口を閉じると…顎に「梅干しジワ」が! なぜできる? 治すことはできる? 歯科医師に聞いた
口を閉じたとき、顎に“梅干し”のようなシワが…このような「梅干しジワ」に悩む人は少なくありません。なぜシワができてしまうのか、治す方法はあるのか、歯科医師に聞きました。
「口を閉じると、顎に“梅干し”みたいなシワができてしまう…」。こうした悩みを持っている人、実は少なくないのではないでしょうか。このシワは、その見た目から「梅干しジワ」とも呼ばれていますが、口を閉じるとこうしたシワが出現してしまうのはなぜなのでしょうか。千葉センシティ矯正歯科(千葉市中央区)院長で歯科医師の石川宗理さんに聞きました。
「出っ歯の度合いが強い人」は発生しやすい
Q.口を閉じると顎に「梅干しジワ」ができる原因は何ですか。
石川さん「『梅干しジワ』の原因は、簡潔にいうと『オトガイ筋』という顎先にある筋肉が唇を閉じるときに、力こぶのように力が入ることによるものです。唇を閉じるとき、下唇(したくちびる)を引き上げる距離が大きいと、閉じるために力が必要になるため、オトガイ筋が緊張して梅干しジワが発生します」
Q.梅干しジワができる人にみられやすい特徴はありますか。
石川さん「歯並びでいうと、デコボコが全くなくても、『上下の前歯が前方に突出している人』や『出っ歯の度合いが強い人』などは、歯が表に出ている分、唇を閉じるのに距離が必要になるため、梅干しジワが発生しやすくなります。
骨格的な問題でいうと、上顎に対して過度に下顎の位置が後ろ、もしくは下方にある人もシワが生じやすいといえます。
イメージとしては、地図で『直線距離なら近いのに、電車だと迂回(うかい)路を取らないといけない場合、距離が遠くなる』というと分かりやすいかもしれません」
Q.梅干しジワができることについて、見た目以外のデメリットはありますか。
石川さん「梅干しジワができること自体には、見た目以外のそこまでのデメリットはありません。しかし基本的に、人間は常に力んでいるのが難しいため、梅干しジワができる人は多くの場合、口が閉じづらく、気を抜くと歯が見えている状態となることが多いです。
その場合には口呼吸になってしまったり、口が乾いてしまったりするといったデメリットがあります。これらのデメリットは、虫歯や歯周病のリスクを上げるだけでなく、口呼吸は鼻呼吸に比べると感染リスクが上がってしまうため、注意が必要と考えられます。
その他、個別の例を挙げると、『出っ歯が原因で梅干しジワができている人は、外傷により、前歯が折れたり抜けたりしてしまう可能性が高くなる』『骨格的に下顎が小さいタイプの人は、睡眠時無呼吸症候群の発症率が高くなる』など、梅干しジワができる“原因”にデメリットがあるといえます。梅干しジワはむしろ、そういったリスクのサインとして捉えられるといっても過言ではありません」
Q.梅干しジワを治す方法はあるのでしょうか。
石川さん「基本的には、唇をとがらせる癖などがなければ、梅干しジワができる原因は歯や骨格によるところが大きいため、自力で治す方法は『シワができない程度に口を緩く閉じる』程度のものしかありません。
病院で治す方法は、一番の近道として歯列矯正治療を行うことが挙げられます。矯正治療で抜歯をして歯の位置を下げたり、出っ歯を改善したりすることによって唇が閉じやすくなり、梅干しジワが消失します。
また、歯並びにデコボコがある際、歯を抜かずに矯正治療を行うと、逆に梅干しジワが発生することもあるため、基本的には検査・診断によって抜くことと抜かないこと、双方のメリット・デメリットをきちんと把握することが大事になってきます。口元のバランスと歯の位置、骨格の状態によって治療プランを選ぶことがとても重要です。なお、骨格的な問題に関しては『外科的矯正治療』といって、手術によって顎の位置を変えつつ矯正をする方法もあります。
また、オトガイ部分にボトックスを打つことによって、筋肉に力が入らない状態にし、梅干しジワを減少させる方法もあります。ただし、歯や骨格が原因の場合には、根本的解決にならないことも多いので注意が必要です」
(オトナンサー編集部)
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