熊本地震で行き場失うペットたち…災害時に大切な“家族”と避難するには?
今回の熊本地震では、災害で行き場を失ったペットたちへの注目が改めて高まっています。自分が災害に遭った場合、あなたは最愛のペットとどう行動しますか? 専門家と一緒に考えます。

余震が続く熊本地震で、ペットが行き場を失うケースが目立つと報じられています。また、SNS上には「ペットとの同行避難を断られた」といった書き込みも多数あり、「震災とペット」の関係性に今、大きな関心が集まっています。
オトナンサー編集部では、震災時にペットと一緒に避難する「同行避難」の考え方、そして、大切な“家族”であるペットを守るためにできることについて、ペット防災研究の第一人者であるNPO法人「ANICE(アナイス)」の平井潤子さんと考えました。
多くの人が「同行避難」を勘違い
震災時に人間とペットがはぐれてしまうと、その後のペットの安全確保や保護が難しくなり、また、放浪犬が群れることによって地域住民や子どもたちが恐怖感を感じたり、公衆衛生環境が悪化したりする可能性が懸念されます。
そこで、環境省は東日本大震災後の2013年、震災時に飼い主がペットと「同行避難」することを推奨する初の「ガイドライン」を公表。同行避難について「動物愛護の観点のみならず、放浪動物による人への危害防止や生活環境保全の観点からも、必要な措置」と位置付けましたが、今回の熊本地震で改めて、その課題が浮き彫りになったのはなぜでしょうか?
平井さんはまず、同行避難の意味を勘違いしている人が少なくないことを指摘します。「同行避難はあくまでも『ペットと一緒に、危険な場所から安全な場所に避難すること』です。避難した後に『同居』か『すみ分け』かの選択があり、避難先で同居できることを意味する言葉ではありません」
実際、熊本市はホームページで、避難所の住居スペースへのペット持ち込みは「原則禁止」であることを明記しています。同市の「避難場所開設・避難所運営マニュアル」は、避難所にペットを同行させる場合には、一定のルールを設けるなどしてトラブルにならないような配慮が必要としており、具体的には「避難場所の屋外にスペースを設置してリードでつなぐ」「柵などの中で飼う」「放し飼いは禁止する」「飼育や飼育場所のそうじは飼い主の責任で行う」などを挙げています。
ただし、平井さんによると、「地域や被災状況によって避難所の対応は変わってしまうのが現状。例えば、避難先の近くに大病院があれば、患者さんの避難を優先させなければならないこともあります」とのこと。病気治療中の人が点滴や酸素吸入をしながら横たわっている場所では、動物を持ち込むことが禁止されるケースもあることから、平井さんは「ルールは必ずしもオールマイティーではありません。感情的にならず、与えられた環境で何ができるか、どうすみ分けをすればよいかを考えましょう」と話します。
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