お金の動きや仕組み、やりくり…子どもへの「お金の教育」どうすればいい? ゲームで学ぶのはアリ? 子育てのプロに聞く
子どもに対する「お金の教育」、どうしていますか。「何歳から教えれば…」「難しい」と悩む親も多いですが、どのように教えるのがよいのでしょうか。子育てのプロに聞きました。
「お金」の動きや仕組みについて、子どもにどう教えるのがよいのか…。そんなふうに悩む親は多いのではないでしょうか。最近では、ゲームを通じて自然とお金のことを学んでいる子どももいるようですが、「何歳ごろから教えればいいのか迷う」「子どもにお金のことを聞かれたら、どう答えるのがいいんだろう」「お金の教育って難しい」など、親の悩みは尽きません。
わが子に対して、親はどのように「お金のこと」を教えればよいのでしょうか。子育てアドバイザーの佐藤めぐみさんに聞きました。
「お駄賃で学ばせる方法」の誤用に注意
Q.そもそも、子どもの頃に「お金の教育」は必要だと思われますか。
佐藤さん「必要だと思います。親が日々、仕事をして稼いだお金を家計の切り盛りで適切に使っていく。このサイクルを理解することは親への尊敬にもつながりますし、『お金は有限』と教えられるからです」
Q.では、何歳ごろ、誰からどのように、どんな内容を教わるのがよいと思いますか。
佐藤さん「小学校に上がった頃、親から教わるのが自然な流れでしょう。親がまず、子どもに期待するのは、自分が持っているお金の中でやりくりすることだと思います。自分のお金で、何がどれだけ買えるかを把握するには、足し算や引き算のスキルが必要です。小学1~2年の算数は足し算と引き算がメインですから、その点から見ても始め時だと思います。
日本では、小学校入学を機にお小遣いをスタートする家庭が多いようで、2015年度に金融広報中央委員会が行った『子どものくらしとお金に関する調査』によると、小学校低学年では約7割の子が『お小遣いをもらっている』と回答しています。親が子どもに金銭感覚を身に付けてほしいと考え、その手段としてお小遣いをあげることは、お金について実体験で学ぶよい機会になると思います」
Q.ゲームを通じて、お金の動きや仕組みを自然と学んでいる子どもたちもいるようですが、これについてどう思われますか。
佐藤さん「お金という難しいテーマに入り込むきっかけとして、有効な方法だと思います。かつては『モノポリー』や『人生ゲーム』などのボードゲームが同様に、遊びながらお金の動きや仕組みを学ぶものでした。それが今はオンライン化されたというだけで、遊びながら学ぶ方法は変わっていないように思います。
今も昔もこのような方法が人気なのは、子どもが大好きなゲームという形に落とし込まれて、学びやすくなっていることが大きいでしょう。また、現実問題、実際に子どもが手にできるお金は限られていますから、ゲーム上での疑似体験の方がより複雑なことを学ぶには向いているのだと思います」
Q.幼少期にお金の教育を受けることは、子どもにどのような影響を与えると思われますか。
佐藤さん「まず、メリットとしては『お金には限りがあり、何でも買えるわけではない』という経験を通じて、“我慢すること”を覚えられることです。ゲームを用いた場合、遊びながら繰り返すことで、計算力の向上につながっているお子さんもいます。人生ゲームには『約束手形』というものがありますが、これはいわば『借金』です。その計算にはマイナス算が伴いますが、ゲームだとあっさり理解できるという話も聞きます。
一方、デメリットというよりは誤用してしまうとよくないのが、お駄賃で学ばせる方法です。『お手伝いをしたら、100円もらえる』といった報酬制は『アンダーマイニング効果』という現象を引き起こすことがあります。これは、内発的に動機付けられた行動に対し、報酬を与えるなどの外的な動機付けをすることによって、やる気が低減する現象のことです。
好きでやっていたパパの靴磨きが、お駄賃をもらえるようになった途端に『お金のためにやる』『お金をもらえないならやらない』という気持ちに変わってしまってはもったいないですよね。その点からも、誤用してデメリットを生まない工夫は大事といえます」
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