり小なりのトラウマが存在しているため、トラウマを持った方の話を聞く中で、自分の中のトラウマが反応し、次第に症状として現れてきます。そうすると、ケアしている側の自分自身も、相手の心の状態と同じように苦しくなり、追い詰められた状態になっていくのです」

Q.共感疲労を感じやすい人/感じにくい人の特徴を教えてください。

宮島さん「共感疲労、特に燃え尽きは、発症過程に次のような背景があるとされています」

・仕事や自分の役割に対し、高い使命感があること
・理想と現実にギャップがあること
・公私の境界が保ちにくいこと
・自己価値感が減少していること
・過去に抱えるトラウマ的な事象の記憶
・両親に対する肯定度の低さ

宮島さん「そして、援助を行う過程で、次第に心身の強い消耗感や、支援する対象者への非人間的な対応、個人的達成感の減少をきたし、仕事を続ける意欲が急速に低下していきます。

こうしたことから、対人援助の現場では、支援に対して高い使命感を持ち、長時間の支援もいとわない支援者や、両親に対する肯定感が低く、自分自身の肯定感の低い方は、燃え尽きに十分な注意が必要であると考えられます」

Q.共感疲労が蓄積されているかを判断するためのポイントはありますか。

宮島さん「次のような症状が2週間以上続く場合は、病院を受診した方がよいとされています」

・とにかくいつも疲れている
・同情したくなるような患者さんのお世話をしていても、気持ちが動かない
・毎日起きて仕事に行くのがやたらとつらい
・一生懸命働いてもまったく達成感がない
・仕事でもプライベートでも怒りっぽく、イライラする
・仕事で何をしていても「ベストを尽くそう」という気になれない
・実際は病気ではないのに、原因不明の体調不良に悩まされている
・自己肯定感が低く、やる気が起きない

Q.共感疲労を放置するとどうなりますか。

宮島さん「不眠や食欲不振、情緒不安定、急性ストレス障害の症状が現れ、ひいてはうつ病などに発展する場合があります。血圧上昇などの身体症状が出てくる方もいます」

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宮島賢也(みやじま・けんや)

YSこころのクリニック院長、精神科医、精神保健指定医、産業医

防衛医大卒業後、研修医時代にうつ病の診断を受ける。紆余曲折を経て精神科医に。受診が終了しても再発する患者が多いことから、薬ではうつは治らないと感じて医者以外の方から学び、食事や考え方、コミュニケーションを変え、うつを克服する。「薬を使わない精神科医」と名乗り、成功哲学ベースの手法を発信。湯島清水坂クリニックで安保徹氏、福田稔氏の自律神経免疫療法で体の血行改善、温めの有効性を知り、生き方直しと一緒に提供して効果を実感。その後、YSメソッドに出会い、YSこころのクリニックでYSメソッドの治療を提供。単なるうつヌケだけでなく、本当の自分に出会い、愛と感謝と喜びの中に今日も生きる。著書に「薬を使わない精神科医の『うつ』が消えるノート」(青春出版社)、「自分の『うつ』を治した精神科医の方法」(河出書房新社)ほか多数。

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