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ラーメン店の丼に「使用済みティッシュ」入れた 実は違法? 弁護士に聞いた

ラーメン店で客が使用済みのティッシュを丼に入れた場合、法的責任を問われる可能性はあるのでしょうか。弁護士に聞きました。

ラーメン店で使用済みのティッシュを丼に入れたら法的責任を問われる?(写真はイメージ)
ラーメン店で使用済みのティッシュを丼に入れたら法的責任を問われる?(写真はイメージ)

 ラーメン店で客が使用済みのティッシュを丼に入れる行為が以前から問題となっており、店側が対応に苦慮しているようです。客のこうした行為について、SNS上では「気持ち悪い」「マナーが悪い」などの声が上がっているほか、器物損壊罪が成立する可能性を指摘する人もいます。

 ラーメン店で客が使用済みのティッシュを丼に入れた場合、器物損壊罪などの法的責任を問われる可能性はあるのでしょうか。芝綜合法律事務所の牧野和夫弁護士に聞きました。

店が丼を廃棄した場合、賠償責任が生じる可能性

Q.そもそも、「器物損壊罪」は、物を壊さない場合でも成立する可能性があるのでしょうか。

牧野さん「物を壊さなくても、その物の機能・効用を失わせるような行為をすれば、『器物損壊罪』に問われる可能性があります。例えば、飲食店で食器に放尿した人に対して、食器の機能・効用を失わせたとして、器物損壊罪の成立を認めた古い裁判例があります。

ただし、器物損壊罪は故意犯に該当するため、成立には『器物を損壊させようとする意思』が必要です。うっかり他人の物を壊してしまった場合、器物損壊罪で処罰されることはありません」

Q.では、ラーメン店で客が使用済みのティッシュを丼に入れた場合、器物損壊罪などに問われる可能性はあるのでしょうか。

牧野さん「店で客がラーメンを食べる際は、丼に口を付けることがあると思いますが、その場合、洗剤でよく洗った後、消毒をすれば丼の効用が復活すると言えます。また、先述のように、器物損壊罪の成立には器物を損壊させようとする意思が必要です。そのため、使用済みのティッシュを丼に入れる行為については、程度にもよりますが、基本的に器物損壊罪の成立は難しいでしょう。

ただし、インフルエンザや新型コロナウイルスなどの感染症にかかっている人が、ラーメン店に行ったとします。そのときにその人がティッシュで鼻をかんだ後、他人に病気をうつす意図で使用済みのティッシュを丼に入れた場合などは、器物損壊罪が成立する可能性があると思います」

Q.客が鼻をかんだティッシュを丼に入れたとします。その後、衛生上問題があるなどとして店側がその丼を廃棄した場合、法的責任が生じる可能性はありますか。

牧野さん「客が鼻をかんだティッシュを丼に入れたことが原因で店がその丼を廃棄した場合、店側に損害が生じることになります。

そのため、故意にティッシュを入れたかどうかを問わず、民法709条の不法行為に基づき、客側に損害賠償責任が発生する可能性があります。ただし、悪質なケースを除き、店側が客に損害賠償を求めることはないでしょう」

 ラーメン店でティッシュを使った場合、店内に設置されているごみ箱に捨てるか、持ち帰るようにしましょう。

(オトナンサー編集部)

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牧野和夫(まきの・かずお)

弁護士(日・米ミシガン州)・弁理士

1981年早稲田大学法学部卒、1991年ジョージタウン大学ロースクール法学修士号、1992年米ミシガン州弁護士登録、2006年弁護士・弁理士登録。いすゞ自動車課長・審議役、アップルコンピュータ法務部長、Business Software Alliance(BSA)日本代表事務局長、内閣司法制度改革推進本部法曹養成検討会委員、国士舘大学法学部教授、尚美学園大学大学院客員教授、東京理科大学大学院客員教授を歴任し、現在に至る。専門は国際取引法、知的財産権、ライセンス契約、デジタルコンテンツ、インターネット法、企業法務、製造物責任、IT法務全般、個人情報保護法、法務・知財戦略、一般民事・刑事。

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