うんこの次は…!? “怪談”をベースにした漢字ドリルが「想像力をかき立てる」、狙いを聞く
怪談をベースにした、ユニークな例文が特徴の「漢字ドリル」が話題となっています。

すべての例文に必ず「うんこ」と入る「うんこ漢字ドリル」(文響社)など、個性的な学習教材が注目される中、幻冬舎(東京都渋谷区)が発売した小学校低学年向けの漢字ドリルが話題となっています。“怪談”をベースにしたユニークな例文が特徴で、SNS上では「想像力をかき立てる」「めちゃくちゃ欲しい」「読みたくなってくる」などの声が上がっています。幻冬舎の担当者に話を聞きました。
“怪談風”例文で楽しみながら学ぶ
話題となっているのは、5月24日に発売された「一行怪談漢字ドリル 小学1・2年生」です。右側のページに5~6つの漢字を、左側のページにその5~6つの漢字を使った例文をそれぞれ掲載し、振り仮名を付けた空欄部分に漢字を書きこんで文章を完成させる仕組みです。「怪談研究家」の吉田悠軌(ゆうき)さんが考案した例文は、次のような内容です。( )部分が振り仮名で、空欄とセットになっています。
「いつからか、ボクらの(きょう)(しつ)の上を、大きな人食い(どり)がゆっくりとび回るようになった」「夜の学(こう)には、ボクたちにそっくりな(ひと)たちがこっそり通っているそうだ」
幻冬舎エデュケーション局編集制作部の担当者に聞きました。
Q.ドリルを企画したきっかけと狙いは。
担当者「吉田悠軌さんの著書『一行怪談』(PHP研究所)を読み、『一行怪談を漢字ドリルの例文にしたら絶対に楽しい』と考えたのがきっかけです。狙いは大きく分けて3点あります。1つ目は、文章を楽しみながら、飽きずに漢字学習に取り組めるようにすること。2つ目は、想像力を刺激して読解力も同時に伸ばすこと。3つ目は、ストーリーと絡めることで、漢字を記憶しやすくすることです。
このドリルの最大の特徴は、例文一つ一つが独立したストーリーであることです。『一行怪談』は一文だけで完結している怪談ですから、短い話がたくさん載っている怪談の本を読むような感覚で、楽しく漢字を学ぶことができます。子どもたちは怖い話が大好きですから、そうした点でも相性がいいだろうと考えました。例文を完成させることで達成感も生まれ、次の怪談を早く読みたいという気持ちから学習がどんどん進むはずです。
ドリルを解き終わった後も、短編怪談集として何度も繰り返し読んで楽しめます」
Q.読解力も伸ばせるというのはどういうことでしょうか。
担当者「『一行怪談漢字ドリル』では、例文の詳細な説明はせず、解釈は読み手の想像力に任せています。例文の場面を想像しながら、『これって、もしかしてこういう意味かな』と考えてもらいたいからです。このドリルでの学習を通じて、文章の意味を読み取る力、つまり読解力が自然と鍛えられると考えています。漢字を覚えながら、読解力まで伸ばせるのが最大の強みです。
漢字に限らず、言葉は使ってこそ身に付くものです。怪談という、記憶に残りやすい印象的なストーリーと絡めて覚えることで、漢字も覚えやすくなると考えています。もちろん例文の面白さだけに頼ることなく、学習指導要領に対応し、正しい書き順や読み方、その漢字が使われている熟語を覚えるためのページもしっかり設けています」
Q.例文を作成する上で意識したことは。
担当者「小学1、2年生向けということで、怪談の内容は小学生が想像しやすいシーンとなるよう吉田さんにお願いしました。その結果、ほとんどが学校や通学路、公園など、小学生が普段生活している場所が舞台となっています」
Q.例文で苦労した部分は。
担当者「吉田さんによると、1、2年生が学習する漢字を必ず2字以上使いつつ、短くて怖い話を作るという点に苦労したそうです。ただ、限られた漢字を使うからこそ、その漢字自体から着想を得るというメリットもあったそうで、『水』『母』『百』など、一つの漢字が持つ多様な意味を深堀りし、どのような怖い話、不思議な話を展開していけるかを考える作業は面白く、その漢字ならではの怪談が作れたと自負しているとのことです」
Q.どのような意見が寄せられていますか。
担当者「『中学年、高学年、大人版も作ってほしい』という声をたくさん頂いています。『想像力が膨らんで、読解力もつきそう』といった感想もあり、大変うれしく思います。ツイッター上でも『子どもが夢中になって取り組んでいる』『ほかのドリルに興味を持てなかった子が楽しんで解いている』などの声をたくさんお見かけします」
Q.他学年向け、または他教科で、怪談を使ったドリルを発売する予定はありますか。
担当者「中学年、高学年向けのドリルの出版を検討していますが、まずは1・2年生版を多くの人に知ってもらい、楽しんでいただくのが目標です。また、今作の制作を通じて改めて怪談の面白さ、学習教材との相性のよさを実感したので、他教科でも怪談を絡めた楽しい教材を考えていきたいです」
なお、ドリルはB5判96ページで定価1000円(税別)。全国の書店で販売しています。
(報道チーム)
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