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10代の女性が成人男性と関わる上で必要なリスクマネジメント

TOKIOの山口達也メンバーが、女子高生への強制わいせつ容疑で書類送検されていた事件は、ネット上に失望や怒りの声が上がる一方「自業自得」「無防備」などの声も見られます。10代の少女に必要なリスクマネジメントとは。

女子中高生らに必要なリスクマネジメントとは?
女子中高生らに必要なリスクマネジメントとは?

 アイドルグループ・TOKIOの山口達也メンバーが、女子高生に無理やりキスをし、強制わいせつ容疑で書類送検されていた事件。報道によると、山口メンバーに呼ばれてマンションにやって来た女子高生2人は、山口メンバーから飲酒を勧められ、キスを迫られたといいます。ネット上では、山口メンバーへの失望や怒りの声が噴出する一方、夜に男性の自宅を訪れた女子高生に対し「自業自得」「無防備すぎ」「親に相談しなかったのかな」「憧れの男性に誘われて舞い上がったのだろう」などの意見も見られます。

 女子中高生など10代の少女が、成人男性と関わる上で気を付けなければならないこととは何でしょうか。元上席少年補導専門員として青少年の非行問題に数多く携わってきた、少年問題アナリストの上條理恵さんに聞きました。

周りを巻き込むことが大切

Q.今回、被害者である女子高生の行動についてどのように思われましたか。

上條さん「今回のケースは、加害者側が有名人であり、出会った場所も芸能の仕事現場だったということで、少々特殊なケースと言えるかもしれません。詳細は当事者にしかわからないので何とも言えませんが、今回は被害者の女子高生が友達と“2人”で訪問したということで、それが彼女なりのリスクマネジメントだった可能性はあります。相手は有名人、しかも、自分たちは複数で安心していたのに怖い目に遭って、ショックも大きかったのではないでしょうか。

今回の件で、被害者の女子高生が正しかったのは、母親に助けを求めたことです。日ごろから自分の行動や交流相手を親に伝えて、いざという時にすぐに助け出してもらえるような信頼関係が親子の間にでき上がっていたということでしょう。これは、未成年が犯罪に巻き込まれるのを防ぐためにとても大きなポイントです」

Q.年上の男性と親交を深め、自宅を訪れるほど心を許してしまう女子中高生の心理とは、どのようなものでしょうか。

上條さん「端的に言ってしまうと『自分が受けるリスクを理解できていない』のだと思います。現代の女子中高生は、ある意味非常にピュアで無防備です。男性の性欲に対して、知識もないし、現実味もない子が多い。だから『押し倒されたら終わり』という危機感が希薄すぎるのです。

さらに、最近はLINEやSNSなど気軽に誰とでもつながることができるようになりました。学校の女子友達もアルバイト先の年上の男性も、同じように気軽に連絡を取り合うことができる。その結果、女友達の家に行くノリで異性の自宅を訪ねてしまうのだと思います。『お金がかからないならいいや』『今が楽しければいい』といった本当に軽い気持ちで、深く考えていないのでしょう」

Q.女子中高生が大人の男性と関わる際、気を付けるべきことはどんなことでしょうか。

上條さん「連絡先など個人情報をむやみに教えないことが一番です。しかし、現実には教えざるを得ない場合も多いでしょうし、SNSがここまで普及した現代では、連絡先を教えていなくてもコンタクトを取る方法がいくらでもあります。そこで気をつけてほしいのは以下の5つです」

【周りの人に知らせる】

年上の男性と何らかのつながりがあることを、周りの人に知っておいてもらうことが大切です。男性から連絡先を聞かれて教えたら、その人と連絡先を交換したことを話す。その相手は親だけでなく、友達でも、アルバイト先の同僚でも構いません。1対1の閉じた関係ではなく、周りを巻き込んだ“ネットワーク”を作っておくことで、何かあった時に相談しやすくなりますし、助けてもらえるチャンスが増えます。

【閉じた空間で二人きりにならない】

自宅だけでなく、カラオケボックスなどの密室で二人きりになることは避けるべきです。ドアをカチャンと閉められて、押し倒されたら逃げることはできません。二人きりで密室に入ることは、雄ライオンのいるオリの中に自ら入っていくようなもの。どんなに表面上優しい男性も、内に本能的な欲求があります。閉じた空間で二人きりになることは、その欲求の扉を開けてしまう可能性があることを覚えておいてほしいです。

【人間関係を絶つことを恐れない】

相手が年上であろうと異性であろうと、自分のためにならない人間関係は思い切って絶つべきです。その瞬間は気まずくなったとしても、後々危険な目に遭うよりよっぽどマシ。不安に感じたり、不快に感じたりするような相手との関係は“断捨離”することが将来のリスクマネジメントにつながります。

【お酒の席には行かない】

未成年の飲酒は違法行為なので、お酒の席に行く必要はありません。違法行為に自ら近づいて行くようなことは、基本的に避けるべきです。法的には認められていますが、高校生が居酒屋でアルバイトをすることもあまり好ましくないと言えるでしょう。もし、飲酒や喫煙を勧められても、雰囲気に流されず、断る勇気を持つことが必要です。

【何かあったら警察に相談する】

どんなに信頼している大人であっても、さまざまな理由から、いざという時に助けに行けない可能性もあります。その点、警察は365日24時間対応してくれます。事件とまではいかなくても、困ったことや不安があった時は警察に相談しましょう。『相談実績』が残り、いざという時に動いてもらいやすくなります」

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上條理恵(かみじょう・りえ)

少年問題アナリスト

少年問題アナリスト、元上席少年補導専門員、東京経営短期大学特任准教授。小学校、中学校、高校講師を経て、1993年より、千葉県警察に婦人補導員として、青少年の非行問題(薬物問題・スマホ問題・女子の性非行)・学校との関係機関の連携・児童虐待・子育て問題に携わる。学会活動として、非行臨床学会の会員としての活動も行う。小中学生、高校生、大学生、保護者、教員に向けた講演活動は1600回以上に及ぶ。

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