【栄養】「卵は1日1個まで」って正しいの? 管理栄養士に聞いて分かった“本当の適正量”
コレステロール値が上がる食品の代表格として「1日1個まで」が常識とされていたこともある「卵」。実際のところはどうなのでしょうか。管理栄養士に“本当の適正量”を聞いてみました。
「卵を食べ過ぎると体に悪い」。そう聞いたことがある人は少なくないのでないでしょうか。卵は、コレステロール値が上がる食品の代表格として「1日1個まで」が常識とされていたこともあります。しかし、実際のところはどうなのでしょうか。卵における“本当の適正量”について、管理栄養士の桜井このさんに教えていただきました。
現在は必ずしも「1個まで」ではない
Q.ずばり、卵は「1日1個まで」にした方がいいのでしょうか。
桜井さん「以前は、コレステロール値の上昇を抑えるために『卵は1日1個まで』といわれることもありましたが、現在は必ずしも1個が限度とはされていません。といっても、カロリーなどを踏まえると、やはり1~2個が目安といっていいでしょう。なお、カロリーや栄養は、白身よりも黄身の部分に多く含まれています。
食べ方では、ゆで卵が最も栄養価を摂取できるといわれています。これは、焼く場合よりも加熱する温度が低く、栄養が失われにくいためです。一方で、生卵はタンパク質を吸収するための酵素である『トリプシン』の働きが阻害されるため、タンパク質を摂取したい場合には逆効果となってしまいます」
Q.卵を食べ過ぎると、どのようなリスクが考えられますか。
桜井さん「『卵を食べるとコレステロールが上がる』といわれるのは、卵に含まれる脂質が『飽和脂肪酸』と呼ばれる種類だからです。飽和脂肪酸は卵の他に、乳製品や肉などに含まれるのですが、これを多く取り過ぎると血中のコレステロールが増加し、脂肪異常症や循環器疾患といったさまざまな病気の発症リスクが高まりやすいといわれています」
Q.ちなみに、卵の食べ過ぎでアレルギーを発症する可能性はあるのでしょうか。
桜井さん「食べ過ぎることによってアレルギーを発症することはないと思われます。卵にかかわらず、食べ物のアレルギーは子どもが発症することが多いのですが、これは消化機能が十分に発達していないため、アレルギーの原因となる特定のタンパク質を分解する力が十分でないことが要因とされています。人によって、アレルギーとして現れる症状の度合いはさまざまですが、大人になって消化機能がしっかり発達すると、アレルギー症状が治まる人も少なくありません。
なお、鶏卵以外の卵でも同じです。うずらの卵はサイズこそ小さいですが、鉄分やビタミンなどの栄養価は非常に高いです。こちらも、小さいからといって食べ過ぎるのは控えましょう」
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近年、食事から摂取するコレステロールが、必ずしも血中のコレステロール値を上げるとは限らないことが分かってきたそうで、「卵は1日1個!」と叫ばれることもなくなったとのこと。とはいえ、卵に限らず同じものを過剰に食べ続けるのは、栄養の観点からもよいとはいえないので、バランスよく食事に取り入れるのが大切ですね。
(オトナンサー編集部)
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