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海外勤務中の「労災保険」、適用される人とされない人の違いは? 東京高裁が“異例”判決

働く人の“万が一”に備える労災保険ですが、海外勤務中にも国内同様の保険適用がなされるのでしょうか? 今回は、東京高裁が出した興味深い判決から、労災保険と海外勤務の関係にスポットを当てます。

海外勤務中に業務上のけがや病気をしてしまったら…

 「海外勤務中に死亡した会社員に労災保険が適用されるかどうかが争われた裁判で、高裁が遺族補償の支給を認めた」――。こんなニュースが先日、大きく報じられました。

 報道によると、死亡した会社員の男性は2006年、運送会社の中国・上海事務所に首席代表として赴任。2010年に心筋梗塞で死亡しましたが、中央労働基準監督署は「出張中の労災ではなく、労災保険の『特別加入』もしていなかった」との理由から、遺族補償の支給を認めなかったといいます。

 この裁判では、二審・東京高裁が、男性に保険は適用されないとした一審・東京地裁判決を取り消し、男性の妻が逆転勝訴する形となりました。今回はこのケースを基に、海外勤務と労災保険の関係について考えます。

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武田雄介(たけだ・ゆうすけ)

弁護士

1980年福島県郡山市生まれ。福島県立安積高等学校、京都大学経済学部卒業後、司法試験合格(旧61期)。郡山市で事務所を開業後、東京の外資系大手コンサルティング会社勤務を経て、弁護士法人湊法律事務所に入所、現在に至る。一般民事事件全般を担当。休日にはサッカーやフットサル、マラソンなどを楽しむ“アクティブ派”でもある。

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