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猫が“段ボール原因”でアレルギー発症は本当? 受診の目安は? 獣医師に聞く

猫が段ボールで遊ぶ様子を収めた動画がネット上に投稿されることがありますが、アレルギー反応を引き起こす恐れはないのでしょうか。獣医師に聞きました。

段ボールで猫がアレルギー反応を引き起こすことは?
段ボールで猫がアレルギー反応を引き起こすことは?

 猫が段ボールの中に入って遊ぶ場面を収めた動画が、SNS上に投稿されることがあります。一見楽しそうですが、ネット上では、「段ボールがきっかけで、猫がアレルギー反応を引き起こした」という内容の投稿が上がっています。実際に、猫が段ボールでアレルギー反応を引き起こすことはあるのでしょうか。また、どのような症状が出たときに受診すべきなのでしょうか。獣医師の増田国充さんに聞きました。

段ボールとの因果関係は不明

Q.そもそも、アレルギーとはどのようなものなのでしょうか。段ボールがきっかけで猫がアレルギー反応を引き起こす可能性はあるのでしょうか。

増田さん「アレルギーとは、食物や化学物質のほか、ちりやほこりなどにより、通常は体に有害反応が起こらないようなものに対して、過剰反応が起きる疾患の総称です。

段ボールが原因で、人間がアレルギー反応を引き起こすことはあります。ただし、猫については、詳細な文献が十分にあるわけではないので、段ボールと猫のアレルギー反応との関連性は、不明な点も多いです。段ボールで猫がアレルギー反応を引き起こすと言い切れるだけの根拠が十分にないというのが現状です。

段ボールによるアレルギー反応は、一般的に段ボールそのものに触れることによって起きるものと、段ボールに付着したかびやほこりといったハウスダストによるものに区別されます。前者は段ボールを製造する過程で使用する化学物質による過敏症といわれ、後者は段ボールの使用方法や保管方法などによって、発生する条件が異なるものだと考えられます」

Q.猫がアレルギー反応を引き起こした場合、主にどのような症状が出るのでしょうか。アレルギー反応かどうかを見分ける方法について、教えてください。

増田さん「皮膚のかゆみや下痢、嘔吐(おうと)といった消化器に関わる症状のほか、ぜんそくのようにせきや『喘鳴(ぜんめい)』(息を吐くときにヒューヒューと音が鳴る症状)が生じることがあります。このほか、ノミアレルギー性皮膚炎や食物アレルギー、アレルギー性気管支炎などがあります。

猫自身がしきりに皮膚をなめるなどしてただれた場合、アレルギーが関与している可能性があります。見た目だけで判断できない場合や、他の要因が絡んでいることもあるため、早めに獣医師に相談するのをお勧めします」

Q.猫がアレルギー反応を引き起こした場合、すぐに動物病院に連れて行くべきなのでしょうか。

増田さん「アレルギーの症状の程度には個体差がありますが、重度な場合にはアナフィラキシーと呼ばれる全身症状を引き起こすことがあります。せきや息苦しい様子など、明らかに普段と様子が違う場合は、事前に動物病院にその様子を電話で説明し、獣医師の指示を受けながら迅速に動物病院に連れて行くようにしましょう。

また、皮膚にかゆみが生じている場合は、そのかゆさのためにしきりに皮膚をかんだりなめたりするようなしぐさが見られます。それによって、皮膚の症状を悪化させる恐れがあります」

(オトナンサー編集部)

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増田国充(ますだ・くにみつ)

獣医師

北里大学卒業。愛知、静岡県内で勤務後、2007年にますだ動物クリニックを開院。一般診療のほか、専門診療科として鍼灸や漢方をはじめとした東洋医療を行っている。国際中獣医学院日本校事務局長兼中国本校認定講師、中国伝統獣医学国際培訓研究センター客員研究員、日本ペット中医学研究会学術委員、AHIOアニマルハーブボール国際協会顧問、専門学校ルネサンス・ペット・アカデミー非常勤講師。ますだ動物クリニック(http://www.masuda-ac.jp)。

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