意見真っ二つ! 「なるほど」ビジネスシーンで使ってOK? NG? “正解”をマナーコンサルタントに聞いてみた
日常会話で使う人も多い「なるほど」という言葉。一方で、ビジネスシーンでの使用については意見が分かれているようです。使用の可否について、マナーコンサルタントに聞いてみました。
家族や友達との会話で、「なるほど」という言葉を使うことがある人は多いと思います。「なるほど」には、相手が言ったことに対して「納得」「同意」を伝える意味があるため、相づちとして使われることも少なくありません。この「なるほど」、ビジネスシーンでの使用については意見が分かれているようで、「上司に対して使うのはダメでしょ」「“上から目線”にも取れるからやめた方が…」「同意を表す言葉なんだから問題ない」「誰に対しても使っていいと思う」など、意見が分かれているようです。
マナーの観点からみたとき、「なるほど」はビジネスシーンで使ってもよいといえるのでしょうか。一般社団法人「マナー&プロトコル・日本伝統文化普及協会」(東京都港区)代表理事で、皇室のマナー解説やNHK大河ドラマのマナー指導などでも活躍する、マナーコンサルタントの西出ひろ子さんに聞きました。
「評価されている」と感じる人も
Q.マナー的観点からみて、ビジネスシーンにおいて「なるほど」「なるほどですね」という言葉を使うことについて、どのように思われますか。
西出さん「まず大前提として、マナーは『相手がどう思うか、どう感じるか』によってさまざまです。その上で、マナー的観点からみると、ビジネスシーンでの『なるほど』は控えた方が無難といえます。その大きな理由は、『なるほど』の意味にあります。
一般的に『なるほど』は、相手の話に自分が同調したり、納得したことを示したり、相づちを打ったりするときに使うことが多いでしょう。これらは一見いいように思えるのですが、ポイントは、『私が、なるほどと思った』点です。これは相手よりも自分が感じたことを優先させている、自分が主体となってしまうところから、相手の立場からすると『評価されている』『上から目線』と感じる人が多いのではないでしょうか。基本的にマナーは、まずは相手優先の気持ちから成り立つものであり、それが結果的に、双方にとってプラスの感情を生み出すものです。
なお、『なるほど』は、品詞の中の『副詞』と『感嘆詞(感動詞)』に分類されます。副詞として使われるときには、次の2通りがあります。
(1)他人の言葉を受け入れて、自分も意見が同じことを示す
(2)その範囲でできるだけのことを示す
一方、感嘆詞の場合は、相手の言葉に対して『その通りである』と同意を示す、とされています。
ちなみに、『なるほど』は敬語ではありません。『なるほどですね』という言葉に違和感を覚える人も多いため、控える方がよいといえます」
Q.「なるほど」という言葉を使うのを、特に「控えた方がよい」相手や場面の例とは。
西出さん「お客さまをはじめ、取引先、上長や先輩など目上の人に対しては、控えた方がよいでしょう。場面としては、面接時なども控えた方が安心です」
Q.ビジネスシーンにおける、「なるほど」「なるほどですね」の言い換えとして適した言葉はありますか。
西出さん「『なるほど』と言いたくなったら、ハッと一呼吸おいて『おっしゃる通りです』と意見が同じことを伝えると、問題にはならないでしょう。
つい、『なるほど』と発してしまったら、その後に『おっしゃる通りですね』と続けると相手が中心となるので、ネガティブな印象が解消されますね。相手の発言を聞いて『感動』『同意』を伝えるときには、『感動しました』『初めて知りました』と続けて『ありがとうございます』と伝えると、さらに『なるほど』に対するネガティブな印象が解消されるのではないでしょうか。
失礼のないように意識をすることは大切ですが、つい言ってしまうことは誰にでもあるでしょう。そういうときにフォローの一言で挽回して、良好な関係を築けていけたらいいですね」
(オトナンサー編集部)
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