子どもが「学校に行きたくない」 親はどうする? 放置するリスクは? 児童精神科医が解説
夏休みの終了前に子どもが「学校に行きたくない」と言い出した場合、親はどのように対処したらよいのでしょうか。児童精神科医に聞きました。

多くの小中学校では、間もなく夏休みが終わりますが、この時期は精神的に不安定になる子どもが増える傾向にあります。もし夏休みの終了前に子どもが「学校に行きたくない」と言い出した場合、親はどのように対処したらよいのでしょうか。こころと美容のクリニック東京(東京都中央区)院長で児童精神科医の大和行男さんに聞きました。
子どもの意見に耳を傾けること
Q.子どもが夏休みの終了前に精神的に不安定になることがありますが、なぜなのでしょうか。
大和さん「大人も長期休暇明けの際に、不安になったり気持ちが下がったりしますが、同様のことが子どもでも起きると考えられます。子どもの場合、日によって体調が異なるケースが多く、身体的にも心理的にも、毎日同じ時間に決まった時間を教室に拘束されることへの不安も大きいです。
また、『授業の内容についていけない』と感じている子どもの場合、新しい学期が始まることで、さらに勉強が分からなくなるのではないかと不安になる子も多いです」
Q.もし子どもが「学校に行きたくない」と言い出した場合、親はどのように対処したらよいのでしょうか。
大和さん「まずは、親がまとまった時間を取りましょう。その上で子どもを静かな場所に連れて行き、『なぜ行きたくないのか』をしっかり聞きましょう。その際、親は意見を言わずに黙って聞く必要があります。子どもがうまく話せない場合は、学校に行きたくない理由を紙に書いてもらいましょう。
子どもが学校に行きたくない原因が親で解決できそうなことであれば、学校の先生に相談したり、家庭内で工夫したりしましょう。心の悩みや体の不調など、親では対処できないことが原因であれば、スクールカウンセラーやかかりつけの小児科医に相談してください。その際に児童精神科の受診を勧められた場合は、子どもと一緒に病院に行き、医師からアドバイスを受けましょう」
Q.子どもの変調を見分ける方法について、教えてください。子どもがどのような様子のときに特に注意をしたらよいのでしょうか。
大和さん「普段とは違う行動を取るときに、『変じゃないか』と考えるようにしてください。例えば、『いつも寝ている時間にまだ起きている』『普段なら起きてくる時間になっても起きてこない』『すすり泣きが聞こえてくる』『いつもより明らかに口数や食事量が減った』『笑う時間や家族と団らんする時間が減った』などです」
Q.子どもの変調を放置してしまった場合、どのようなリスクが生じる可能性がありますか。うつ病などにつながる可能性はあるのでしょうか。
大和さん「まずは適応障害や不安障害という形で、精神的な症状が生じます。その際に放置すると不登校や引きこもりを経て、いわゆる『うつ病』などにつながる可能性があります。できるだけ早めに専門の医師に相談してください。早期介入・早期治療が大切です」
(オトナンサー編集部)
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