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脚本に賛否も、視聴率が落ちない「半分、青い。」 そのワケは“男優”のチョイス

好調をキープする朝ドラ「半分、青い。」ですが、その盛り上がりの立役者と言うべき、秋風羽織(豊川悦司さん)が姿を消して以降も、高視聴率を保っています。その理由とは何でしょうか。

佐藤健さん(Getty Images)
佐藤健さん(Getty Images)

 現在、平均視聴率21~23%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)をキープするなど絶好調の朝ドラ「半分、青い。」(NHK)。4月2日~5月9日の「岐阜・故郷編」では視聴率18~20%程度にとどまっていたものの、5月10日~7月4日の「東京・胸騒ぎ編」では23%台を記録するなど、明らかに盛り上がりは増しました。

 その盛り上がりの立役者は、ヒロイン・楡野鈴愛(永野芽郁さん)の師匠で漫画家の秋風羽織(豊川悦司さん)。その「厳しくも愛がある。変人だけど情が厚い」人物像が物語とヒロインを支えていただけに、秋風が姿を消す7月5日~の「人生・怒涛(どとう)編」は不安視されていました。

 しかし、出演者がガラッと変わったにも関わらず、同作は高視聴率をキープしています。その理由は何なのでしょうか。

人気より実力・実績重視のキャスティング

 SNSや口コミサイトへの書き込みを見たほか、筆者個人が朝ドラウオッチャーたちにヒアリングした限り、序盤から物語を称賛するコメントはあまりなく、むしろ「ヒロインに共感できない」「リアリティーがない」「何がテーマの話か全く分からない」などの厳しい論調が目立ちます。

 ただ、これは朝ドラが高視聴率の続く“日本一期待値の高いドラマ枠”だからであり、仕方のないこととも言えるでしょう。実際、「わろてんか」「べっぴんさん」「とと姉ちゃん」なども同様でした。

「半分、青い。」で特徴的なのは、「厳しい声は物語や脚本家に向けたものばかりで、俳優にはほとんどない」こと。それこそが視聴率20%超をキープしている最大の要因と思われるのです。

 特に顕著なのは、男優のキャスティング。ヒロインの相手役に、人気と実力・実績を併せ持つ佐藤健さんを据えたほか、「岐阜・故郷編」では、滝藤賢一さん、谷原章介さん、中村雅俊さん、矢本悠馬さん。「東京・胸騒ぎ編」では、豊川悦司さん、中村倫也さん、志尊淳さん。「人生・怒涛編」では、斎藤工さん、間宮祥太朗さん、嶋田久作さん。

 いずれもルックスより実力・実績が重視され、人気先行の「イケメン俳優」がいません。そのようなキャスティング基準は、佐藤健さんに次ぐ永野芽郁さんの相手役に、中村倫也さん、間宮祥太朗さんという若手俳優屈指の演技派が選ばれたことからも明らかです。また、今作で豊川悦司さんが朝ドラ初出演したことも、実力・実績重視の基準を物語っていると言えるでしょう。

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木村隆志(きむら・たかし)

コラムニスト、コンサルタント、テレビ解説者

雑誌やウェブに月間30本前後のコラムを寄稿するほか、「週刊フジテレビ批評」などに出演し、各局のスタッフに情報提供も行っている。取材歴2000人超のタレント専門インタビュアー、人間関係のコンサルタントとしても活動中。著書に「トップ・インタビュアーの『聴き技』84」「話しかけなくていい!会話術」など。

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