5年周期で流行のリンゴ病 2023年が警戒? 対策と症状を内科医に聞く
リンゴ病は約5年の周期で流行する傾向があり、大流行した2018年から考えると、2023年は流行の可能性があります。対策と症状を内科医に聞きました。
今年の冬は、新型コロナウイルスやインフルエンザウイルスへの感染が注目されていますが、せきや微熱など、風邪のような症状が出て、その後に両頬が赤くなる伝染性紅班(リンゴ病)にも注意が必要かもしれません。実は、リンゴ病は約5年の周期で流行する傾向があり、大流行した2018年から考えると、流行の年に当たる可能性があるためです。2023年は、リンゴ病が流行しそうなのか……。感染防止の手段とともに医師の市原由美江さんに聞きました。
薬やワクチンは存在しない
Q.リンゴ病が、周期的に流行しているのは本当ですか。
市原さん「本当です。これまでの傾向から、リンゴ病は約5年の周期で流行しています。流行期は初夏~秋にかけてですが、年によって流行時期に差があります」
Q.2018年は大流行し、冬も患者数が多くなりました。その背景も教えてください。
市原さん「2018年は流行の年にあたり、初夏~秋にかけて、いつもの年よりも患者数が多くなりました。患者数が多くなった結果、感染が収束せず、さらに広がり、真冬の時期まで流行したと考えられます」
Q.リンゴ病とはどのような病気で、どのような症状が出ますか。
市原さん「頬に赤い発疹が出るため、通称『リンゴ病』と呼ばれていますが、正式名称は『伝染性紅斑』です。頬のほかに手足にも発疹が現れます。発疹は1週間程度で消失します。『ヒトパルボウイルスB19』というウイルスに初めて感染することで発症するため、子どもを中心に流行します。せきや鼻汁、微熱など、風邪に似た症状が出てから約1週間後に頬に発疹が現れます。最初は風邪と診断されることが多いです。
子どもの頃にリンゴ病を発症していない大人も、まれに発症します。子どもの頃に感染していると、抗体ができるので再感染することはありません」
Q.どのような経路で感染するのですか。
市原さん「患者のせきやくしゃみによって、飛び散った鼻汁や唾液などを吸い込むことで感染する『飛沫(ひまつ)感染』と、ウイルスが付着した手で鼻や口を触ることで感染する『接触感染』があります」
Q.薬やワクチンで感染を防げないのですか。
市原さん「伝染性紅斑を予防する薬やワクチンは存在しません。風邪症状の人に近付かない、手洗いをこまめに行う、手洗いする前の手で顔を触らないなど、風邪の予防と同じ対策になります」
Q.リンゴ病は、子どもの病気という印象がありますが、大人も発症します。大人がリンゴ病を発症した場合、子どもとは異なる症状が出ることがありますか。
市原さん「大人がリンゴ病を発症した場合、子どもに比べて症状が強く出ます。症状としては、悪寒や発熱、頭痛などで、約1週間後に皮疹や浮腫、関節痛などの症状がみられます」
Q.妊婦が感染すると胎児に影響があるとされています。どのような影響がありますか。
市原さん「妊婦が感染すると、胎児水腫や流産の可能性があります。過去にリンゴ病に感染したことのない妊婦さんは要注意です。繰り返しますが、薬やワクチンがないため、風邪の症状がある人に近づかない、人混みに出ない、手洗いやうがいを頻繁に行うなど、一般的な風邪対策を行うことが必要です」
Q.リンゴ病に感染した場合、周囲に感染を広げないためにできることは。
市原さん「もし、リンゴ病に感染していても最初は風邪と同様の症状で、皮疹が出る頃には、体内のウイルスは減っています。ウイルスの排泄(はいせつ)はほぼなくなり、感染力はほぼありません。そのため、『風邪かな』と思ったら、マスクを装着する、せきやくしゃみで唾液が付いた手で他人と共有するものは触らない、手洗いを頻繁に行うなど風邪を他人にうつさないためと同様の対策を取ることが重要です」
(オトナンサー編集部)
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