「食べる」派と「捨てる」派が存在? 長ネギの“青い部分”どうするのがいいの? 管理栄養士に聞いてみた
秋冬は鍋料理の具材としても活躍する「長ネギ」ですが、先端の「青い部分」は食べる人と捨てる人に分かれるようです。本来はどうするのがいいのか、管理栄養士に聞いてみました。
さまざまな家庭料理に使えて重宝する野菜「長ネギ」。秋冬は、鍋料理に入れてとろとろに煮込んだネギを楽しめる季節です。ところで、皆さんは長ネギの根元の白い部分だけでなく、先端の「青い部分」を食べますか。それとも、食べずに捨てますか。ネット上では、長ネギの青い部分について、「傷んだ部分だけ切り落として、加熱調理して食べる」「普通においしいから好き」という人と、「青臭いから苦手」「肉を煮込むときの臭み消しに使う」「実家の母は切り落として捨てていた」という人に分かれているようです。
食べるのか、捨てるのか……長ネギの「青い部分」はどうするのがよいのでしょうか。管理栄養士の岸百合恵さんに聞きました。
捨てなければいけない部分は「ない」
Q.そもそも、「長ネギ」とはどんな野菜ですか。
岸さん「ネギは、根元の白い部分を食べる『根深ネギ』と、葉の部分を食べる『葉ネギ』の2種類に分けられます。このうち、一般的には根深ネギが『長ネギ』『白ネギ』と呼ばれるものです。地域やスーパー、販売店によって呼び方が変わりますが、長ネギと白ネギは同じ野菜であり、関東のスーパーでは長ネギが主流のようです。
長ネギは、生産量の約70%が秋から冬にかけて出荷され、旬は11~12月です。独特のにおいがあり、鍋やスープに入れたり、薬味やたれの下味に使ったりするなど、加熱の有無や切り方次第でさまざまなおいしさが引き出せる食材です。
薬味などにして生で食べても特有の辛みがあっておいしいですが、加熱するととろりとした口当たりとなり甘みが増すので、焼いたり煮たりして食べるのもいいですね。つくねやギョーザの具など、いろんな料理に使える万能野菜といえます」
Q.長ネギの「青い部分」について、「食べる」人と「食べない(捨てる)」という人に分かれるようですが、ずばり、この部分は本来どうするのがよいのでしょうか。
岸さん「長ネギの青い部分と白い部分は、色こそ違えど、どちらもネギの葉っぱです。捨てなければいけない部分はなく、丸ごと食べることができます。
ちなみに色が違うのは、ネギの白い部分は地面に埋まっていて日光が当たらないため、葉っぱが白いままだからです。一方、地表に出ていて日光に当たる部分は青くなります。
長ネギの青い部分は栄養が豊富に含まれており、捨てるには非常にもったいない部分なので、ぜひ丸ごと活用し、無駄なく摂取していただきたいと思います」
Q.長ネギの「青い部分」と「白い部分」に含まれる栄養素について、詳しく教えてください。
岸さん「一般的に、白い部分は『淡色野菜』に、青い部分はβカロテン量が多いため『緑黄色野菜』に分類されます。βカロテンだけでなく、カルシウムやカリウム、ビタミンCなども、白い部分と比較すると含有量が多く、全体的に栄養価が高くなっています。
青い部分からはぬるぬるとした透明の液体が出てきますが、これには『フルクタン』と呼ばれる成分が含まれています。フルクタンは複合多糖類の食物繊維の一つであり、長ネギの甘みを決めるとともに、免疫力を高めてくれる成分です。
また、においや辛みのもとであり、疲労回復に役立つとされるビタミンB1の吸収を高めてくれる『アリシン』や、香りのもとになっている成分の一つで、強い殺菌効果や解熱作用を持っている『ネギオール』といったネギの特徴的な成分は、白い部分に多く含まれます。これらの香り成分の効果が、『風邪をひいたらネギを首に巻くとよい』といったような昔からの民間療法に使われてきた理由でもあります」
Q.長ネギの「白い部分」と「青い部分」、それぞれをおいしく食べるための調理法とは。
岸さん「白髪ネギや薬味としてはもちろんですが、先述したように白い部分は加熱すると中がとろりと溶け出し、非常に甘味が増すので、焼いたり、鍋などに入れたりしてじっくり火を通すのがお勧めです。太く食べ応えがあるので、料理のメインとしても使えます。
青い部分は少し硬く、繊維が残りやすいですが、香りが強くて辛みもあるので、味を引き締める薬味に使うのがよいです。においの強い納豆の薬味にはぴったりですね。先述の殺菌作用もあるので、生ものや冷ややっこなど、加熱しない料理に使うと効果的です。粘りがあるので、みじん切りにして調味料や肉だねなどに加えるとよくなじみます。
また、青い部分は味を楽しむだけでなく、肉類を煮込む際に臭み消しにも使えます。臭み消しにはネギのどの部分を使用してもよいですが、青い部分の方が加熱しても形が崩れにくく、香りも強いので、肉の臭み消しに向いているといえるでしょう。
青い部分と白い部分に共通する注意点としては、アリシンやネギオール、ビタミンC、カリウム、ビタミンB群などの成分は水溶性なので、生で食べる場合も長時間水につけない方がいいです。加熱する場合も汁物や鍋物など、栄養素が溶け出した汁ごと食べられる調理法にすると、効率的に栄養素を摂取できるでしょう」
(オトナンサー編集部)
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