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変色、水ぶくれ、増殖型も? 実は「じくじくする」だけじゃない! 「水虫」4種類を皮膚科医が解説

不快な症状を伴う「水虫」には、いくつかの種類があるようです。症状や予防のポイントについて、皮膚科医が解説します。

「水虫=じくじく」だけじゃない?
「水虫=じくじく」だけじゃない?

 足の指の間や爪などにでき、不快な症状を伴うことで知られている「水虫」。そんな水虫には、いくつかの種類があることをご存知ですか。肌クリニック大宮(さいたま市)院長で皮膚科医の相馬孝光さんが、水虫の種類やタイプについて解説します。

湿疹と誤診されやすいケースも

 水虫の医学的な名称は「白癬(はくせん)」といい、皮膚糸状菌(通称『白癬菌』)という真菌(カビ)によって生じる感染症です。

 白癬菌は、「ケラチン」というタンパクを栄養源に生きているカビなので、ケラチンが多く存在する皮膚の表面の角層に病変を形成することが多いです。また、角層が変化したものが毛や爪なので、毛や爪に白癬菌が感染することもあります。

 暖かく湿った環境を好むため、靴下や靴で覆われて高温多湿となりやすい足部の皮膚(角層)が、特に好発部位といえます。

 感染経路は、水虫の人の足から剥がれ落ちた角層に付着した白癬菌が、足拭きマットやスリッパなどの共有によって他の人に感染していくパターンが多く、実際に、水虫の人がいる家庭をはじめ、スポーツジムやプール、公衆浴場の足拭きマットには、高確率で白癬菌が存在することが知られています。

 ただし、白癬菌が角層に付着してもすぐに感染するわけではなく、その日のうちに足を洗い、清潔にした上で乾燥した状態を保てば、通常は感染しません。一方で、白癬菌が角層についたまま、湿度の高い不衛生な状態で長時間過ごすと、感染が成立したり、悪化したりします。

 そんな水虫には、大きく分けて「足白癬(あしはくせん)」「爪白癬(つめはくせん)」「体部白癬(ぜにたむし)」「股部白癬(いんきんたむし)」の4種類があります。

「爪水虫」とも呼ばれる「爪白癬」の症状としては、爪が白~黄色に変色して厚くなり、ボロボロと崩れたり、白い筋ができたりするのが特徴です。

「体部白癬」「股部白癬」の症状としては、産毛が生えている部位に生じる円形、楕円(だえん)形、または環状の発疹です。時にかゆみを伴うため、しばしば湿疹と誤診され、ステロイドの塗り薬によって逆に悪化することがあります。

 これら4つのうち、最も頻度が多いものは足白癬で、(1)趾間型(2)小水疱型(3)角質増殖型の3つのタイプがあり、それぞれ症状が異なります。

【趾間型(しかんがた)】

最も多いタイプ。指の間の皮膚が白くふやけ、じくじくしたり、皮がむけたりします。

【小水疱型(しょうすいほうがた)】

足の裏や縁、土踏まずのあたりに多くできる小さい水ぶくれが破れ、皮がむけるタイプです。

【角質増殖型】

比較的まれにみられるタイプ。足の裏が硬く、厚くなり、ひび割れを伴うこともあります。

 なお、「水虫=かゆい」というイメージを持つ人も多いと思いますが、実は、かゆみを伴う水虫は全体の10%程度といわれています。従って、たとえかゆみがなくても、白癬の症状を疑った場合は皮膚科を受診しましょう。その際、自己判断で市販の抗真菌剤を使用すると、検査で白癬菌を検出できなくなってしまうため、何も外用せずに受診していただきたいです。

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相馬孝光(そうま・たかみつ)

医師(皮膚科)

肌クリニック大宮院長。日本皮膚科学会認定皮膚科専門医、日本アレルギー学会認定アレルギー専門医。社会人経験を経て、東海大学医学部に3年次学士編入学。2005年卒業。日本赤十字社医療センターで内科研修後、2007年東京慈恵会医科大学皮膚科学講座入局。同本院・柏病院、NTT東日本関東病院で勤務を経て、2012年にさいたま市にて肌クリニック大宮院長就任。一般皮膚科診療やアレルギー科診療から皮膚外科手術・美容皮膚科・アンチエイジングの相談まで幅広く診療しており、特にニキビ診療に注力している。患者さんの悩みにオールマイティーに応えていけることを理念とし、患者さんが笑顔になる瞬間にやりがいを感じて日々の業務に従事している。肌クリニック大宮(https://e-hifu.jp/)。

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