「どうして勉強しないといけないの?」 わが子の疑問にどう答える? 子育てアドバイザーに聞く
「どうして勉強しないといけないの?」と子どもに聞かれたとき、その返答に悩む親は少なくないようです。どう答えるのがよいのか、子育てアドバイザーに聞いてみました。

「どうして勉強しないといけないの?」。わが子にこう聞かれたら、あなたなら何と答えますか。親自身もまた、子どもの頃に同じ疑問を一度は抱いたことがあると思いますが、実際にわが子に質問されたとき、「どう返答するのがいいのか」と悩んだ経験のある親は少なくないようで、「もし答え方を間違えて、勉強を嫌がるようになったら…と思うと難しい」「聞かれて答えたことがあるけど、ちゃんと理解していないかも」「伝え方に迷って、はぐらかしたことがある」といった体験談も聞かれます。
子どもが発する真っすぐな疑問「どうして勉強しないといけないの?」に、親はどう答えるのがよいのでしょうか。子育てアドバイザーの佐藤めぐみさんに聞きました。
デメリットではなく「メリット」を伝える
Q.そもそも、子どもはなぜ「勉強をする理由」について疑問を持つことがあるのでしょうか。
佐藤さん「これは、わりとよく耳にする疑問のように思います。そのきっかけはやはり、『勉強したくないなあ』という思いが関係しているのでしょう。『どうして勉強しないといけないの? できればしたくないんだけど』というのが、疑問を抱くときの本音なのだと思います。
例えば、勉強よりもやりたいこと(主に遊び)があるのに『(その誘惑を抑えてまでも)やる意味があるのか?』と感じたり、親に『勉強しなさい』としつこく言われて、その反撃として『どうして勉強しなくちゃいけないの?』と出たりするのだと思います。また、『因数分解や漢文なんて、これがどう役立つの?』といった思いもこうした疑問が出るきっかけになるでしょう」
Q.こうした疑問を持ち始める可能性が生じる時期はいつごろでしょうか。
佐藤さん「勉強に関することなので小学校入学以降が多いですが、特に勉強内容が難しくなる小学校中学年(3、4年生)あたりから増えてくるようです。さらに、中学生以上になると方程式や関数を前にして、『この勉強が何の役に立つのか』と現実社会との比較でこの疑問を持つこともあるでしょう」
Q.子どもに「どうして勉強しないといけないの?」と問われたとき、親や周囲の大人はどのように答えるのがよいのでしょうか。
佐藤さん「こうした質問を受けたとき、親は『勉強した場合のメリット』と『勉強しなかった場合のデメリット』のどちらを伝えるべきかを迷うかもしれません。勉強のことに限りませんが、こういうタイプの子どもの質問には、『それをすることで、どんなメリットがあるのか』を中心に答えてあげるのがお勧めです。
例えば、『勉強するといい高校に行けるからだよ』『今、頑張ると将来いい仕事に就けるよ』などはよく使われる典型例です。ただ、小さい子には『将来』という遠い先のことよりも、『九九を覚えると授業でハイ、ハイって手を挙げたくなるよ』『おうちで勉強しておくと先生の説明が簡単に分かるよ』など、直近でメリットがあることを伝える方が分かりやすいかもしれません」
Q.一方で、子どもにとってよくない答え方もあるのでしょうか。
佐藤さん「勉強をしないことでのデメリットを伝えても、その子が奮起するとは言い難いです。デメリットの伝え方としては例えば、『今頑張っておかないと将来、幸せになれないよ』などでしょうか。親は子どもに何かを教えたいとき、その方が効きそうな気がするからか、悪い例を出して『そうならないように』と注意することが多いのですが、あまりお勧めできません。
アメリカのある実験で、おおかみ少年の話(何度も『オオカミが来た!』とうそをついて、最後に信用されなくなってしまった少年の話)をすることで、うそを減らす力はあるのかを調べたところ、結果的に逆のパターンの『正直なことは素晴らしいことだよ』というメッセージの物語の方がうそを減らす力があったそうです。『○○しないと大変なことになるよ』の方がメッセージ的に強いので効き目がありそうですが、実際に子どもに響くのは『○○するといいことがあるよ』の方なのです。小さいお子さんに対しても、はぐらかさずに、先述のような年相応の例を用いて答えてあげるのが望ましいと思います」
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