SNS「頭痛と眠気がひどい」「メンタル不調」…梅雨の体調不良、その“正体”は? どう対処する? 医師に聞く
梅雨の時期になると体調不良に陥りやすいのは、なぜでしょうか。医師に聞きました。
梅雨の時期になると、頭痛や体のだるさ、眠気などの症状に悩まされる人が多いようです。SNS上では「頭痛と眠気がひどくなる」「頭が痛くて体がだるい」「関節痛がひどい」「メンタル不調」などの声が上がっています。
なぜ梅雨の時期は、体調不良に陥りやすいのでしょうか。体調不良を防ぐには、どのような対策が有効なのでしょうか。医療法人社団三橋医院理事長で、医師の藤井崇博さんに聞きました。
「内耳」の“センサー”が原因か
Q.梅雨の時期になると、頭痛や体のだるさ、眠気、関節痛などの症状に悩まされる人が多いようです。なぜ梅雨になると、体調不良に陥りやすいのでしょうか。
藤井さん「気圧や気温、湿度の変化による自律神経の乱れが原因だと考えられます。こうした気象条件の変化が原因で生じる体調不良は『気象病』と呼ばれており、気象病の国内の潜在患者数は、推計で1000万人以上いるといわれています。
気象病のメカニズムですが、気圧や温度、湿度などの変化に対し、体がうまく適応できないことによって症状が出ます。これには、耳の一番奥の部分の『内耳』が関係しています。内耳には、気圧を感知する“センサー”が存在する可能性が高いと考えられており、気象病の人は、気象の変化による影響を受けにくい人に比べて、内耳の感受性が高いといわれています。
そのため、内耳にあるセンサーが気圧の変化を感知し、平衡感覚をつかさどる『前庭神経』が過剰に興奮すると、自律神経のバランスが乱れると考えられています。
自律神経には、交感神経と副交感神経があり、交感神経が優位になり過ぎると目まいや片頭痛が生じやすくなるほか、関節痛の人は症状が悪化する傾向にあります。一方、副交感神経が優位になり過ぎると、眠気や倦怠(けんたい)感、抑うつ症状が起こりやすくなります」
Q.では、気象病に対してはどのような対策が求められるのでしょうか。
藤井さん「気象病への対策としては、自律神経のバランスを整えることが最も大切です。そのためには、『早寝早起き』『朝食をしっかり取る』『適度な運動』『十分な睡眠』『就寝前に入浴する』など、規則正しい生活を送りましょう。睡眠不足など不規則な生活を送っていると、気象病を発症しやすくなるほか、すでに不調を来している場合は、さらに症状が重くなります。
また、内耳のセンサーが敏感なのは、内耳の血液の流れが悪いのが原因と考えられているため、内耳の血流をよくすることが気象病の予防や改善につながります。例えば、耳の後ろをタオルなどで温めると、内耳の血流がよくなります。日頃から耳を冷やさないように気を付けるのもよいでしょう。
また、両耳をつまんで上下前後に引っ張る耳のマッサージも効果的とされています。気象病と見られる症状がある人は、ぜひ一度実践してみてください」
Q.気象病を放置した場合、どのようなリスクが生じる可能性があるのでしょうか。受診の目安も含めて、教えてください。
藤井さん「気象病を放置した場合、心身の不調により体が常にストレスにさらされます。そのため、ストレスにより他のさまざまな病気を発症するリスクが増加すると考えられます。
梅雨の時期に体に何らかの症状が出た際は、必ずしも気象病とは限りません、他の病気の可能性もあることを念頭に置き、症状が改善しない場合は1人で悩むのではなく、内科などを受診し、病気の早期発見、早期治療ができるように努めてください。自律神経をしっかり整えて、梅雨を乗り切っていきましょう」
(オトナンサー編集部)
コメント