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「グッド・ドクター」山崎賢人だけじゃない 主役が精神障害を持つ連ドラがヒットする理由

山崎賢人さんが、サヴァン症候群の小児外科研修医を演じる「グッド・ドクター」が好調です。過去にも、主人公が精神障害を持つ連ドラは安定した視聴率を記録しており、制作サイドの戦略が見える、と筆者は分析します。

「グッド・ドクター」主演の山崎賢人さん(Getty Images)
「グッド・ドクター」主演の山崎賢人さん(Getty Images)

「グッド・ドクター」(フジテレビ系)が好調をキープしています。これまでの視聴率は、11.5%、10.6%、11.6%、10.6%、12.2%、10.8%、13.0%(ビデオリサーチ、関東地区)と7話連続で2桁を記録し、同枠での13%台は4年ぶりの快挙。夏ドラマ全体の新作でも、8月21日の放送で15.1%をたたき出した「義母と娘のブルース」(TBS系)に次ぐ好結果を残しています。

 好調は数字だけでなく、視聴者のクチコミも好意的なものばかり。ツイッターでの称賛が多いほか、ネットメディアもページビューを得るために「グッド・ドクター」関連の記事を増やしています。

 中でも視聴者やネットメディアの支持を集めているのは、主演を務める山崎賢人さんの演技。山崎さんは、「驚異的な暗記力を持つ一方、コミュニケーション能力に障害がある」サヴァン症候群の小児外科研修医・新堂湊を繊細に演じて感動を誘っているのです。

 ただ、これまでも精神障害を持つ主人公の連ドラは多く、さまざまな俳優が演じてきました。つまり、制作サイドが戦略的に精神障害を持つ主人公の作品を手掛けているのです。

実は若手イケメン俳優の登竜門だった

 以下に、精神障害を持つ主人公の連ドラを挙げていきましょう。

1996年「ピュア」(フジテレビ系)主演・和久井映見
1996年「オンリー・ユー~愛されて~」(日本テレビ系)主演・大沢たかお
1998年「聖者の行進」(TBS系)主演・いしだ壱成
2000年「君が教えてくれたこと」(TBS系)主演・ともさかりえ
2002年「アルジャーノンに花束を」(フジテレビ系)主演・ユースケ・サンタマリア
2006年「僕の歩く道」(フジテレビ系)主演・草なぎ剛
2008年「だいすき!!」(TBS系)主演・香里奈
2012年「ATARU」(TBS系)主演・中居正広
2015年「アルジャーノンに花束を」(TBS系)主演・山下智久
2018年「グッド・ドクター」(フジテレビ系)主演・山崎賢人

 これ以外にも、主人公以外で精神障害を持つキャラクターが登場する作品もあり、知的障害や自閉症など症状こそ異なるものの、連ドラでは定期的に現れる人物設定なのです。

 上記を見ればわかるように、主演の大半は若手俳優。また、大沢たかおさん、中居正広さん、草なぎ剛さん、山下智久さんなどイケメン俳優の登竜門となり、これまで演じてきた役柄とのギャップから演技力を絶賛されました。

「グッド・ドクター」の山崎賢人さんも、若手俳優である上に、前作「トドメの接吻」(日本テレビ系)で演じたイケメンホストからのギャップは大きく、称賛されやすい状況だったのです。高評価は山崎さん本人の努力だけでなく、制作サイドや事務所マネジメントの戦略が当たったとも言えるでしょう。

 上記の作品は、いずれもハートフルな物語であり、視聴者の関心を引きつけながら、安定した視聴率を記録しました。精神障害を持つ主人公の連ドラは、制作サイドにとっても、主演俳優にとっても、メリットのあるものなのです。

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木村隆志(きむら・たかし)

コラムニスト、コンサルタント、テレビ解説者

雑誌やウェブに月間30本前後のコラムを寄稿するほか、「週刊フジテレビ批評」などに出演し、各局のスタッフに情報提供も行っている。取材歴2000人超のタレント専門インタビュアー、人間関係のコンサルタントとしても活動中。著書に「トップ・インタビュアーの『聴き技』84」「話しかけなくていい!会話術」など。

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