「西郷どん」スタート半年 ライトユーザーに好感も、歴史ファンには少し不満?
スタートから半年がたった大河ドラマ「西郷どん」。その好感の持てるポイントと否定派の意見の両方を踏まえながら、芸能ライターがこれまでの半年を振り返ります。
大河ドラマ「西郷どん」スタートから半年がたちました。SNS上を見てうかがえるのは、好感を持って見ているという声と、反対に不満が毎回残り、さらには途中で視聴継続を断念したという意見。どのドラマも往々にして同じような運命を辿りますが「西郷どん」の場合、そこにはどんな違いがあるのでしょうか。改めてこれまでを振り返ってみたいと思います。
鹿児島の雄大な大自然、豪華なロケセット
「西郷どん」で特筆すべきはまず、そのオープニング映像でしょう。
NHK交響楽団演奏による、力強く軽快な音楽とともに映し出されるのは、薩摩の雄大な景色。標高1700メートルの「霧島山」、霊峰「高千穂峰」、エメラルドグリーンの滝つぼが印象的な「雄川の滝」、奄美大島の海中など鹿児島県内13カ所を、ドローンなどを駆使して撮影したといいます。公式動画の再生回数はこれまでに100万回を突破しています。
ドラマ本編でも、映像へのこだわりは随所に垣間見えます。江戸編から登場したのは、藩士がつかの間の休息で訪れる品川宿の旅籠「磯田屋」。吉之助(鈴木亮平さん)が一橋慶喜(松田翔太さん)と初めて会うなど物語の大事な場所として登場しますが、屋敷のスケール感はまさに圧巻。1階の中に池が配され、その上は2階まで吹き抜けに。渡り廊下や慶喜が入り浸る部屋には花々が生けられ、豪華なふすま絵も鑑賞できました。
ほかにも、吉之助の流刑地となった奄美大島と沖永良部島では、大河としては異例の、3週間に及ぶ現地ロケを敢行。南国の自然美は、島の娘とぅま(のちの愛加那)を演じる二階堂ふみさんの演技とともに、見る者を圧倒しました。
出演俳優たちの、熱量の高い演技も毎回話題です。島津斉彬を演じた渡辺謙さん、また、そんな兄を慕う久光を演じる青木祟高さんの演技も回を追うごとに鬼気迫るものになっています。天璋院篤姫(北川景子さん)の教育係・幾島役の南野陽子さんは、直前で同役を降板した斉藤由貴さんの影を引きずらない見事なお目付け役でした。
ストーリーをなぞる表層的な展開
一方、否定派の意見も冷静に聞きましょう。
「大河脱落。原因は感情移入できなかったこと。仲間、家族、殿様との関わりが浅くしか描かれてない上に、なぜか皆西郷どんすごい!になってて、でも西郷どん一体何したの?って訳わかんなくなっちゃった。やっぱり幕末苦手だわー」
「大河ドラマの西郷どん、西郷がどうしてこんなに重要人物扱いなのか全く分からないなと思っていたのだけれど、ツイッター検索してみると、そう思っていたのは自分だけではないみたい」
「『西郷どん』を見逃し放送で見てるけど、島津久光の小物感がつらくて脱落しそう…。確かに史実としても西郷さんとは対立し続けた人だけど、こんな分かりやすい敵キャラに仕立て上げられてしまうのは残念」
「いろんなことが突発的に起こりすぎて子どもには特にわかりづらい内容となっている。子どもは『軍師官兵衛』や『真田丸』は興味を持って集中して見ていたんだけどな」
さまざまな意見がありますが、総じて言えば、歴史に詳しい人は物足りなく、それほど詳しくない人にはやさしくない作られ方をしていると言えます。批判を恐れずに言えば、「表層的」「上澄み」の部分を描いているとも言えるでしょう。
かく言う筆者も「西郷どん」のホームページで解説やキャストのインタビューを読んで初めて、経緯や事情が理解できるという極めて変わった視聴の仕方をしています。
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