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大谷翔平選手の元通訳・水原一平さん 日米で「窃盗罪」の重さが違う? 今後どうなる? 弁護士に聞いた

大谷翔平選手の元通訳・水原一平さんが、球団から「大規模な窃盗」の疑いで解雇。そこで、日本と米国における「窃盗罪」の違いや報道が事実であった場合、どのようなことが想定できるのか、弁護士に聞きました!

水原一平さん(2024年3月撮影、時事)
水原一平さん(2024年3月撮影、時事)

 米国大リーグ「ロサンゼルス・ドジャース」所属の大谷翔平選手の通訳を務めていた水原一平さんが、球団から「大規模な窃盗」の疑いで解雇されました。日米の複数メディアによると、米連邦捜査局(FBI)の捜査で、水原さんが違法なスポーツ賭博に関与し、大谷さんの口座から違法賭博業者へ約6億円超が流出していることが判明したとのことです。そこで、日本と米国における「窃盗罪」の違いや報道が事実であった場合、どのようなことが想定できるのか、芝綜合法律事務所の牧野和夫弁護士に聞きました。

米国では「重窃盗罪」だが…

Q.まず、日本における「窃盗罪」について教えてください。

牧野さん「窃盗罪は刑法第235条に『他人の財物を窃取した者は、窃盗の罪とし、10年以下の懲役または50万円以下の罰金に処する』と規定されており、他人の財産を侵害する犯罪の一つとされています。万引き、空き巣、ひったくり、スリなど、どのような状況で何を盗むかによっていくつかの手口に分類されます」

Q.次に、米国における「窃盗罪」について教えてください。どのような罪に問われる可能性があるのでしょうか。

牧野さん「盗まれた物の価値により、重罪から軽犯罪まであります。米カリフォルニアの州法では『財産価値が950ドル未満(約14万3000円)の万引き、窃盗は軽犯罪とする』となっています。ちなみに、ニューヨーク州は1000ドル(約15万1000円)未満が軽窃盗罪になっています。カリフォルニア州の罰則では1000ドル以下の罰金、または1年以下の拘禁、もしくはその両方で、多くの場合は刑務所や拘置所が満員のため罰金刑とされることが多く、そのため、これらの犯罪が横行しているのが現状です。

盗まれた物の財産価値が950ドルを超える場合には、グランドセフト(重窃盗罪)とみなされ、3年以下の禁固、1万ドル(約151万4000円)以下の罰金、又はその併科に処されます。水原さんの場合は、グランドセフト(重窃盗罪)の疑いがあると大谷選手の代理人弁護士が公表しています」

Q.ずばり、「窃盗罪」は日本と米国、どちらの方が「罪が重い」といえるでしょうか。

牧野さん「10年以下の懲役と3年以下の拘禁(日本では禁固に相当)と法定刑だけで比較しても、窃盗罪は日本の方が、罪が重いと考えられます」

Q.今回の水原さんの窃盗行為が事実だった場合、どうなることが考えられますか。

牧野さん「米国内のカリフォルニア州で被疑犯罪が行われたとすれば、基本的には同州の刑法、手続き(起訴されれば州裁判所)で裁かれることになります。水原さんが“日本国民の場合”には、日本の刑法第3条(国民の国外犯)の第14号の規定に基づいて、窃盗罪も『国民の国外犯』として処罰の対象になりますので、水原さんが日本に帰国すれば、日本の刑法で裁かれる可能性があります」

※2024年3月24日午後3時43分、記事の一部を修正しました。

(オトナンサー編集部)

牧野和夫(まきの・かずお)

弁護士(日・米ミシガン州)・弁理士

1981年早稲田大学法学部卒、1991年ジョージタウン大学ロースクール法学修士号、1992年米ミシガン州弁護士登録、2006年弁護士・弁理士登録。いすゞ自動車課長・審議役、アップルコンピュータ法務部長、Business Software Alliance(BSA)日本代表事務局長、内閣司法制度改革推進本部法曹養成検討会委員、国士舘大学法学部教授、尚美学園大学大学院客員教授、東京理科大学大学院客員教授を歴任し、現在に至る。専門は国際取引法、知的財産権、ライセンス契約、デジタルコンテンツ、インターネット法、企業法務、製造物責任、IT法務全般、個人情報保護法、法務・知財戦略、一般民事・刑事。

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