オトナンサー|オトナの教養エンタメバラエティー

【食べ過ぎ注意】ブロッコリーを食べ過ぎると「下痢」「尿路結石」リスク上昇って本当? 管理栄養士に聞いた

栄養豊富な食材も、食べ過ぎてしまうと体への悪影響を招きかねません。そんな「食べ過ぎ注意」な食材について、管理栄養士が解説します。今回は「ブロッコリー」です。

食べ過ぎると…どうなる?
食べ過ぎると…どうなる?

「体にいい」「栄養豊富」といわれている食材も、食べ過ぎてしまうと弊害を招きかねません。食べ過ぎることで、体への何らかの悪影響が懸念される食材について、管理栄養士の岸百合恵さんに注意点を教えていただきました。今回の食材は、筋トレをする人に人気の野菜「ブロッコリー」です。

「シュウ酸」摂取し過ぎで尿路結石症に

Q.そもそも「ブロッコリー」とはどんな野菜ですか。

岸さん「ブロッコリーは食物繊維やビタミン類、鉄分、カリウム、葉酸、カルシウム、マグネシウムなど、多くの栄養素をバランスよく含んでいる野菜です。中でもビタミンCはレモンの約2倍、カリウムはタマネギの約2.5倍、食物繊維は小松菜の約2倍、タンパク質はニンジンの約7倍の量が含まれています。タンパク質は、野菜の中ではかなりの含有量で、100グラムあたり4.3グラム含まれます。

また、特徴的なのは『ジインドリルメタン』と『I3C(インドール-3-カルビノール)』という成分が含まれていることです。これはアブラナ科の野菜に含まれる成分で、男性ホルモンの『テストステロン』を増強するとともに、女性ホルモンの『エストロゲン』を抑える働きがあります」

Q.ブロッコリーを食べ過ぎると、健康への影響や弊害があるのは事実でしょうか。

岸さん「事実といえます。ブロッコリーは、他の野菜と比べると食物繊維の含有量が多いです。食物繊維の過剰摂取で便秘や下痢、おなかの張り、消化不良などの症状を引き起こす恐れがある他、栄養素の吸収を妨げてしまう可能性もあります。ただし、現代人の食事では食物繊維の摂取量が不足していることの方が多いため、適量であれば積極的に食べていただきたい食材です。

また、ブロッコリーには『シュウ酸』という物質が含まれ、摂取し過ぎると尿路結石症を引き起こす原因になります。ゆでることで、3分の1から2分の1程度のシュウ酸を取り除けますが、一方でビタミンCやカリウムといった水溶性の栄養素も流れ出てしまいます。これらの栄養素をなるべく摂取したい場合は蒸したり、レンジ調理したりするとよいですが、ブロッコリーをたくさん食べる際には下ゆでするのがお勧めです。

ブロッコリーにはカリウムも多く含まれていますが、通常の食事では摂り過ぎることはほとんどありません。ただし、腎機能が低下している人や、医師より注意を受けている人は『ゆでこぼし』をしたり、摂取量を控えたりする必要があります。

ちなみに、『ブロッコリーを食べ過ぎると、体臭が強くなる』と聞いたことがある人もいるかもしれません。これにはブロッコリーをはじめとするアブラナ科の野菜に含まれる物質『コリン』が関係しています。コリンは体内で『トリメチルアミン』という物質に変わり、それが増えると体臭が強くなります。しかし、これは通常では考えられないほどの量を食べた場合のことなので、ほとんどのケースでは問題ないでしょう。ただ、肝臓の機能が低下している人や、そもそもトリメチルアミンを分解できない体質の人に限り、注意が必要です」

Q.その他、ブロッコリーを食べる際に意識するとよいこととは。

岸さん「ブロッコリーの摂取目安量は特に決められていませんが、厚生労働省は成人の野菜の摂取目安量を『1日あたり350グラム以上』、緑黄色野菜は『1日あたり120グラム以上』と設定しています。ブロッコリーは緑黄色野菜に分類されるので、他の緑黄色野菜と合わせて120グラム、さらにキノコや海藻も含め、全体で350グラムを目指すのがよいでしょう。

“食べ過ぎ”の明確な量は人によってさまざまなので、どのくらい食べると過剰摂取になるかの明確な数値はありません。食べたときの体調や症状を見ながら、自分に合った量を探しましょう。ブロッコリーだけの話ではありませんが、一つの食材だけを摂取していると栄養が偏ってしまうので、全体のバランスが何よりも大切です」

(オトナンサー編集部)

【要注意】“筋トレの味方”鶏むね肉も!? 実は「プリン体」が多く含まれる食べ物10選

画像ギャラリー

岸百合恵(きし・ゆりえ)

プロボクサー、管理栄養士、日本糖尿病療養指導士

病院食の管理・調理業務や企業での特定保健指導を経て、生活習慣病診療を専門とするクリニックにおいて5年間、栄養指導を実施。アスリートとしても夢を追い掛け、2017年に日本ボクシングコミッション(JBC)のプロテストに挑戦し、一発合格。「闘う管理栄養士」として、チャンピオンを目指して日々トレーニングに励みながら、ボディーメークや健康管理の指導を行う。現在は、スポーツ・睡眠歯科分野の診療を行う歯科医院で、アスリートへの食事指導や、一般患者へのダイエット、フレイル・サルコペニア予防の指導を行う他、内科クリニックで生活習慣病患者に対する食事指導を行っている。

コメント