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「サバ缶」vs「ツナ缶」、筋トレやダイエットに適しているのは? 現役ボクサーの管理栄養士に聞いた

身近で便利な「サバ缶」と「ツナ缶」。筋トレやダイエットに励む人にとって、より強い味方となり得るのはどちらなのでしょうか。現役プロボクサーの管理栄養士に聞いてみました。

サバ缶とツナ缶、筋トレのお供にするなら?
サバ缶とツナ缶、筋トレのお供にするなら?

 筋トレやダイエットに励む人が食べるものとしてイメージされることの多い「鶏むね肉」。中には、「毎日食べているから飽きる」という人もいるでしょう。一方、身近な缶詰である「サバ缶」や「ツナ缶」も、筋トレやダイエットの強い味方になり得るようですが、「どっちがお勧め?」「栄養的にはどうなの?」といった疑問の声も聞かれます。

 サバ缶とツナ缶、筋トレ中やダイエット中にお勧めなのはどちらといえるのでしょうか。管理栄養士で、現役のプロボクサーでもある岸百合恵さんに聞きました。

「油漬け」と「水煮」でも違いあり

Q.「サバ缶」と「ツナ缶」、それぞれに含まれている栄養素の種類について教えてください。

岸さん「サバ缶とツナ缶、それぞれに含まれている栄養素は次の通りです」

【サバ缶】

青魚の代名詞ともいえるサバは、タンパク質が100グラムあたり20.9グラム含まれている高タンパク食材でありながら、コレステロールや中性脂肪を減少させる効果が期待できるDHA(ドコサヘキサエン酸)やEPA(エイコサペンタエン酸)の含有量がトップクラスに豊富であることが特徴です。「DHAやEPAといえばマグロ」というイメージが強いですが、実際はツナ缶よりもサバ缶の方が、DHAは約3倍、EPAは約9倍含まれています。

また、骨ごと食べられるので、含まれるカルシウムは260ミリグラムです。これは牛乳1杯のカルシウム量よりも多くなっています。さらに、カルシウムの吸収を助けるビタミンDや、不足しがちな鉄分も豊富に含まれるため、サバ缶は丈夫な骨や体作りをする上で優秀な食品です。

【ツナ缶】

日本では「ツナ缶といえばマグロ」というイメージが強く、実際にキハダマグロやビンナガマグロを使ったツナ缶の販売が多いですが、実は、世界的にはカツオを使ったツナ缶が主流で、日本でもマグロの高騰によりカツオのものが増えています。

サバ缶と同様に、ツナ缶も高たんぱく質で、DHAやEPA、ビタミンDなどを含むことが特徴ですが、魚の種類によってDHAとEPAの量に差があります。先述の3種の魚を比較すると、ビンナガマグロを使ったツナ缶が、DHAとEPAを最も豊富に含んでおり、ビンナガマグロとキハダマグロのツナ缶(油漬けタイプ)の比較では約5倍の差があります。特に、ビンナガマグロの水煮タイプが、DHA・EPAを最も多く含んでいます。

パスタやおにぎりの具など使い勝手がよく、老若男女に好まれる味わいであることも特徴です。

Q.ずばり、筋トレやダイエットを行う人に、特に推奨できる缶詰はどちらといえますか。

岸さん「どちらも、ダイエットや筋トレに必要なタンパク質を多く含む点ではお勧めです。ツナの油漬けタイプ1缶と、サバの水煮タイプ1缶を比べると、次のようになります。

・ツナ缶(70グラム、油漬けタイプ)…186キロカロリー、タンパク質12.3グラム
※100グラムあたり265キロカロリー、タンパク質17.7グラム

・サバ缶(190グラム、水煮タイプ)…331キロカロリー、タンパク質39.7グラム
※100グラムあたり174キロカロリー、タンパク質20.9グラム

ツナ缶は油漬け、サバ缶は水煮が一般的なので、その2つで比較すると、同じ量を食べた場合、水煮であるサバ缶の方が低カロリーで高タンパク質ですが、1缶丸ごと食べた場合はサバ缶の方が高カロリーになります。

また、サバ缶にはツナ缶よりもDHAやEPAカルシウムや鉄分、ビタミンDが多く含まれていることも特徴です。これらの栄養はツナにも全て含まれていますが、サバよりも少ないです。ツナ缶はナイアシンを多く含むという特徴がありますが、全体的にはサバ缶の栄養価の方が高いといえます。

しかし先述したように、ダイエットや筋トレをしている人にはお勧めではありますが、ダイエットや筋トレの目的や、個々の運動量、身体的特徴によって必要な栄養素の量も異なるため、自分に必要な栄養素の量を知った上で、味の好みや使い勝手も含めて自由に選択してください」

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岸百合恵(きし・ゆりえ)

プロボクサー、管理栄養士、日本糖尿病療養指導士

病院食の管理・調理業務や企業での特定保健指導を経て、生活習慣病診療を専門とするクリニックにおいて5年間、栄養指導を実施。アスリートとしても夢を追い掛け、2017年に日本ボクシングコミッション(JBC)のプロテストに挑戦し、一発合格。「闘う管理栄養士」として、チャンピオンを目指して日々トレーニングに励みながら、ボディーメークや健康管理の指導を行う。現在は、スポーツ・睡眠歯科分野の診療を行う歯科医院で、アスリートへの食事指導や、一般患者へのダイエット、フレイル・サルコペニア予防の指導を行う他、内科クリニックで生活習慣病患者に対する食事指導を行っている。

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