悪臭漂う寝室でほえるポメラニアン、シミだらけのカーペット…「ゴミ屋敷化」した部屋で暮らす“中年男性”たちの婚活
婚活を通じて女性たちが出会った中年男性たち。1人暮らしをする彼らの部屋に足を踏み入れた彼女たちが見た、驚きの実態とは……。

中年になっても実家暮らしで、子どもの頃から使っていた学習机や雑貨に囲まれて生活している“子ども部屋おじさん”が、かつて話題になりました。男性というのは、すみかに無頓着な人が多いのかもしれません。たとえ実家を出て独立していたとしても、中年男性の1人暮らし部屋は、たくさんの問題をはらんでいるようです。女性たちが出会った、婚活中年たちの驚くべき部屋の実態とは。
“汚部屋”でポメラニアンがお留守番
安藤ゆみさん(41歳、仮名)のお兄さま、吉川しんたろうさん(47歳、同)は現在婚活中です。20代で結婚して、既に高校生のお子さんがいるゆみさんは、お兄さまがこのままずっと独身で年を重ねていくのではないかと、心配していました。
ところが、半年くらい前から「結婚相談所に入って婚活を始めた」という話を聞き、ほっと胸をなで下ろしていました。
そんなある日、しんたろうさんから電話がかかってきました。
「街中で、バイクで転倒して、そのまま救急車で病院に運ばれて入院になった。ちょっと病院に来てくれないか」
驚いて病院に駆けつけると、しんたろうさんは片足をギプスで固定され、ベッドに横たわっていました。幸いなことにダメージを受けたのは足だけで、痛がってはいましたが元気そうでした。ただ、頭も打っていたので、念のため入院して検査をするというのです。
しんたろうさんが、ゆみさんに言いました。
「入院している間、ニコルを預かってくれないか」
ニコルというのは、しんたろうさんが飼っているポメラニアンでした。
「犬用のキャリーケージは、リビングに置いてあるから」
そして、鍵を渡しながら、恥ずかしそうに付け加えました。
「男所帯だから、家の中は散らかっているけれど、頼むよ」
ゆみさんは鍵を預かり、病院の帰り道に、しんたろうさんのマンションに立ち寄りました。部屋の鍵を開けて入っていき、目の当たりにした光景に、あぜんとしてしまいます。服はあちこちに脱ぎ散らかされ、キッチンのシンクには、食事を終えて洗われていない食器がたまり、テーブルの上には飲みかけのコーヒーと、カップラーメンや菓子の袋が散乱していました。
寝室からは、お留守番をしていたニコルがワンワンとほえている声も聞こえてきました。行ってみると、ケージの中でしっぽを振ってほえているのですが、1日中お留守番していたからか、ケージの中のトイレにはふん尿がたまっていて、ものすごい悪臭もします。
ゆみさんは、少し前に交通事故で亡くなった男性コメディアンのニュースが脳裏をかすめました。ゴミ屋敷寸前で、犬や猫、鳥が部屋に残され、異臭を放っていたという報道がされていましたが、まさに今、そうした光景が広がっていたのです。
「兄も、このまま独身で暮らしていたら、そういう晩年を送って、待っているのは孤独死かもしれない」
子犬をキャリーケージに入れて、自分の家に連れて帰る道すがら、「兄には何がなんでも結婚してもらおう」と思ったそうです。そして、しんたろうさんにLINEをしました。
「ニコルは、退院するまで預かります。ゴミ屋敷のような部屋に驚きました。元気になって退院してきたら、まずは部屋の大掃除をしてください。そうでなければ、結婚もできませんよ」
返信されてきたのは、パンダがペコリと頭を下げるスタンプ1個でした。
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