“独眼竜”伊達政宗をデザインした東北大学のスパコンが「カッコ良すぎ」と話題に、作者に聞く
外装デザインに、戦国大名・伊達政宗を描いた墨絵を採用した「スーパーコンピューター」がSNS上で話題になっています。
東北大学金属材料研究所(金研、仙台市)の「スーパーコンピューター」の外装デザインが、SNS上で話題になっています。墨絵師の御歌頭(おかず)さんが地元の戦国大名・伊達政宗の姿を描いた墨絵で、「カッコ良すぎ」「公開される日を楽しみにしています」「もっとアップも見たいです」などと好意的な声が寄せられています。スーパーコンピューターの外装にデザインを施した理由を取材しました。
インパクトのある墨絵で関心集める
金研によると、このスーパーコンピューターの愛称は「MASAMUNE-IMR」。2018年2月に愛称を一般公募し、486件の中から決まりました。8月に運用開始予定です。金研のスーパーコンピューターの広報担当者に話を聞きました。
Q.なぜ、外装にデザインを施そうと思ったのですか。
担当者「スーパーコンピューターは運用開始後、多くの人に見学してもらいたいと思っています。見学開始は、8月下旬を予定しています。研究者だけでなく、子どもから大人まで広くスーパーコンピューターに関心を持ってほしいとの思いから、インパクトのあるデザインを施しました。スーパーコンピューターを活用して研究者の道を歩みたいと思う人が増え、日本の科学技術が革新的に発展することを期待しています」
Q.「MASAMUNE-IMR」は、どのようなことができるのですか。
担当者「1秒間に3000兆回の計算ができ、さまざまな課題を解決するためのシミュレーションを高速に計算できます。その能力を生かして、例えば、発電効率の高い太陽電池や燃料電池、二酸化炭素の排出量が少ない自動車用エンジンなど、私たちの生活に密着した新しい材料の開発を目指しています」
Q.御歌頭さんに依頼した理由を教えてください。
担当者「愛称を広く覚えてもらうためには、伊達政宗公の絵を外装に描くのが最も良いと考えました。政宗公のインパクトのある絵を描いている人を探す中で御歌頭さんを知り、お願いしたところ、快諾していただきました」
御歌頭さんにも話を聞きました。戦国武将を中心に動物や自然の墨絵も描いており、墨に濃淡をつけず、白と黒のコントラストの美しさを表現するのが特徴です。
Q.スーパーコンピューターの外装デザインは初めてですか。
御歌頭さん「初めてですね。私は機械に疎いのですが、スーパーコンピューターはとんでもない性能の機械という認識はあります」
Q.依頼が来た時の気持ちは。
御歌頭さん「家庭用のパソコンの大きさをイメージしていたので、人より高さがあるということを知り、びっくりしました。また、大学の重要なコンピューターですので、とても責任を感じました」
Q.描く際、注意したことは。
御歌頭さん「まず、大きい媒体ですので、近づいて見ても違和感がないように細部までこだわりました。次に、モチーフの伊達政宗公の威厳を損なわないよう力強さを意識しました。納得のいくまで何枚も描き、数日かかりました」
Q.墨絵の魅力を教えてください。
御歌頭さん「力強さや躍動感です。その半面、同じ構図を描いても二度と同じ絵にはならない“一期一会”の要素もあります。その一瞬の良さを楽しんでもらえたらうれしいです」
東北大では、おおむね5年ごとにより高性能なスパコンに更新しており、担当者は「5年後の更新時にも、斬新でインパクトのあるデザインを施す予定」としています。
(報道チーム)
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