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大手からベンチャーへのレンタル移籍「ローンディール」は日本に根付くのか

移籍から帰った今も厚い信頼

 パネルディスカッションの形で、ローンディール導入事例企業として紹介されたのは、NTT西日本から、株式会社ランドスキップへの移籍のケース。ランドスキップは、空間のコンテンツ化による「風景の流通」に取り組んでいるベンチャー企業で、移籍したのは、新ビジネスや新サービスを開発するビジネスデザイン部の佐伯穂高さんです。

 NTT西日本が佐伯さんを1年間、ランドスキップに送り込むことを決めたのは、社内には労働モデルになる人材がいないという課題があったからだといいます。「リーンスタートアップ(米シリコンバレーなどで行われている、小さな失敗を重ねて育てる起業手法)を実践するには、ベンチャー企業に送り込むのが効果的だと考えた」(上司である部門長の北口哲也さん)。

 移籍した佐伯さんは「部下や社員としてではなく、事業をともに推進していくパートナーとしてともに汗をかきたい」という、ランドスキップの下村一樹社長の言葉に感銘し、「1年という移籍期間のうちに、ランドスキップを大きくするぞ、と気合いが入った」と語ります。

 しかし、1カ月もたたないうちに、「自分がこんなに役に立たないとは思わなかった」と落ち込んでしまった佐伯さん。ベンチャーならではのマインドにアジャストできずに、自分がどう動けばよいのかわからなかったそうです。ローンディールでは、移籍者のこうしたストレスなどをフォローするために、毎月メンタリングを実施しており、このケースでは、最高戦略責任者の細野真悟さんがメンターを担当していました。細野さんも当時を振り返って、「確かにこの時は元気がなかった」。

 ランドスキップ側でも、佐伯さんについて、「ずいぶん遠慮している」「何かと正解を求めてくる」などと大企業的な人材の特徴を感じていたようです。やがて2カ月ほどたち、佐伯さんは「あなたはすぐに答えを求めるけれど、僕も悩んでいるんですよ」という、下村社長の言葉をきっかけにマインドを変え、自分が大企業でやっていたことをベンチャーで生かせていることに気づくようになります。そして最終的には、下村社長の経営パートナーとして大活躍することになったのです。

 レンタル移籍の期間が終わり、NTT西日本に戻った今でも、下村社長は佐伯さんに電話で相談することがあるとのことで、二人の間には厚い信頼が築かれました。部門長である北口さんも、戻ってきた佐伯さんの成長を実感しているといいます。ローンディールのプレスリリースによると、レンタル移籍はNTT西日本以外にも、関西電力や日本郵便などが導入しているとのことです。

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