子どもが腹部強打、実は“内臓損傷”の可能性 受診の目安を医師が解説
子どもが腹部を強打した場合、どのように対処したらよいのでしょうか。医師に聞きました。

子どもが屋外で遊んでいるときに腹部を強く打ってしまった経験はないでしょうか。おなかを打った直後は平気でも、時間の経過とともに容体が急変し、命の危険にさらされるケースがあるようです。
実際にネット上では、「子どもは腹部が弱い」という内容の情報がありますが、本当なのでしょうか。子どもが腹部を強打した場合、どのように対処すればよいのでしょうか。きくち総合診療クリニック(神奈川県綾瀬市)院長で、医師の菊池大和さんに聞きました。
「不機嫌」「嘔吐」は要注意
Q.ネット上では、「子どもは腹部が弱い」という情報がありますが、本当なのでしょうか。
菊池さん「子どもが腹部が弱いのは事実です。なぜなら、大人に比べて、腹壁が薄く、肋骨(ろっこつ)が軟らかいからです。
腹壁というのは、主におなかの筋肉や脂肪のことです。子どもは腹壁が完全に発達していないため、腹部を強く打った場合、内臓が守られず、傷つくことが多いです。
子どもの肋骨が軟らかいのは、骨が成長途中にあるからです。そのため、腹部が強い衝撃を受けると、肝臓や脾臓(ひぞう)など上腹部の臓器が守られず、傷つきやすいため、注意してください」
Q.子どもが腹部を強打した場合、どのように対処すればよいのでしょうか。打撲後、しばらくしてから容体が急変する可能性はありますか。
菊池さん「まず、子どもを楽な姿勢にさせた上で、よく観察することです。『会話は普通にできるのか』『じっとすることもできないぐらい痛いのか』『吐き気があるか・嘔吐(おうと)するのか』『不機嫌なのか』といったことを確認してください。
小さな子どもの場合は『顔色が悪い』『不機嫌』『嘔吐』といった症状が見られたときが受診の目安です。会話ができる子どもの場合、歩行時に痛みが強くなったり、おなかが硬くなったりしているときは必ず受診してください。
また、おなかを強打したときは問題がないように見えても、数時間後、『痛みが強くなった』『おなかを押さえている』『血尿や血便が出る』『嘔吐』といった症状が出た場合も医療機関を受診してください。
肝臓や脾臓からの出血が増えると、痛みが強くなったり、急変して出血性ショックになったりする可能性があります。また、数日経過してから腸が破けて腹膜炎になり、容体が急変する可能性もあるため、注意が必要です。
子どもは打撲をしたときに外傷がないことが多いため、青あざの有無で受診を判断するのは危険です。また、子どもは訴えが曖昧になりがちなので、けがをした当日は一緒に寝るなどして、慎重に経過を見ることが大切です」
子どもが腹部を強く打った場合、すぐに安静にさせましょう。
(オトナンサー編集部)
コメント