バリエーション豊かな「入浴剤」　どう選ぶ？　使用時の注意点をメーカーに聞く

　11月26日は「いい風呂の日」です。これは、主に入浴剤メーカーで構成される業界団体「日本浴用剤工業会」が、入浴剤の使用促進を目的に、「1126＝イイフロ（いい風呂）」の語呂合わせから制定し、その後、日本記念日協会によって正式に登録、認定された記念日です。入浴剤を使うと、効率よく体を温めたり、疲労を回復させたりすることができるといわれますが、粉末タイプの商品や錠剤タイプの商品などさまざまな種類の中から、どのような基準で選べばいいのでしょうか。

　入浴剤の選び方や使用時の注意点について、「バスロマン」などの入浴剤を製造するアース製薬（東京都千代田区）の担当者に聞きました。

寒い日のお勧めは無機塩類系

Q.店舗や通販サイトではさまざまなタイプの入浴剤が売られていますが、どのような基準で選べばよいのでしょうか。

担当者「入浴剤のタイプによって特長が異なるため、目的に合わせて選ぶのがコツです。日々の疲れを取りたいときは炭酸ガス（二酸化炭素）系の入浴剤を選んでください。錠剤や粒剤などが多いです。炭酸ガスには体内の血管を広げる効果があり、炭酸ガスが溶けたお湯につかることで血行がよくなり、全身の新陳代謝が活発になります。それにより、体内の老廃物や疲労物質が体から排出されやすくなります。

体の冷えが気になっているときや寒い日にしっかり温まりたいときは、無機塩類系の入浴剤を使ってみてはいかがでしょうか。入浴剤に含まれるミネラルなどの塩類が皮膚の表面のタンパク質と結合して体にベール（保護膜）をつくり、保温効果を高めます。そのため、入浴後も湯冷めしにくく、ポカポカした状態が続きます。

肌の乾燥が気になるときは潤い成分を含むスキンケア系の入浴剤を使ってください。潤い成分が肌の表面や角質内部に浸透し、肌の保湿効果を高めるため、肌がしっとりすべすべした状態となります。

このほか、肩凝り、腰痛、肌荒れなどが気になる場合は、薬用植物系（生薬系）の入浴剤がお勧めです。生薬の種類によって特長が違うため、購入前に商品パッケージを確認し、ご自身の症状に合った入浴剤を選んでください」

Q.体を芯まで温めたいときは、どうすればよいのでしょうか。お湯の適切な温度や適切な入浴時間について教えてください。

担当者「冷え性対策に体を芯まで温めたい場合、お湯の温度は38～40度が最適で、15分から20分程度、ゆったりと入浴するのがよいでしょう。ぬるめのお湯につかることでリラックス感が高まります」

Q.入浴剤を入れた場合、あまり時間をおかずに入浴した方がよいのでしょうか。家族が続けて入浴する場合、入浴剤を入れ直す必要はありますか。

担当者「一般的な入浴剤の場合、特に制限はありません。炭酸ガス系の入浴剤は、商品パッケージの裏面に記載された使用方法などに従ってください。家族が続けて入っても問題ありませんし、その都度、入浴剤を入れ直す必要はありません。追いだきでお湯を温め直しても入浴剤の効果に影響はありません」

Q.錠剤タイプの入浴剤を使う人の中には、お湯に入れた後にすぐ入浴する人もいるようですが、溶け切った後に入浴する場合と比べて効果に差はあるのでしょうか。

担当者「確かに、炭酸ガスが溶けていく様子を見ながら入浴するのも楽しいかもしれませんが、入浴剤に記載している使い方の通り、お湯に完全に溶け切ってから入浴してください。お湯に溶け込んだ炭酸ガスや温泉ミネラルなどの有効成分が効果を発揮します」

Q.入浴剤を使用した後はシャワーで体を洗い流した方がいいのでしょうか。

担当者「シャワーで洗い流すと入浴剤の効果が減ってしまうため、洗い流さずにそのままお上がりください」

Q.入浴剤を多めに入れた場合、効果に影響はあるのでしょうか。

担当者「たくさん入れても入浴剤の効果が倍増するわけではないため、適量を守って使用してください」

Q.赤ちゃんの入浴時に入浴剤を使っても問題ないでしょうか。また、皮膚の持病がある人はどうでしょうか。

担当者「赤ちゃんの皮膚の厚さは、大人の半分ほどしかありません。そのため、雑菌や乾燥といった外部からの影響を受けやすいと言われています。また、生後間もない時期は、母親のホルモンの影響で肌の潤いを保つ皮脂が分泌されていますが、徐々に減少するため、入浴剤が使えるようになるのは、皮膚が安定する生後3～4カ月ごろからです。

お風呂上がりの乾燥しやすい状態から肌を守るためには、保湿成分が含まれる入浴剤を使うのをおすすめします。必ず健診などで医師に許可をもらってから、一緒に入るようにしましょう。

なお、皮膚に持病がある人は事前にかかりつけの医師に相談してください」

Q.ちなみに、入浴剤を入れたお湯は洗濯に使用してもいいのでしょうか。

担当者「商品によって異なるため、事前に商品パッケージを確認してください。当社の商品に関しては、入浴剤の残り湯を洗濯に使っても問題ありません」

（オトナンサー編集部）