「枕で頭を支える」は間違い! 枕の正しい使い方は? 「枕なし」で寝るとどうなる? 姿勢調整師に聞く
睡眠の質を向上させるためには、枕をどのように扱ったらよいのでしょうか。専門家に聞きました。

睡眠の質を向上させるには、枕選びが重要だといわれていますが、同時に枕の使い方にも注意が必要です。一般的に「枕は頭を支えるもの」と認識されていますが、実は枕に頭をのせた状態で寝ると、体に大きな負担がかかるといわれています。
枕はどのように使うのが正しいのでしょうか。枕を使わずに寝ると、体にどのような影響があるのでしょうか。姿勢調整師の塗木洋平(ぬるき・ようへい)さんに聞きました。
枕を首に当て猫背を防ぐ
Q.そもそも、人間にとって、正しい姿勢とはどのようなものなのでしょうか。就寝時はどのような姿勢で寝るのが望ましいのでしょうか。
塗木さん「正しい姿勢は、背骨の状態で決まります。背骨は、横から見たときにS字になっている状態が正しく、その状態を維持すれば、体に負担をかけず、快適に生活できます。一方、猫背などのような悪い姿勢を維持すると、体のさまざまな部位に負担がかかり、疲れやすくなったり、体が痛くなったりする原因となります。
人間の頭の重さは約5キロといわれていますが、その重さによる体への負担を軽減するために、背骨には3つのカーブ(首部、胸部、腰部)があり、S字状になっています。猫背の場合、背骨全体が弧を描くような状態となるため、体にかかる負担は、正しい姿勢の6倍といわれています。
起きているときだけでなく、寝ているときも、背骨のS字を維持することが大事です。姿勢は睡眠中に作られるといわれており、猫背の状態で寝るのが癖になると、姿勢が悪くなっていきます」
Q.では、睡眠時に背骨のS字を維持するには、どうしたらよいのでしょうか。
塗木さん「基本はあおむけの状態で、枕を首にしっかり当てて寝ることが大切です。そうすることで背骨のS字を維持できます。また、気道が確保され、呼吸がしやすくなるほか、首の筋肉が緩み、体がリラックスした状態となるので、睡眠の質を上げることができます。
一方、枕を頭に当てた場合、猫背になりやすく、体に負担をかけた状態で寝ることになります。そうすると、起床時に前日の疲れが取れなかったり、体が痛くなったりする可能性があります」
Q.では、枕を使わずに寝た場合、体にどのような影響があるのでしょうか。
塗木さん「睡眠時に大切なのは体をリラックスさせることで、そのためには、体の筋肉の緊張をほぐす必要があります。枕を使わずに寝ると首の筋肉が緊張した状態が続くので、起床時に首や肩の疲れが取れなかったり、痛くなったりします」
Q.枕を首に正しく当てるためのコツについて、教えてください。
塗木さん「枕を首に正しく当てるには、『枕を当てる位置』と『枕の大きさ』の2点が重要になるので、これらを調べる必要があります。そこで、バスタオルを用意し、おしぼりのように丸めてから肩に軽くのせるようにして、首に当ててみましょう。目安としては、天井を真っすぐ見られる位置がポイントです」
Q.自分の体に合わない枕を使い続けた場合、体にどのような影響があるのでしょうか。
塗木さん「体にストレスを与えたまま眠ることになります。睡眠は、夢を見ない程度に深く眠る『ノンレム睡眠』と、半分意識があって、夢を見たり寝返りを打ったりする『レム睡眠』を交互に繰り返します。体にストレスがかかった状態で寝ると、睡眠の深度にも影響し、結果的に眠りの質が下がってしまいます。
そうなると、睡眠時間は足りているのに、疲れが取れなかったり、寝不足のような状態になったりします」
(オトナンサー編集部)
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