【双子の疑問】「授かりやすい人」は存在する? “確実に”妊娠する方法はある? 産婦人科医に聞いた
1回の妊娠で、2人の赤ちゃんを授かる「双子」。授かる確率が高い人はいるのか、“確実に”授かる方法はあるのか……さまざまな疑問を産婦人科医に聞いてみました。
1回の妊娠で、2人の赤ちゃんを授かる「双子」。その喜びも、育児の大変さも2倍になりますが、実際のところ、双子を妊娠する可能性や確率はどのくらいあるのでしょうか。双子についてよく耳にするさまざまな疑問について、神谷町WGレディースクリニック院長で産婦人科医の尾西芳子さんに聞きました。
一卵性は「遺伝子が全く同じ」
Q.そもそも「双子」とは何ですか。
尾西さん「『双子』は、同時に赤ちゃんを2人妊娠することで、医学的には『双胎(そうたい)』と呼ばれます。双子を含め、3つ子や4つ子など、2人以上の赤ちゃんを一度に授かることを『多胎(たたい)妊娠』といいます。
双子は、一般的にはよく『一卵性』と『二卵性』と分けられますが、これは1つの受精卵が半分に分かれて2人になったものを『一卵性』、2つの受精卵がそれぞれ育って2人になったものを『二卵性』と分類したものです。つまり、一卵性は遺伝子が全く同じであるため、血液型や性別が同じ、そして見た目(顔)がそっくりな双子になります。一方、二卵性はきょうだいと同じで、血液型も性別も、見た目もバラバラに異なる双子です。
医学的には『絨毛(じゅうもう)』と『羊膜(ようまく)』による別の分類があり、次のように分けられます。
(1)絨毛が2つで羊膜が2つの「2絨毛膜2羊膜双胎」
(2)絨毛が1つで羊膜が2つの「1絨毛膜2羊膜双胎」
(3)絨毛が1つで羊膜が1つの「1絨毛膜1羊膜双胎」
『絨毛?』『羊膜?』と聞き慣れない感じかと思いますが、『絨毛の数=胎盤の数』『羊膜の数=胎児を包む膜の数』と考えていただけると分かりやすいと思います。
つまり(1)の場合は、2人それぞれが胎盤も包まれる膜も持っていて独立した存在ですが、(2)になると胎盤を共有しており、(3)になると胎盤のみならず、包まれる膜も共有しているということになります。
共有しているものが多いほど、2人が双方に影響を与える可能性が高く、妊娠中、赤ちゃんの具合が悪くなったり、亡くなったりするリスクが高いのです。そのため、産婦人科医は双胎妊娠の場合、一卵性か二卵性かよりも、絨毛膜や羊膜がどのタイプの妊娠かを気にします。
一卵性の場合、成長の過程で受精卵が2つに分かれるタイミングによって、(1)〜(3)全てのパターンがあり得ます。二卵性の場合は(1)のみと考えられてきましたが、非常にまれながら(2)のパターンの報告もあります」
Q.妊娠後、いつの時点で双子だと判明するのですか。
尾西さん「先述した(1)の場合、赤ちゃんの“部屋”である『胎嚢(たいのう)』が子宮の中に見えてくる妊娠5週の時期には、胎嚢が2個見えるため、双子と判明します。一方、胎嚢が1つである(2)や(3)の場合は、心拍が確認できる妊娠7週ごろにならないと、はっきり双子という診断はできません。
なお、双子の場合、妊娠初期に増加するホルモン『hCG』の量が多いため、つわりが重症化しやすいです」
Q.自然妊娠の場合、双子を妊娠する確率はどのくらいなのでしょうか。
尾西さん「双胎妊娠は人種などによっても異なりますが、近年、日本では約2%(不妊治療による妊娠を含む)と報告されています」
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