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「酒気帯び運転」「酒酔い運転」の違いは? 刑罰&違反点数を弁護士が解説

「酒気帯び運転」「酒酔い運転」の違いについて、弁護士が解説します。

「酒気帯び運転」「酒酔い運転」の違いは?
「酒気帯び運転」「酒酔い運転」の違いは?

 道路交通法では、飲酒後に車やバイクなどを運転してはいけないと定められています。車両を運転する予定がある場合は、事前に酒を飲まないよう、注意が必要です。ところで、テレビのニュース番組や新聞記事などでは、「酒気帯び運転」「酒酔い運転」という言葉が登場します。両者は何が違うのでしょうか。

 刑罰や運転免許の違反点数の違いなどについて、芝綜合法律事務所の牧野和夫弁護士に聞きました。

酒酔い運転は「正常な運転ができない状態」

Q.そもそも、「酒気帯び運転」「酒酔い運転」は何が違うのでしょうか。刑罰や運転免許の違反点数の違いなども含めて、教えてください。

牧野さん「酒気帯び運転は、『呼気1リットル当たりのアルコール濃度が0.15ミリグラム以上』検出された場合が該当します。0.15ミリグラム以上の酒気帯び運転として違反と認められた場合、アルコール濃度に関係なく『3年以下の懲役または50万円以下の罰金』(道路交通法117条の2の2)が科せられる可能性があります。

アルコール濃度が0.15ミリグラム以上0.25ミリグラム未満の酒気帯び運転の違反点数は、原則として13点です。前歴およびその他の累積点数がない人の場合、免許停止期間は90日となりますが、前歴がある人のほか、他の違反内容によって累積点数15点以上になる場合は、免許取り消しの対象となってしまいます。

アルコール濃度が0.25ミリグラム以上の酒気帯び運転の場合は25点の違反点数が付されます。25点の違反点数は、前歴がない人でも免許取り消しの対象で、運転免許の取り消し処分を受けた人が運転免許を再度取得することができない期間である『欠格期間』は2年です。

酒酔い運転は、呼気中のアルコール濃度に関係なく、『アルコールの影響により正常な運転ができない恐れのある状態』で、具体的には『まっすぐ歩けない』『ろれつが回っていない』などの状態を指します。つまり、運転者の状況で判断されます。

酒酔い運転の場合、『5年以下の懲役または100万円以下の罰金』(道路交通法117条の2)が科せられる可能性があります。また、免許の違反点数は35点で、免許取り消しになります。前歴およびその他の累積点数がない場合の欠格期間は3年です」

Q.「酒気帯び運転」よりも、「酒酔い運転」の方が刑罰が重いのは、なぜなのでしょうか。考えられる理由について、教えてください。

牧野さん「酒酔い運転は正常に運転できない運転者の具体的な状況を処罰しており、人身や財産に対して損害を与える可能性、つまり蓋然性(がいぜんせい)が高いことが理由だと思われます」

Q.「酒気帯び運転」「酒酔い運転」がきっかけで死傷事故を引き起こした場合、罪が重くなる可能性はあるのでしょうか。

牧野さん「『自動車の運転により人を死傷させる行為等の処罰に関する法律』(自動車運転死傷処罰法)で規定されている『危険運転致死傷罪』に該当する可能性があります。

この場合、『アルコールまたは薬物の影響により正常な運転が困難な状態で自動車を走行させる行為』として15年以下の懲役、人を死亡させた場合は1年以上の有期懲役にそれぞれ処される可能性があります(自動車運転死傷処罰法2条1号)」

(オトナンサー編集部)

【なるほど】「知らなかった!」 これが「酒気帯び運転」「酒酔い運転」の違いです

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牧野和夫(まきの・かずお)

弁護士(日・米ミシガン州)・弁理士

1981年早稲田大学法学部卒、1991年ジョージタウン大学ロースクール法学修士号、1992年米ミシガン州弁護士登録、2006年弁護士・弁理士登録。いすゞ自動車課長・審議役、アップルコンピュータ法務部長、Business Software Alliance(BSA)日本代表事務局長、内閣司法制度改革推進本部法曹養成検討会委員、国士舘大学法学部教授、尚美学園大学大学院客員教授、東京理科大学大学院客員教授を歴任し、現在に至る。専門は国際取引法、知的財産権、ライセンス契約、デジタルコンテンツ、インターネット法、企業法務、製造物責任、IT法務全般、個人情報保護法、法務・知財戦略、一般民事・刑事。

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