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「早食い」している人は糖尿病リスクが上がる!? 糖尿病専門医が指摘する“恐ろしい事実”

食事のたびに「早食い」をしてしまう人は、糖尿病の発症リスクが高まる――。そんな可能性が指摘されています。糖尿病専門医に詳しく聞いてみました。

あなたは「早食い」していない?
あなたは「早食い」していない?

「いつも、食事の時間があっという間に終わってしまう」と感じている人はいませんか? 心当たりがある人は、無意識のうちに「早食い」が習慣になってしまっているかもしれません。

 この「早食い」、実は糖尿病の発症リスクを高めてしまうといわれているようです。この恐ろしい話は本当なのでしょうか。自身も1型糖尿病歴30年で、eatLIFEクリニック(横浜市旭区)院長で内科医・糖尿病専門医の市原由美江さんに、その真偽について詳しく教えていただきました。

インスリンの分泌が間に合わず…

 結論から言いますと、「早食い」が糖尿病の発症リスクを上げることにつながるのは本当です。

 食事により血糖値が上がり始めると、それに順応して膵臓(すいぞう)からインスリンが分泌され、血糖値を正常に保ちます。しかし、早食いすると、膵臓からのインスリンの分泌タイミングが間に合わず、食後の高血糖を誘発する可能性が高くなってしまいます。

 また、早食いでは満腹中枢が刺激されないため、いつも以上に食べる量が多くなります。これも血糖値を上げやすくする原因です。

 早食いによる食後の高血糖を防ぐために膵臓が酷使され、インスリンを過剰に分泌することが続くと、膵臓が疲弊するため、糖尿病になるリスクが上がるのです。

 一方で、「早食いせず、ゆっくり食べること」が、どうして血糖値や糖質の吸収に影響を与えるのか、不思議に思う人もいるのではないでしょうか。

 その答えは「ゆっくりとよくかんで食べることで、インスリンの分泌が刺激されるため」です。また、満腹中枢は食事開始から15分後に刺激されるので、20分以上かけて食事をすると食べ過ぎ防止につながります。これらによって血糖値が上がりにくくなるのです。

 とはいえ、日常的に早食いをしてしまっている人が、その習慣をやめるのはなかなか難しいもの。そこで、早食いを防ぎ、ゆっくり食べられるようになるためのポイントをお伝えします。

 早食いの防止策の基本は「よくかむこと」です。例えば、まず、いつも通りにかんで、一口飲み込むまでの咀嚼(そしゃく)回数を数えてみてください。そして、次の一口からは、その倍の回数をかむよう心がけてみましょう。

 最初は、顎が疲れて面倒くさく感じるでしょうが、慣れればその回数が当たり前になっていきます。そして、自然に食べる時間が長くなり、食事のボリュームが減っていくはずです。

 早食いしやすいメニューは、カレーライス、牛丼などの丼物、チャーハンなど、あまりかまずに食べられるものです。これらは糖質が多く、余計に食後の血糖値を上げてしまうので、食べるときは特に注意してくださいね。

(オトナンサー編集部)

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市原由美江(いちはら・ゆみえ)

医師(内科・糖尿病専門医)

eatLIFEクリニック院長。自身が11歳の時に1型糖尿病(年間10万人に約2人が発症)を発症したことをきっかけに糖尿病専門医に。病気のことを周囲に理解してもらえず苦しんだ子ども時代の経験から、1型糖尿病の正しい理解の普及・啓発のために患者会や企業での講演活動を行っている。また、医師と患者両方の立場から患者の気持ちに寄り添い、「病気を個性として前向きに付き合ってほしい」との思いで日々診療している。糖尿病専門医として、患者としての経験から、ダイエットや食事療法、糖質管理などの食に関する知識が豊富。1児の母として子育てをしながら仕事や家事をパワフルにこなしている。オフィシャルブログ(https://ameblo.jp/yumie6822/)。eatLIFEクリニック(https://eatlife-cl.com/)。

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